AMARANTHEのクリーンVo担当でもあるニルス・モリーン<Vo>がリード・ヴォーカルを務めるDYNAZTYが8作目『FINAL ADVENT』を2022年8月26日にリリースしました。
DYNAZTYの旧作でのおすすめは2012年3rd『SULTANS OF SIN』と2014年4th『RENATUS』ですが、両作の色が強く出ています。
DYNAZTYは…
- 当初はSKID ROWの1stのようなキャッチーなハード・ロックを演っていた
- 2012年3rd『SULTANS OF SIN』で楽曲のクオリティとサウンドが格段に向上…大化け
- さらに2014年4th『RENATUS』ではメタリックな作風へと飛躍
- 以降3作品をリリース。良作であるものの『RENATUS』には及ばず
…といった経緯がありますが、この『FINAL ADVENT』は『SULTANS OF SIN』と『RENATUS』に迫る傑作。
いろいろなタイプの曲があるのも魅力です。
クセになるフレーズあり、泣きのギターもあり。
おすすめ曲をピックアップしながら、『FINAL ADVENT』の魅力を紹介していきます。
『FINAL ADVENT』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の8曲がおすすめです。
■DYNAZTY/FINAL ADVENT (2022年)
- Power Of Will
- Advent
- Natural Born Killer
- Yours
- All The Devils Are Here
- The White
- Instinct
- Heart Of Darkness
- Achilles Heel
- Power Of Now
メンバー
- ニルス・モリーン<Vo>
- ラヴ・マグヌッソン<G/Key>
- マイク・ラヴィア<G>
- ジョナサン・オルソン<B>
- ジョージ・エッグ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Power Of Will
重厚で躍動感があります。
ダイナミックな演奏に乗るメロディックなフレーズ(00:11~)が印象的。
これが心臓部となり、曲中何度か繰り返されます。
00:44から華やかに躍進していくサビの展開もすばらしい。
02:12からピコピコ迫ってきてエネルギッシュなギター・ソロに移る構成や、バックで語りが被さるアプローチ(02:36~)もクールです。
03:10からのゴージャスなコーラスもキャッチーで心地良い。
「ニルスが1人で歌ったAMARANTHEの曲」といった印象も受けます。
2. Advent
フェードインしてくるイントロがその後の展開を期待させます。
まず00:14からのグルーヴィな演奏がかっこいいです。
そして00:22からのキーボードがいい感じにスリリングさを漂わせます。
ニルスは中音域の歌メロ中心。
シリアスな演奏と呼応した唱法が見事です。
02:49で音を伸ばすパートや、語り+ジョージ・エッグ<Ds>のドラムを入れてから曲を再開させるところ(03:10~)もひねりがあっていいスパイス。
勢いのある「Power Of Will」の後に、こういったダイナミックな骨太ナンバーが続くのは引き締まりますね。
3. Natural Born Killer
シンフォニックなナンバー。
00:07や00:21のフレーズがとても印象的。
特に00:21はNIGHTWISHっぽいです。
00:50でゆっくり歌ってから、勢いのあるサビ(00:57~)に移行するところもナイス。
そしてサビの後にNIGHTWISH系のシンフォニックな演奏が続きます。
このNIGHWISHなパートはクセになりますね。
この曲から離れて他のことをしていても頭の中でグルグル回る時があります。
4. Yours
サビの歌メロとギター・ソロが絶品のパワー・バラード。
最初は静かな感じで進み、その後00:40でさらに静まってからサビに入ります。
サビは00:42から。
ドラマティックな演奏をバックにニルスが伸びのある声で魅力的な歌メロを歌い上げます。
ギター・ソロに入る前の02:37からの展開もニクい。
ソロが始まりそうで始まらないんですよね。
焦らします。
そして02:48からギター・ソロへ突入し、泣きメロが炸裂。
最高です。
03:39からのサビではニルスの歌と一緒にギターも泣いています…。
7. Instinct
シリアスかつへヴィな音像がクールな曲。
ダイナミックで重厚な演奏の中、ニルスの歌声が響き渡ります。
中音域から徐々に情熱的になっていく00:53からの唱法がかっこいい。
歌が終わった後に迫りくるキーボードを挟んでヘヴィなリフに戻る構成(01:23~)も引き締まります。
神聖になる02:30からもスリリングでいいですね。
そして02:45からギター・ソロに流れていきます。
メロディアスで絶品。
02:59からが特に染みます。
前半よりダイナミックさが増した歌メロの後(03:52~)に魅力的なフレーズを再び響かせる奏法も見事です。
8. Heart Of Darkness
この曲は中間部(02:23~)がおすすめです。
それまでは躍動感を維持しながら、いい感じに進んできます。
そして02:23。
ドラマティックな演奏の中でコーラスが鳴り響き、02:46からはニルスの心に響く歌メロ。
それまでより声を伸ばして高音域を絡めながらメロディックに展開していくところがすばらしいです。
グッときます。
9. Achilles Heel
シンフォニックでヘヴィなナンバー。
曲調はスローな曲ですが、パワフルでエキサイティングです。
最初(00:32~)はちょっと邪悪っぽい雰囲気で歌い、サビ(00:59~)ではドラマティックかつメロディアスになるニルスのパフォーマンスが見事。
サビの展開は、ゴージャスなコーラスも重なり、ダイナミックさが加わります。
すばらしい。
そして以下もクール。
- 02:33~ きらびやかでありながらもいい感じにシリアスさを漂わせるキーボード
- 03:59~ エモーショナルかつダイナミックなギター・ソロ
演奏でも魅了してくれます。
10. Power Of Now
最初の演奏がかっこいいですね。
ここは名盤『RENATUS』(2014年4th)の「Cross The Line」「Starlight」「A Divine Comedy」あたりを想起させます。
勢いがあり、なおかつ「最後だ」と思わせるメロディ展開。
00:55からの歌メロなんかを聴いてるとそういった思いが強くなります。
以下の流れも秀逸。
- 02:14~ ちょっと雰囲気が変えてメロディックなギター・ソロ
- 02:46~ キーボードで落ち着かせる
- 03:05~ 再び勢いを取り戻す
『FINAL ADVENT』は名作『RENATUS』の空気に包まれたナンバーで締めくくります。
総評
DYNAZTYの『FINAL ADVENT』を紹介しました。
過去の名作『SULTANS OF SIN』(2012年3rd)、『RENATUS』(2014年4th)と肩を並べる傑作です。
サウンドはダイナミック。
そして様々なタイプの曲を配置。
NIGHTWISHな「Natural Born Killer」やパワー・バラード「Yours」の泣きのソロなど、印象的なフレーズが随所に登場するのも魅力の1つですね。
スローで劇的な「Achilles Heel」も刺激的。
『RENATUS』系の「Power Of Now」で締めくくる力強い作風にも拍手です。
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