EVERGREY『A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENT』

スウェーデンのドラマティック・メタル・バンド、EVERGREYの13作目『A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENTが2022年5月20日に発売されました。

2021年12作目『ESCAPE OF PHOENIX』からわずか1年でオリジナル・アルバムを発表。

これはうれしいリリースです。

EVERGREYの劇的サウンドを大きく分類すると次の3つになります。

  • MEGADETHのような鋭いギター・リフを軸に展開するメタル・チューン
  • グルーヴ感を前面に出した曲
  • スローなナンバー

また、2曲目にキラー・チューンが多いという特徴もあります。

おすすめ曲を挙げながら、聴きどころを紹介していきます。

『A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENT』の収録曲とおすすめ曲

以下の太字の6曲がおすすめです。

■EVERGREY/A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENT (2022年)

  1. Save Us
  2. Midwinter Calls
  3. Ominous
  4. Call Out The Dark
  5. The Orphean Testament
  6. Reawakening
  7. The Great Unwashed
  8. Heartless
  9. Blindfolded
  10. Wildfires

メンバー

  • トム・S・イングランド<Vo/G>
  • ヘンリク・ダンハーゲ<G>
  • ヨハン・ニーマン<B>
  • ヨナス・エクダール<Ds>
  • リカルド・ゼンダー<Key>

『A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENT』は、『ESCAPE OF PHOENIX』をプロデュースしたヤコブ・ハンセンがミックスとマスタリングを担当しています。

おすすめ曲のレビュー

レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. Save Us

鋭いリフを刻みながら分厚いサウンドで畳みかけてくるオープニング・ナンバー。

トム・S・イングランド<Vo/G>のエネルギッシュな歌唱に勇壮なコーラス(00:56~)を絡ませながら曲は進んでいきます。

そしてサビ(01:08~)でのトムの伸びのある歌唱が見事。
壮大です。

この00:56からドラマティックなサビに流れる構成は絶品です。

02:47からはギター・ソロ。

EVERGREYのかっこよさの1つとしてギター・ソロが挙げられますが、この曲でもエモーショナルにキメてくれます。

リカルド・ゼンダー<Key>の耽美的なキーボードに包まれながら、トムの歌が響き渡るエンディングも見事です。

2. Midwinter Calls

やはりキラー・チューンでした。

2016年10作目『THE STORM WITHIN』「Passing Through」、2019年11作目『THE ATLANTIC』「Weightless」、2021年12作目『ESCAPE OF PHOENIX』「Where August Mourns」など、EVERGREYは2曲目にキラー・チューンが多いのですが、この「Midwinter Calls」も期待どおり。

やってくれました。

「Save Us」の鋭角的なアプローチにグルーヴ感が加味されたナンバーで、劇的要素と雄々しさがより前面に出ています。

以下の流れを踏むトムの歌メロが素晴らしいです。

  • 00:45~ いったん静かに 
  • 00:53~ 勇壮なコーラスが絡む
  • 01:04~ 爆発的に重厚なサウンドと共にサビへ

02:37でトムのヴォーカルにエフェクトがかかり、そこからギター・ソロへ流れる構成も胸アツですね。
ソロ自体もメロディアスかつエネルギッシュ。
痺れます。

要所要所でバスドラの連打を絡めるヨナス・エクダール<Ds>のドラムもクールです。

4. Call Out The Dark

メルヘンチックなイントロから劇的に展開されるスロー・テンポのナンバー。

00:59からサビが展開され、01:08からハーモニーが加わるところが特にかっこいいです。

02:22からはギター・ソロ。
じわりじわりとメロディックに進み、02:47からはちょっと雰囲気が変わってエモーショナルに展開していきます。
素晴らしい。

ドラマティックなエンディングを迎える中、04:02でエフェクト処理された声が入るところもクールですね。

再びメルヘンチックになって曲は終わります。

5. The Orphean Testament

前半はアグレッシヴでヘヴィに、後半はスローでドラマティックに展開します。

MEGADETHのような鋭いギター・リフがEVERGREYの魅力の1つですが、前半はまさにそれ。
力強く刻まれます。

00:58からスローになり、サビに。
ここでのトムの歌唱が素晴らしいです。
伸びのある声で微妙にメロディを変えながら展開していくアプローチが見事です。

01:31からのギターのメロディも染みますね。

そして再びMEGADETH系のリフに。

ガッツポーズ級の流れです。

後半の03:16からはミステリアスに展開。

劇的な音像の中で繰り広げられるギターとキーボードの応酬にゾクゾクさせられます。
特に04:05からのリカルドのキーボードはエモーショナルでスリリングです。

8. Heartless

ミステリアスなイントロからヘヴィでドラマティックにスタート。

この「Heartless」は中盤がかっこいいです。

02:38からのパートですね。

トムが情のこもった歌が静かな空間に響き渡り、03:22からギター・ソロに突入していく構成が素晴らしいです。

エネルギッシュでメロディックなフレーズは、聴いていて胸が熱くなります。

9. Blindfolded

「Save Us」のような鋭角的なアプローチを持つナンバー。

シャープなリフにメロディックなフレーズを絡ませるギターがかっこいいです。

トムのヴォーカルは中音域を軸にしつつもやや低音域寄り。
ブルータルさを漂わせながらの歌唱で攻撃的要素がみられます。

02:27からのギターと03:12のキーボードも刺激的。

こういったアグレッシヴな曲を後半に配置するとアルバム全体が引き締まります。

総評

EVERGREY『A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENT』を紹介しました。

EVERGREYの以下の魅力が詰まった高品質なドラマティック・メタルです。

  • MEGADETHを想起させるシャープなギター・リフ
  • グルーヴ感を強調したナンバー
  • スローな曲

そして今回もグルーヴィな2曲目「Midwinter Calls」がキラー・チューンでした。
グルーヴ感を前面に出すだけでなく、鋭角さも維持している点が見事ですね。

前半はシャープに、後半はドラマティックに展開していく「The Orphean Testament」も面白い。
EVERGREYの2つの特徴が凝縮させたナンバーがあるのも『A HEARTLESS PORTRAIT: THE ORPHEAN TESTAMENT』の魅力です。

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