スウェーデンのロックン・ロール・バンド、CRASHDIETが通算6枚目のアルバム『AUTOMATON』を2022年4月29日にリリースしました。
ガブリュエル・キーズ<Vo>をシンガーに迎えて2作目。
予想以上の完成度です。
ガブリエル加入後初の『RUST』(2019年)も良作でしたが、この『AUTOMATON』はすごい。
2曲目「Together Whatever」以降は全曲必聴です(「Automaton」は1分未満のイントロなので…)。
『AUTOMATON』の収録曲とおすすめ曲
ということで、以下の太字の11曲がおすすめです。
■CRASHDIET/AUTOMATON (2022年)
- Automaton
- Together Whatever
- Shine On
- No Man’s Land
- Darker Minds
- Dead Crusade
- Powerline (feat. Michael Starr)
- Resurrection Of The Damned
- We Die Hard
- Shell Shock
- Unbroken
- I Can’t Move On (Without You)
メンバー
- ガブリュエル・キーズ<Vo>
- マーティン・スウィート<G>
- ピーター・ロンドン<B>
- エリック・ヤング<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
2. Together Whatever
エリック・ヤング<Ds>の力強いドラミングに導かれてマーティン・スウィート<G>のメロディックなギターが被さってスタート。
マーティンのギターは、ガブリュエル・キーズ<Vo>の歌が入ると、鋭いリフに。
印象的なフレーズ(00:38~)を絡めながらザクザク攻めてきます。
ざらついた声でのガブリュエルの熱唱のバックで要所要所に登場するガッツのあるコーラスがクールですね。
『SKID ROW』で聴かれるような勇ましさです。
02:33からはマーティンのギター・ソロ。
エネルギッシュでメロディックなプレイでエキサイトさせてくれます。
3. Shine On
重厚でリズミカルな曲。
破壊力のあるサウンドで勇ましいコーラスがクールです。
コーラスは、出だし(00:09~)、サビ(00:55~)、中盤(01:58~)と何度も登場します。
これがいいですね。
そしてガブリュエルの高音域でのエネルギッシュな歌唱が圧巻です。
00:45からの歌メロの展開は特にエキサイティング。
終盤の03:14からのところもキレッキレです。
爆発力のある曲調と男臭いパワフルなコーラス。
『DR. FEELGOOD』+『SKID ROW』ですね。
4. No Man’s Land
鋭さいリフにメロディックな旋律を絡めたマーティンのギターを軸に進行していくノリのよいナンバー。
「Together Whatever」同様、シャープさとメロディアスさの両方に重点を置いたギター・プレイが光ります。
サビでは曲のタイトルがコールされ、ゴージャスでキャッチーな歌メロ展開が力強くて快感。
02:34からはマーティンがギター・ソロでエキサイトさせてくれます。
アグレッシヴさを維持しながらインパクトのあるメロディを放つプレイ。
見事です。
03:07でいったんスロー・ダウンし、ガブリュエルの歌を入れてからゴージャスなサビに戻る構成もいいですし、03:48から追いかけてくるメロディックなフレーズも耳に残ります。
5. Darker Minds
バラード寄りのメロディアス・チューン。
最初のギターのフレーズでまずやられます。
00:27でのハーモニーもきれいですね。
そして00:43からノスタルジックで哀愁を帯びた歌メロが展開。
絶品です。
02:30からはガブリュエルが伸びのある歌唱を高音を絡めながら披露。
見事な表現力です。
こみ上げてくるようなメロディが満載の鳥肌ナンバーです。
6. Dead Crusade
マーティンのシャープなギター・リフ+エリックの迫力のドラムでスタート。
この曲は中盤の演奏パートが特にエキサイティングです。
まず要所要所でインパクトのある連打を披露するエリックのドラム。
鋭いジャブの連打といった感じで刺激的です。
そして以下の流れですね。
- 02:10~ マーティンのエモーショナルなギター・ソロ
- 02:21~ エリックのドラムの連打
- 02:32~ シャープなリフがザクザク刻まれる
- 02:42~ 再びマーティンの情のこもったプレイ
スリリングです。
ガブリュエルのエモーショナルな高音域での歌の後に流れてくるメロディアスなギターも染みてきます。
7. Powerline (feat. Michael Starr)
STEEL PANTHERのマイケル・スター<Vo>がゲスト参加。
曲名によるサビからスタートします。
美しいハーモニーです。
マーティンのメロディックかつ鋭角的なギターとガブリュエルの高音域の歌唱が見事です。
01:33からはマイケルがリード・ヴォーカル。
中音域を軸に歌い、01:59ではハイトーンを登場させたりと緩急のある歌唱で魅了します。
そして以下もマイケルの声です。
- 03:08(マーティンのギター・ソロ)
- 03:21(エリックのドラムの連打)
- 03:41(サビ)
- 03:49(サビ)
きれいなハーモニーによるサビから始まって曲の本編に突入するアプローチは、2007年2nd『THE UNATTRACTIVE REVOLUTION』収録の「Overnight」(Voは現RECKLESS LOVEのオリ・ヘルマン)を思わせますね。
8. Resurrection Of The Damned
マーティンの切れ味抜群のギター・リフとエリックのパワフルなドラムがかっこいいです。
サビではガブリュエルの伸びのあるエネルギッシュな歌が高音域で展開。
そして、ゴージャスなコーラスが絡みます。
ここのコーラスは80年代を思わせながらも少し透明感があるアレンジで、「Shine On」とはひと味違ってて面白いです。
01:58からの早口言葉的唱法からギター・ソロに流れる構成もクール。
ソロそのものも、ミック・マーズが弾きそうなエモーショナルなフレーズでエキサイティングです。
9. We Die Hard
出だしの重厚かつメロディックなギター(DEGREEDっぽい)で「あ、極上のメロディが期待できそう」とワクワクさせられます。
実際、最高です。
最初はガブリュエルの歌1本、00:33からは哀愁度が増していき「ヤバそう」となります。
そして00:39からのサビではコーラスが絡んで、哀愁度炸裂。
ここは絶品です。
美しく、哀愁のあるメロディ…素晴らしいです。
02:52からエフェクトのある声になるところもいいアクセント。
後半のサビでは、ガブリュエルの高音パフォーマンス(03:24~、03:40~、03:57~)が絶妙に絡みます。
ただし、あくまでもサビ優先。
高音域の歌を前面に出しすぎないようにしているところがまたニクいです。
10. Shell Shock
ピーター・ロンドン<B>の弾力性のあるベース、エリックのどっしりとしたドラム、マーティンのハードなギターが心地良いガッツあふれるナンバー。
ガブリュエルのヴォーカルは、最初は何かをため込んだような感じで進行。
サビに向けて徐々にテンションが上がります。
そしてサビでは「Shine On」のような力強いコーラスが登場。
重厚でダイナミックです。
美しい「We Die Hard」の後ということもあり、パワフルさが際立ちます。
02:06からちょっとミステリアスになって、02:26からエネルギッシュなギター・ソロに移行する流れもかっこいいです。
11. Unbroken
アップ・テンポの曲。
00:10からのマーティンのメロディックなギター・プレイがまず心地良いです。
ガブリュエルの歌が入ると鋭いリフが刻まれ、引き締まります。
徐々に高揚感が増していき、01:05からのサビでは絶品のメロディが展開。
興奮しつつも安堵感も得られる。
そんな充実感を味わえます。
サビの直後に流れてくるギターの旋律(01:25~)もいいですね。
02:31からちょっと歪みのある歌メロが展開され、そこにメロディアスなギターが絡む02:41からの構成も面白いです。
12. I Can’t Move On (Without You)
ラストはドラマティックなバラード。
美しい演奏+ガブリュエルの切ない歌唱で進んでいきます。
マーティンのギターは、美麗さだけでなく、渋さも前面に出しながら魅了します(00:00~、01:32~、02:46~)。
そして03:14からバンド演奏に。
ストリングスを強めながらエレクトリックになる攻め方がまたいいですね。
ガブリュエルの歌唱も高音域を絡めながらエモーショナルになります。
マーティンのメロディックなギターもガブリュエルの熱唱と見事なコンビネーションをみせ、感動の度合いが高まります。
エリクトリックのパートはもう少し長くてもよかったのですが、高品質なバラードであることは間違いありません。
総評
CRASHDIETの『AUTOMATON』を紹介しました。
超強力作です。
CRASHDIETは、アルバム発売に先がけて「Together Whatever」と「No Man’s Land」を先行公開していました。
いずれも高品質でエネルギッシュなナンバーでしたが、アルバム全曲を聴いてみるとこの2曲よりも格段にかっこいい曲ばかりでした。
しかも「Together Whatever」の次にくるのが「Shine On」。
これはすごいインパクトです。
そして「No Man’s Land」以降も極上ナンバーばかり。
先行公開曲より質の高い曲がたくさんあると得した気分になりますが、『AUTOMATON』はまさにそれ。
「こんなすごい曲を用意していたのか!」
そんな驚きと興奮を味わえます。
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