DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』

DREAM THEATERが15作目『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』を2021年10月22日にリリースしました。

すさまじい内容です。

全曲必聴です。

1人でも多くの方に聴いてもらいたい強力作ですので、この記事でおすすめします。

特徴としては以下が挙げられます。

  • マイク・マンジーニ<Ds>加入以降の作品の中では2011年作『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』と同等の傑作
  • 長尺曲が多め
  • タイトル曲「A View From The Top Of The World」は20分の大作、エンディングに注目
  • 作品全体の雰囲気は1994年作『AWAKE』、2003年作『TRAIN OF THOUGHT』、2009年作『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』あたりに近い
  • ミックスとマスタリングはアンディ・スニープ

『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』の収録曲

■DREAM THEATER/A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD (2021年)

  1. The Alien (9:32)
  2. Answering The Call (7:35)
  3. Invisible Monster (6:31)
  4. Sleeping Giant (10:05)
  5. Transcending Time (6:25)
  6. Awaken The Master (9:47
  7. A View From The Top Of The World (20:24)

メンバー

  • ジェイムズ・ラブリエ<Vo>
  • ジョン・ペトルーシ<G>
  • ジョン・マイアング<B>
  • マイク・マンジーニ<Ds>
  • ジョーダン・ルーデス<Key>

収録曲のレビュー

レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. The Alien (9:32)

先行公開されていた曲。

マイク・マンジーニ<Ds>の力強いドラムで始まるダークでヘヴィな演奏を軸としたテクニカル・ナンバーです。

ジェイムズ・ラブリエ<Vo>のヴォーカルは中音域中心。
高音はありませんが、歌メロそのものに魅力があり、特にサビは中毒性があります。

04:38からの演奏パートは展開が多く、スリリング満点。
1曲目からゾクゾクさせられます。

明るめのサウンドの想起させるアートワークとは異なる音像で意表を突く1曲目。

「この後はどんな曲が待ち構えているのだろう?」と期待感を抱かせるオープニングです。

2. Answering The Call (7:35)

圧倒的です。

爆発力がハンパないイントロ。
ここでガツンとやられます。

「ぶっ飛ぶ」という表現がぴったりの出だし。

厚みがある演奏がすごいです。

ヴォーカルはここでも中音域を軸に進行しますが、「The Alien」に比べてやや躍動感が増しています。
サビの歌メロは絶品で、その後に迫ってくるジョーダン・ルーデス<Key>のキーボードがまた圧巻。

ジョン・ペトルーシ<G>もヘヴィなリフを刻みながら迫ってきます。
すごいです。

1994年作『AWAKE』をメガトン級にした感じです。

3. Invisible Monster (6:31)

この曲も先行公開されていました。

曲調としては『AWAKE』「Innocence Faded」に似ていますね。

「Innocence Faded」が中音域中心の歌メロにシフトしたような感じで、ヴォーカル・メロディが心地良く流れてきます。

アルバム収録曲の中で最もキャッチーなナンバーです。

4. Sleeping Giant (10:05)

前半の演奏がとてつもなくスリリング。

重装備のマシーンが迫ってくるかのような迫力です。

ヘヴィなリフを軸としたスローな曲調でスタート。
その後に歌が入ってきて、ミドル・テンポをベースとした曲調になっていきます。

ラブリエのヴォーカルは、この「Sleeping Giant」ではやや高音域に突入。
伸びのある見事な歌唱で魅了してくれます。
ドラマティックな演奏をバックにしたサビが絶品です。

ペトルーシは、1音1音訴えかけてくるようなフレーズやテクニカルなソロで迫ってきます。
曲調によってアプローチを使い分けるのがうまいです。

そして08:59から再びスローでドラマティックに。
ここのラブリエのヴォーカルがまた圧巻です。

09:18からは1999年作『METROPOLIS PT. 2: SCENES FROM A MEMORY』収録の「Strange Deja Vu」を想起させる歌メロを放ちながら、また突き進んだ演奏で畳みかけます。
ここではマンジーニのドラムが特にすごいです。

5. Transcending Time (6:25)

アルバムの中で一番明るい雰囲気を持つナンバー。

2005年作『OCTAVARIUM』「I Walk Besides You」に似ています。

ラブリエの爽快感あふれるヴォーカル・メロディといい、バックで鳴り響くルーデスのピアノといい、ポジティヴな雰囲気に満ちた曲。

希望を感じさせるメロディ展開に胸が躍ります。

ラストは、演奏がフェードアウトし、ピアノがフェードインしてきます。

このアプローチは、曲調は異なるものの、2003年作『TRAIN OF THOUGHT』「In The Name Of God」に通じますね。

6. Awaken The Master (9:47)

再びダークでヘヴィな曲。

収録曲の中でも特にテクニカルな面が強く、オープニングから興奮します。

『TRAIN OF THOUGHT』の雰囲気に近く、ヴォーカルは中音域がベース。

ヘヴィなサウンドで迫ってくるギターとそのギターに重なりながら要所要所インパクトのあるフレーズを打ち出すキーボードが効果的です。

マンジーニのテンションの高いドラミングも存在感があります。

火花散るインスト・バトルからサビに戻る構成も素晴らしい。

フェイントをかけつつ力強さを維持した終わり方がまたかっこよく、このアプローチは『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』「Lost Not Forgotten」を思わせます。

7. A View From The Top Of The World (20:24)

アルバムを締めくくる注目の表題曲。

20分にも及ぶ大作です。

出だしは『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』「Outcry」を思わせます。

最初から躍動感あり→静かになる→勢いを取り戻しテクニカルへ→ エンディングといった20分です。

20分規模の大作では…

  • 1995年の「A Change Of Seasons」(23:09)
  • 2005年『OCTAVARIUM』「Octavarium」(24:00)
  • 2009年『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』「The Count Of Tuscany」(19:16)
  • 2013年『DREAM THEATER』「Illumination Theory」(22:17)

…がありました。

この「A View From The Top Of The World」は最初から展開を持たせていて、この序盤のアプローチは「Illumination Theory」に通じるものがあります。

メロディで魅せるラブリエのヴォーカルとスリリングなフレーズを伴った演奏にハッとさせられます。

09:04からはスロー・ダウンし、ミステリアスな雰囲気を醸し出しつつも美しいパートへ。
ここはペトルーシのギターとルーデスのキーボードが見事です。

そして、11:10からラブリエが歌で魅了してくれます。
低音で入り、徐々に音域を上げて高音ヴォーカルで聴かせるのですが、この展開がすごいです。
11:10から13:11までは全身鳥肌モノです。
歌が終わり、泣きのフレーズで攻めてくるギターがまた絶品。

その後テクニカルな要素が強めに出た演奏パートに移行し、エンディング・パートを迎えます。

DREAM THEATERは引っ張って引っ張ってエンディングを迎えるのがうまいですが、今回もその期待を裏切りません。

ダークでシリアスさを前面に出した劇的かつ意外な流れがあなたを待ち受けています。

2019年作『DISTANCE OVER TIME』「Pale Blue Dot」の終盤をさらに壮大にしたような展開です。

「終わったか…」と思っているところに、曲の最初のフレーズが再び入ってきてフェードアウト。

『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』「The Shattered Fortress」のように、やや不穏な雰囲気を残してアルバムは幕を閉じます…。

総評

素晴らしいアルバムです。

マイク・マンジーニ<Ds>加入後初の作品『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』は名盤ですが、その『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』と同等のクオリティです。

『DISTANCE OVER TIME』も強力でしたが、『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』は『DISTANCE OVER TIME』よりも上。

アートワークが公開された時は『OCTAVARIUM』か『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』のようなサウンドを予想していましたが、実際のアルバムのサウンドはダークでシリアスな音像でした。

過去の作品では『AWAKE』『TRAIN OF THOUGHT』『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』などに近く、マンジーニ加入以降最もダークな作品。

「Transcending Time」は明るい雰囲気の曲ですが、だからといって「Transcending Time」が浮いてるということはなく、ちゃんとアルバムの流れにハマっているのはさすがです。

20分の大曲「A View From The Top Of The World」を含む圧巻の70分。

タイトル曲「A View From The Top Of The World」は多くの展開を持つ劇的ナンバーでした。

エンディングは、壮大でありながらもややダークな雰囲気を残して意表を突くアプローチ。

最後の最後までドキドキさせてくれます。

『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』はDREAM THEATERの名盤の1つとして位置付けられる作品です。

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