スウェーデンのハード・ロック・バンド、CRAZY LIXXが7作目『STREET LETHAL』を2021年11月5日にリリースしました。
ポジティヴなオーラ全開の力作ですので、本記事で紹介します。
CRAZY LIXXのサウンドは以下のような特徴があります。
- 80年代の懐かしさを感じさせるハード・ロック
- 美しくキャッチーなコーラス・ワーク
- ダニー・レクソン<Vo>の表現力の高いヴォーカル
ドライヴ感のある曲が多く、ダニー・レクソン<Vo>のヴォーカルはテッド・ポーリー<Vo:DANGER DANGER>のような伸びがありますので、DEF LEPPARDの『PYROMANIA』(1983年3rd)やDANGER DANGERの『DANGER DANGER』(1989年1st)に通じるものがあります。
曲によってはFIREHOUSEっぽく感じる時もあります。
名盤である2010年2nd『NEW RELIGION』をはじめ、クオリティの高い楽曲が多いCRAZY LIXX。
『STREET LETHAL』は、バンドの持ち味を生かした傑作となっていますので、おすすめ曲をピックアップして聴きどころを紹介していきます。
バンド史上最長となる7分台の曲「Thief In The Night」でアルバムを締めくくるという点にも注目です。
『STREET LETHAL』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の9曲がおすすめです。
■CRAZY LIXX/STREET LETHAL (2021年)
- Enter The Dojo
- Rise Above
- Anthem For America
- The Power
- Reach Out
- Final Fury
- Street Lethal
- Caught Between The Rock N’ Roll
- In The Middle Of Nothing
- One Fire – One Goal
- Thief In The Night
メンバー
- ダニー・レクソン<Vo>
- イェンス・ルンドグレン<G>
- クリッセ・オルソン<G>
- イェンス・アンダーソン<B>
- ジョエル・シレラ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Enter The Dojo
幕開けとなるイントロです。
曲名に「Dojo」とあるとおり、アジアを想起させるサウンド。
中国の山奥のようなイメージです。
映画『ベスト・キッド』(2010年リメイク版)で、ジェイデン・スミスとジャッキー・チェンが山奥に修業に行くシーンがあるのですが、その修業場所の風景が思い浮かびます。
00:54からののキーボードがもろに80年代で、EUROPEの「The Final Countdown」が始まりそうな感じでワクワクします。
2. Rise Above
「Enter The Dojo」からつながります。
パワフルなドラムでスタートし、LAメタル風のシャープなリフで突き進みます。
ゴージャスできれいなコーラスを伴ったノリのよいナンバー。
オープニングからバンドの個性が炸裂です。
ギター・ソロもスリリング。
JUDAS PRIESTの「Between The Hammer And The Anvil」(1990年作『PAINKILLER』収録)みたいなパート(03:01~)もあり、聴いていてゾクゾクします。
3. Anthem For America
こちらも力強いスタートです。
「Rise Above」同様、切れ味鋭いギター・サウンドが心地良く刻まれていきます。
グルーヴ感あふれるナンバーで、ダニー・レクソン<Vo>のエモーショナルなヴォーカルが光ります。
そこにダイナミックなコーラスを乗せてきます。
極上メロディを畳みかけてくるアレンジが絶品。
エネルギッシュなギター・ソロの組み込み方もうまいです。
4. The Power
もろにDEF LEPPARDで最高です。
爆発力があるドラムと共にスタートします。
スローで力強い曲調なので、DEF LEPPARDの「Pour Some Sugar On Me」(1987年4th『HYSTERIA』収録)を思わせます。
ダニーのエネルギッシュなヴォーカルと美しく分厚いハーモニーを軸に曲が進行していきます。
さらに、バックからもパワフルなかけ声で攻めてくるので、テンション上がりまくりです。
6. Final Fury
約2分のインストゥルメンタル。
80年代っぽいキーボードで始まり、スリリングなSE、印象的なフレーズのギターが重なってきます。
01:07からはこのギターのフレーズがエモーショナルに展開ていくのですが、これが体中に響いてきます。
7. Street Lethal
アルバム・タイトル曲。
WHITESNAKEを彷彿させるパワフルなハード・ロックです。
ダニーのエネルギッシュなヴォーカルにSEが絡んで曲が展開していくのですが、このアプローチにフックがあります。
01:31からのギター・ソロも曲調と合っていてナイス(入り方もパンチ力があってかっこいい)。
聴いてるとテンションがどんどん上がっていきます。
「Final Fury」とセットで楽しみましょう。
8. Caught Between The Rock N’ Roll
やや土臭さを漂わせる感じでスタート。
「Street Lethal」よりスピード・ダウンするものの、ドライヴ感あふれるナンバーです。
リード・ヴォーカルとコーラスが最初から最後まで素晴らしく、ダニーのヴォーカルにゴージャスなコーラスが絶妙に絡みます。
歌メロは全編ハイライトです。
歌からギター・ソロに流れる02:30からの構成がまた絶品です。
03:45からはまた土臭さを漂わせてフェードアウトしていきます。
ダイナミックさと渋さが同居した絶品ナンバーです。
9. In The Middle Of Nothing
『STREET LETHAL』唯一のバラード。
ですが、上の曲目リストでは太字にしていません。
クオリティは高いのですが、2010年2nd『NEW RELIGION』収録の「What Of Our Love」のような素晴らしい曲をすでにリリースしていただけに、CRAZY LIXXにしては普通かなという印象。
バラードに関しては次作に期待です。
10. One Fire – One Goal
グルーヴ感あふれるメロディアス・ハード・ロック。
ギターのメロディが心地良く、そこにコーラスが被さる絶品のアレンジです。
清涼感を前面に出した歌メロも最高。
FIREHOUSEっぽいです。
「夕日」「夕方」「海沿い」「ドライブ」といった言葉が浮かびます。
聴いてきてやる気がみなぎってくる曲調。
魅力あるヴォーカルとコーラスで、あなたを後押ししてくれます。
歌メロの途中にインパクトのあるギター・フレーズを挟む構成がまた素晴らしいです。
11. Thief In The Night
ラストはバンド史上最長となる7分以上の曲。
必殺キラー・チューンです。
ドラマティックなキーボードと泣きのギターでスタート。
グッときます。
曲は、エッジのあるギターを軸としたミドル・テンポで進んでいきます。
やや哀愁味を帯びたヴォーカルのメロディがいいですね。
ダニーの歌メロに、極上コーラスが被さり、これでもかとあなたに迫ります。
アルバムの最後だけあって、こういうメロディ展開は体に染みこんできます。
04:17からはギターが聴かせてくれます。
泣きメロが炸裂した絶品のギター・ソロを体験できます。
そして、05:52からきれいなコーラスが被さってくるのですが、このアプローチが絶品。
メロディアスな演奏と美しいコーラスがそのままフェードアウトし、アルバムは幕を閉じます。
総評
メロディが充実の傑作です。
ダニー・レクソン<Vo>のヴォーカルは説得力抜群ですし、演奏面でもハッとさせられます。
フックのある歌メロの後にインパクト抜群のギター・ソロで魅了してくるアプローチはさすがです。
「Thief In The Night」のように、歌、ギター・ソロだけで終わらず、さらに美しいコーラスで畳みかけてくる曲もあるので、攻め方のうまさを実感できる作品です。
2010年2nd『NEW RELIGION』は名盤でした。
前作『FOREVER WILD』(2019年)も力作でした。
『STREET LETHAL』も間違いなく傑作です。
ポジティヴなエネルギーに満ちた作品です。
「聴いてよかった。よし、明日からがんばろう!」
聴き終えた後は、そんな前向きな気分になれます。
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