DISTURBED『DIVISIVE』

DISTURBEDが8作目『DIVISIVE』を2022年11月18日にリリースしました。

全曲必聴のアルバムですので、各曲の特徴を紹介していきます。

7曲目の「Don’t Tell Me」にはHEARTアン・ウィルソン<Vo>がゲスト参加。

2015年6作目『IMMORTALIZED』に収録されていたSIMON & GARFUNKELのカヴァー「The Sound Of Silence」を聴いて感動したアンがDISTURBEDとの共演を希望したことから実現しました。

とうことは「The Sound Of Silence」の感動が再び?

『DIVISIBE』はそんなワクワクを抱えながら楽しめる作品でもあります。

メンバー

  • デイヴィッド・ドレイマン<Vo>
  • ダン・ドネガン<G>
  • ジョン・モイヤー<B>
  • マイク・ウェングレン<Ds>

『DIVISIVE』の収録曲

■DISTURBED/DIVISIVE (2022年)

  1. Hey You
  2. Bad Man
  3. Divisive
  4. Unstoppable
  5. Love To Hate
  6. Feeding The Fire
  7. Don’t Tell Me (feat. Ann Wilson)
  8. Take Back Your Life
  9. Part Of Me
  10. Won’t Back Down

各曲のレビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. Hey You

モダンでスリリングなSEがフェードインして攻撃開始。

曲調としては、前作『EVOLUTION』(2018年)のオープニング・ナンバー「Are You Ready」に通じます。

  • 00:28~ デイヴィッド・ドレイマン<Vo>が曲名を繰り返しながら、語り調のヴォーカルを展開
  • 01:05~ サビ。雰囲気が変わりキャッチーでメロディアスに
  • 02:48~ サウンドにエフェクトがかかり、混沌とした世界が広がる
  • 03:07~ 言葉数多めのデイヴィッドの語り風Vo

語り風の歌を展開し、サビでメロディックさを際立たせる攻めが効いています。

デイヴィッドの声は骨太なので「グルーヴィな語り」ですね。

1曲目から個性が炸裂です。

曲名が何度も何度も繰り返されるのに全然しつこさがなく、むしろかっこよく感じるのも魅力の1つといえます。

2. Bad Man

2曲目はミステリアスな女性の声がフェードインしてスタート。

リズミカルでシャープな曲調+神秘的さが加味されたサウンドが展開していきます。

「Hey You」同様、曲名が繰り返されます。

デイヴィッドは、最初はメロディアスに語り、サビで伸びやかに歌うといったスタイル。
独特でかっこいいです。

01:52からのダン・ドネガン<G>のギター・ソロがまたエキサイティング。
ヒステリックに展開していき、02:03から熱くピロピロします。

03:09からもいいフェイント。
曲名リピート&混沌の度合いが増し、エンディングを迎えます。

3. Divisive

  • 00:00~ マイク・ウェングレン<Ds>の気が引き締まるようなドラム+ダンの鋭いギター・リフ。2002年2作目『BELIEVE』のオープニング・ナンバー「Prayer」っぽい
  • 00:12~ デイヴィッドが歌い始める。00:24で音域を上げるところが◎
  • 00:51~ サビ。それまでより少し緩くメロディアスに

「Prayer」はシャープさを維持しながらの変則的なナンバーでしたが、この「Divisive」は「Prayer」を通常モード寄りにした感じです。

あと、かっこいいのはギター・ソロ。

サビが終わりきる前にソロに突入し(02:22~)、ピロピロ弾きまくり+エモーショナルに展開します。

03:33でいったん止めて歌を再開するところもナイスなフェイント。

4. Unstoppable

  • 00:00~ 重厚でアグレッシヴな演奏。メロディック・メタル寄り。SEVENTH WONDER「The Light」(2022年6作目『THE TESTAMENT』収録)の出だしを想起
  • 00:15~ デイヴィッドの歌。言葉数多めの語りを交える
  • 00:47~ サビ。伸びやかにメロディックに展開

マイクのバスドラの連打を絡めながらのメタリックな演奏がかっこよく、その中でデイヴィッドの語り風→メロディアスな歌が進行します。

中盤も面白い。

  • 02:30~ デイヴィッドの吐き捨て
  • 02:38~ いろんな「I am」。ささやき→普通の声→エコー
  • 03:05~ デイヴィッドの吐き捨て、再び

02:30や03:05のようなデイヴィッドの吐き捨てもDISTURBEDの個性の1つですね。
2000年デビュー作『SICKNESS』収録の名曲「Down With The Sickness」の興奮が蘇ります。

03:42からの笑い声→エフェクト処理の声→「I am unstoppable」の声を前面に出す締めくくり方も見事です。

始まりの演奏が「Unstoppable」の出だしに通じるSEVENTH WONDERの「The Light」。
「DISTURBEDとSEVENTH WONDER?」となるかもしれませんが、似てます。

5. Love To Hate

始まりがすごいインパクト。
爆風で吹き飛ばされたような感覚です。

  • 00:09~ ジョン・モイヤー<B>の骨太なベースがクール。演奏そのものにも弾力性があり。デイヴィッドはリズミカルかつグルーヴィなヴォーカル
  • 00:47~ マイクのかっこいいドラムの畳みかけと共にトーンを変える。「何かが起こりそう」的
  • 00:57~ サビ。00:47~よりテンションを少し緩めてメロディアスに
  • 02:14~ ダンの鋭いギター・リフが前面に
  • 02:23~ デイヴィッドの言葉を区切りながらのパフォーマンスが◎
  • 02:43~ ピタッと止まり、ミステリアスなSEフェードイン。演奏再開

シャープでダイナミックな音像の中で曲調のが何度か変化していく構成が面白いです。

6. Feeding The Fire

演奏のテンションは「Love To Hate」を維持。
そこにドラマティックさが加味された感じです。

バックからひそかに聞こえてくる光線のようなSE(00:21~をはじめ頻繁に登場)も面白い。

ちょっと引いた感じのデイヴィッドのパフォーマンスが印象的です。
声のトーンも違いますね。

攻めの唱法が前面に出ていた「Love To Hate」の後ということもあり、なおさらこのアプローチが際立ちます。

7. Don’t Tell Me (feat. Ann Wilson)

記事の冒頭でも触れたHEARTアン・ウィルソン<Vo>参加曲。

「The Sound Of Silence」を聴いて感動したアンですが、彼女が参加したこの「Don’t Tell Me」はオリジナル。

「The Sound Of Silence」でのアプローチを主軸に劇的に展開するすばらしいナンバーです。

「アンとDISTURBEDが“The Sound Of Silence”風のオリジナルを演るとこうなります」的な展開。
鳥肌モノです。

  • 00:14~ リードVoはデイヴィッド。悲壮感漂うメロディ
  • 01:14~ マイクのドラムが入る
  • 01:16~ アンが登場。すごいオーラ
  • 01:37~ デイヴィッドがハモる
  • 01:49~ アンのみの声に。HEARTの名バラードを聴いているような錯覚に

  • 01:52~ エレクトリックに展開
  • 02:14~ 堂々と泣くギター・ソロ
  • 02:38~ 低音域でのデイヴィッドの歌唱が染みる。アンもハモる 

エンディングに向かう流れも絶品です。

  • 03:39~ 印象的な「オ~オ~オ~」が続く
  • 04:00~ エレクトリックな演奏がフェードアウト→アコースティック・ギターがフェードイン→「オ~オ~オ~」はデイヴィッドの声が前面に
  • 04:19~ スリリングなサウンド→「オ~オ~オ~」で終わる

見事です。

8. Take Back Your Life

  • 00:00~ サイバー系SEにワクワク→ハードでガッツあふれる演奏
  • 00:15~ デイヴィッドのシャープなヴォーカル
  • 00:33~ サビ。「Ta~ke back your life」と伸ばしながら歌うデイヴィッド+ささやき風エフェクトの声がクール。サビが展開していく中で00:46から哀愁度が増す
  • 00:52~ デイヴィッド、リズミカルに歌いながら「ワオ!」
  • 01:40~ 言葉数多めな語り風Vo→「Ta~ke back your life」のサビに戻る

オープニングの「Hey You」に通じるナンバーですが、サビで哀愁オーラが出ているので、アルバム後半に向いていますね。

エフェクトがかかったささやき→「ワオ!」の締めくくり方(02:46~)もかっこいい。

9. Part Of Me

「Unstoppable」に似たスタートを切りますが、速度はちょっと「Unstoppable」より遅め。

ダンのエッジの効いたギター・サウンドにデイヴィッドのエモーショナルかつメロディアスな歌が乗ります。

特にサビ(00:46~)の歌メロが素敵。
曲調はハードなのに清涼剤のような効果があります。

以下のアプローチもいいスパイスです。

  • 01:23~ 不敵な笑い
  • 01:58~ トーンを変えてヘヴィな演奏
  • 02:13~ デイヴィッドがモゴモゴ
  • 02:28~ 「Down With The Sickness」のような「ワ」「ア」「ア」「ア」+「アウ!」。その後パワフルなかけ声
  • 03:42~ 熱いかけ声再び

10. Won’t Back Down

リズミカルでヘヴィな演奏を軸に進行します。

オープニングでもおかしくないような曲調ですが、デイヴィッドの歌メロ全体からは哀愁オーラが放出。

ということでラストにぴったりです。

以下の攻めも見事。

  • 01:01~ 演奏を止めてデイヴィッドの声+ウィーン!なギター
  • 01:29~ 「Hey!」「Hey!」→エフェクトの声
  • 01:46~ デイヴィッドの吠え+吐き捨て的な「ウワオ!」→演奏再開
  • 02:04~ つまづいたようなアプローチ、サビに戻る

技が多彩です。

総評

重厚でダイナミズムに満ちたサウンドの中でデイヴィッド・ドレイマン<Vo>の独特な唱法が光ります。

語り調のアプローチや吐き捨てはデイヴィッドならでは。
同時にメロディアスなパートもかっこよくキメてくれます。

大ヒットした「The Sound Of Silence」のアプローチをオリジナルで体験できる「Don’t Tell Me」の存在も大きいですね。
HEARTアン・ウィルソン<Vo>とのコラボは見事でした。

バラード調の曲はこの「Don’t Tell Me」のみに抑えて、あとはハードなナンバーで埋め尽くす力強い作風にも拍手です。

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