BLIND GUARDIANが『THE GOD MACHINE』を2022年9月2日にリリースしました。
名作『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』(1995年5作目)に通じるアプローチが満載。
劇的です。
疾走もします。
攻撃的要素を取り戻した頼もしい作品ですので、おすすめ曲を挙げながら特徴をレビューしていきます。
レビュー内には『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』収録曲がたくさん登場します。
『THE GOD MACHINE』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の6曲がおすすめです。
■BLIND GUARDIAN/THE GOD MACHINE (2022年)
- Deliver Us From Evil
- Damnation
- Secrets Of The American Gods
- Violent Shadows
- Life Beyond The Spheres
- Architects Of Doom
- Let It Be No More
- Blood Of The Elves
- Destiny
メンバー
- ハンズィ・キアシュ<Vo>
- アンドレ・オルブリッチ<G>
- マーカス・ズィーペン<G>
- フレデリック・イームク<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Deliver Us From Evil
邪悪っぽい語りにハンズィ・キアシュ<Vo>の独特のヴォーカルが乗って疾走するパワー・メタル・チューン。
『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』収録の「I’m Alive」を思わせます。
00:26からの展開なんかは特に「I’m Alive」ですね。
バスドラは連打し続け、曲はシャープさを保ちながら進行していきます。
そして01:13からサビ。
雄々しく歌メロが展開していきます。
かっこいい。
同時に「ああ、ブラガだなあ」となんかホッとします。
02:04からの重厚かつメロディックなパートや03:18からのダイナミックなソロ(03:41から短時間加速するフレデリック・イームク<Ds>のドラムがまた◎)など、アンドレ・オルブリッチ<G>とマーカス・ズィーペン<G>のギターもスリリング。
前作『BEYOND THE RED MIRROR』(2015年10作目)のオープニング「The Ninth Wave」は大作でしたが、『THE GOD MACHINE』はアグレッシヴなナンバーで幕を開けます。
2. Damnation
哀愁のギターが奏でられる中、00:12からハンズィが歌い出してスタート。
ここでの歌メロは『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』収録の「Mordred’s Song」っぽいです。
「Mordred’s Song」あるいは同じく『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』収録の「Bright Eyes」っぽく進行していきそうな雰囲気ですが、そうではありませんでした。
00:27からフレデリックが力強いドラムを叩き、00:38からスピードアップ。
「Deliver Us From Evil」に続いて、この「Damnation」も疾走します。
今回のBLIND GUARDIANは本当にアグレッシヴ。
分厚いハーモニーを絡めながら展開していく構成は「The Script For My Requiem」(これも『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』収録)を思わせます。
要所要所で印象的なプレイをするギターも見事。
01:39から歌が入るまでのちょっとしたところでも聴かせてくれますし、03:00からのソロもメロディックかつスリリングです。
ハンズィの歌が終わると同時に05:03からエンディングまでフレーズを響かせるところもかっこいい。
3. Secrets Of The American Gods
7分半のナンバー。
アルバム収録曲の中では一番長いです。
まず00:47からがいいですね。
シンフォニックなキーボードとメロディックなギターが交互に攻めてきます。
以降はそこそこの躍動感を保ちながら進み、01:56からのサビでちょっとスロー・ダウン。
劇的な演奏の中で魅力的な歌メロが響き渡ります。
そして再びキーボードとギターが交互に舞うという展開。
痺れます。
03:59からのギター・ソロもエモーショナルな度合いの緩急のつけ方が見事。
『BEYOND THE RED MIRROR』や『AT THE EDGE OF TIME』(2010年9作目)に通じる世界観ですね。
4. Violent Shadows
うねりのある攻撃的なリフが刻まれて疾走。
『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』の「Born In A Mourning Hall」のような感じです。
00:18からハンズィのエネルギッシュな歌が入り、01:08からサビなのですが、そのまま「Born In A Mourning Hall」のサビにつながってもおかしくないような展開です。
で、この「Violent SHadows」のサビはどうかというと、パワフルかつシンフォニックな感じ。
曲に突進力があるので、アグレッシヴさが際立ちます。
01:27からは「Time Stands Still (At The Iron Hill)」(1998年6作目『NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH』収録)のよう。
短い時間ですが、ここもいいアクセントです。
02:35からはメロディックでピロピロなギター・ソロ。
鋭い曲調とは対照的なフレーズがどんどん出てくるので耳に残りやすいですね。
03:07からの「ウィーン!」のパートにハンズィが重なって歌い始めるアプローチもクールです。
7. Let It Be No More
出だしが『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』の「Bright Eyes」っぽいです。
「Bright Eyes」のように骨太で劇的に進行していくのかと思ったら、00:32からハンズィが静かに歌い始めます。
バラードでした。
分厚いハーモニーと共に展開していく00:18からすばらしい。
「Let it be」「no」「more」と曲名を交えながら伸びやかに歌い上げます。
02:48からの泣きのギター・ソロも説得力抜群。
ゆ~っくりと体に浸透してきます。
アグレッシヴなパワー・メタルと劇的ナンバーが続いていたので「そろそろバラードがほしい」と思っていたところにこの感動的なナンバー。
感謝感激です。
8. Blood Of The Elves
バスドラ連打+シャープなリフを軸に進むパワフルなナンバー。
同日に16作目『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』をリリースしたMEGADETHの「We’ll Be Back」のシンフォニック・パワー・メタル版といった感じですね。
特に最初のザクザクしたギターは「We’ll Be Back」です。
「We’ll Be Back」はアルバム本編ラスト。
そしてこの「Blood Of The Elves」もアルバム終盤。
曲の配置が似てるのも面白い。
歌メロの展開は…
- サビまでのインパクトは普通
- サビで突然ドラマティックでメロディックに。分厚いハーモニーも重なる
…といった感じ。
サビで突然飛躍するところがいいですね。
「Deliver Us From Evil」同様、「ああ、ブラガだなあ」となります。
04:05からエンディングに向かうところもエキサイティング。
メロディックなギターの後にハンズィのヴォーカルが続くのですが、歌もギターも徐々にテンションが上がっていきます。
04:18からはハンズィの歌が、042:6からはギターがヒートアップします。
熱い。
総評
1995年の名作『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』の色が濃く出ています。
しかも『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』のアグレッシヴな面が強調されてるのがうれしいですね。
『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』収録曲に通じるスタートを切り、本編は予想外の展開をみせる以下の2曲も面白かった。
- 「Damnation」…出だしは「Mordred’s Song」。その後疾走
- 「Let It Be No More」…始まりが「Bright Eyes」。本編はバラード
全体的に歌メロやサビでのドキドキするようなインパクトは『IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE』の頃に比べるとやや落ちるのですが、激しさを取り戻したことが何よりも大きい。
終盤に鋭い「Blood Of The Elves」を持ってくるところにも攻めの姿勢を感じます。
劇的でスピード感のあるアルバムです。
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