EDU FALASCHIの『ELDORADO』のレビューです。
2023年8月30日リリース。
前作『VERA CRUZ』(2021年)の続編となります。
『VERA CRUZ』はANGRAの2004年5th『TEMPLE OF SHADOWS』に通じる作風で傑作でしたが、今回もそのスタイルを踏襲。
メタリックな曲、バラードに加え、聴きごたえ満点の長尺曲も中盤と後半に1曲ずつ配置しています。
エドゥの歌はもちろん、演奏もスリリング。
濃密なテクニカル・パワー・メタルが楽しめます。
【メンバー】
エドゥ・ファラスキ<Vo>
ディオゴ・マフラ<G>
ロベルト・バローズ<G>
ラファエル・ダフラス<B>
アキレス・プリースター<Ds>
ファビオ・ラグーナ<Key>
以下の9曲がおすすめです。
1. Quetzalcoatl
- 00:00~ 雨、雷 → ミステリアス/宗教的
- 00:32~ 儀式的要素が強まる
- 00:40~ いったん静かになって…
- 00:44~ シンフォニックに
緩急ある展開をみせる序曲です。
00:40で静かになった後に次の曲に流れそうですが、そうならないところがまたいい。
00:44~はもうドキドキですね。
大作アクション映画のクライマックスのようです。
2. Senores Del Mar (Wield The Sword)
- 00:00~ フラメンコ
- 00:39~ スネア連打 → 勇ましい演奏へ
- 01:07~ 行進
- 01:41~ 疾走開始。エドゥはパンチのある中音域Vo
- 02:30~ ガッツがあって清涼感のあるバックVo → エドゥの声が伸び始める
- 02:53~ 力強く「Wield the sword!」
- 03:58~ フラメンコ・ギターがキラキラ
- 04:16~ 壮大
- 04:48~ 高速ギター・ソロ
いきなりドカドカではなく、始まりはフラメンコ。
ブラジル出身のエドゥですから、こういった音像が合いますね。
疾走してからの曲展開も見事で、特に魅力的なバックVoを絡めながらの02:30~は最高。
03:58~もとてもスリリングです。
3. Sacrifice
- 00:00~ ポコポコ → テクニカルなフレーズ…「Sea Of Uncertainties」(2021年『VERA CRUZ』収録)、ANGRA「Angles And Demons」(2004年5th『TEMPLE OF SHADOWS』)の始まりを想起
- 00:36~ はじけるベースを軸にリズミカルに進行。エドゥのVoも演奏に呼応
- 01:06~ 劇的なバックVo
- 01:21~ エドゥの歌声が伸びる
- 01:36~ 高音域になり「Sacrifice!」 → ドラムがチャチャンチャン
- 02:57~ ダークで神秘的
- 03:11~ 緊迫感が増す。ここもベースが心地良い
- 03:27~ ゴリゴリしたギターと躍動感のあるキーボード
- 03:42~ エドゥのかけ声と共にアグレッシヴに
- 03:58~ 約1分間のギター・ソロ。アクセントをつけながらメロディックに進行
- 06:06~ 「Sea Of Uncertainties」「Angles And Demons」になって締めくくる
前作収録の超名曲「Sea Of Uncertainties」やANGRA「Angles And Demons」を思わせる出だしにKOです。
「Sea Of Uncertainties」と「Angles And Demons」は勢いを保ちながら進行していきましたが、この「Sacrifice」はワクワク・フレーズ後はスピードを落としての緊張感ある展開。
骨太ベースを軸とした演奏とエドゥの表現力豊かなVoが光ります。
そして06:06~は再び「Sea Of Uncertainties」「Angles And Demons」。
最高です。
4. Empty Shell
- 00:00~ 美しく、切なく
- 00:34~ ドラム、ギター、ベースが入る
- 01:02~ サビ。エドゥの歌にきれいなバックVoが重なる
- 01:16~ 高音域に
- 02:27~ 涙があふれ出るようなギター → 泣きのソロ
感動的なバラードです。
00:00~のエドゥの低音域の歌は少し違和感があるのですが、メロディそのものはすばらしいです。
01:02~はもう最高。
音域を上げながら涙を誘うパフォーマンスは鳥肌モノですし、02:27~のギターも絶品です。
おすすめのバラードはもう1曲、後半に登場します。
5. Tenochtitlan
- 00:00~ ドカンとピロピロ
- 00:10~ 疾走
- 00:42~ 歌が入りそうで入らない
- 00:47~ 引き続き演奏
- 01:05~ ここでエドゥが歌い始める
- 01:24~ ガッツあるバックVo。以降、程よい間隔をあけながらエドゥのVoに重なる
- 02:07~ 力強く「Tenochtitlan!」
- 03:25~ エネルギッシュなギターが前面に
- 03:54~ ベースがグリグリ
- 04:02~ ドラムが暴れる
- 04:04~ ベースがガキガキ+シンフォニック
- 04:26~ 高音域のギター・ソロ
- 05:10~ 密度の高いバックVo
- 06:50~ エドゥの高音域→ ピロピロさせながら今度は終わりそうで終わらない
エキサイティングなメロディック・パワー・メタルです。
エドゥのVoが入ってからの本編のかっこよさはもちろんですが、この曲は前半(00:42~)と終わり(06:50~)の構成がいいですね。
最初はなかなかエドゥが歌わず、エンディング間近では演奏で少し引っ張る。
この攻めが効いています。
6. Eldorado
約10分半の大作です。
- 00:00~ エドゥの渋い低音Vo+ピアノ
- 00:22~ ベースとドラムが加わり骨太に
- 00:47~ 物悲しさが増す低音域の歌メロ
- 01:06~ 切ない…ゆがむ…
- 01:24~ ダークでドラマティックに
- 01:43~ 早口の語り → ゴリゴリ・ギター
- 02:14~ スネアの連打 → 高音域メロディック・ギター
- 03:13~ これまでの曲より音域高めのバックVo
- 03:46~ 最高級のサビ。高音域でエドゥの声が伸びる、伸びる
- 05:44~ きらめくギター
- 05:59~ エドゥ、ムーディな歌唱
- 07:32~ エドゥの中音域Voが伸びる。バックVoも中音域
- 08:01~ 絶品の泣きのギター。バックのバスドラ連打がしんみりさせすぎず◎
- 08:27~ 加速
- 08:52~ 00:00~のパート
- 09:04~ ドコドコ・ドラム → バンド演奏再開 → 再びサビへ
- 10:17~ 物悲しいエンディング
最初の低音Voですが、この曲ではピッタリとハマっています。
サビでは高音域で伸びのある歌唱を披露。
エドゥの幅広い音域によるパフォーマンスに圧倒されます。
08:01~のギターも格別ですね。
1回のみの歌メロが染みた後にくるのだからもうたまらない。
最初に戻る08:52~はこのままエンディングかと思うのですが、「Tenochtitlan」同様、引っ張ります。
8. Reign Of Bones
- 00:00~ エキサイティングなドラム
- 00:06~ バスドラ連打&疾走。00:09~は小鳥みたいでほのぼの
- 00:30~ メロディックなギター…ANGRA「Spread Your Fire」(『TEMPLE OF SHADOWS』収録)の00:11~を思わせる
- 00:52~ エドゥ、パワフルな高音域から入る 01:10から緩やかに音域を下げる
- 01:42~ ポジティヴで伸びのある歌メロ。01:54からは高音域に
- 02:08~ さらに音域を上げて「Reign of bones!」 → 小鳥
- 03:18~ エネルギッシュなギター → トライバルなドラム(03:20~のポコポコがツボ)
- 04:19~ ギター・ソロのバックでドラムがポンポコ
明るい要素を前面に出したメロディック・パワー・メタルです。
01:42~が特にすばらしい。
段階的に希望を感じさせるメロディ展開が秀逸です。
少しトーンを変える03:18からもいいアクセントですし、ANGRA時代の名曲「Spread Your Fire」がチラつく00:30~もうれしいですね。
9. Suddenly
- 00:00~ 美しくピアノ
- 00:08~ エドゥ、澄んだVo。バックでは切ないストリングス
- 00:42~ サビ。エドゥの「And I will suddendly」→きれいなバックVoによる「suddenly」 → 心が洗われるコーラス
- 01:36~ エフェクト処理のVoがかすかに聞こえる
- 02:34~ ストリングスが前面に出る → エドゥのVo → バックVo…一度のみのパート
- 02:52~ 哀愁ギター・ソロ
- 03:08~ エドゥの声が入り、ギターは高音域 → サビへ
おすすめのバラード、2つ目です。
こちらも感動的。
エドゥのリードVoの後にバックVoを配置するアプローチが効いてます。
00:42~と02:34~がそうですね。
01:36~もいいスパイス。
1回だけチョロッと加えるところにアレンジ・センスを感じます。
10. Wings Of Light
- 00:00~ 大団円のよう
- 00:35~ 劇的に疾走
- 01:01~ 高音域でピロピロ
- 01:25~ エドゥ、エネルギーをセーブ気味
- 01:48~ 適度なハーモニーが重なる
- 02:06~ 気が引き締まるメロディ展開
- 02:12~ 極上のサビ。伸びるエドゥのVo → 安堵感のあるバックVo
- 02:28~ だんだんエネルギーを解放し「Wings of li~~ght」 → 力強く「Wings of light!」
- 03:58~ ダイナミックかつドラマティック
- 04:19~ 劇的さを維持してバスドラ連打 → 刺激的なベース
- 04:50~ テカテカしたキーボード
- 05:16~ 泣きのギター
- 05:46~ 大団円、疾走ヴァージョン
- 07:24~ サビの途中でテンポを落とし、再度疾走
- 07:35~ 音域を下げて「Wings of light!」
おすすめの長尺曲、2つ目です。
劇的なスタートを切り、突っ走って、極上のサビに到達。
途中の演奏パートでは、ドカンとなりながら泣くことも忘れずに、再度また疾走してくれます。
見事な構成ですね。
サビの構成を変える07:24~、07:35~にも拍手です。
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