BLACK VEIL BRIDESが通算6作目『THE PHANTOM TOMORROW』を2021年10月29日にリリースしました。
ドキドキする作品ですので、本記事でおすすめします。
BLACK VEIL BRIDESには以下のような特徴があります。
- アンディ・ビアサック<Vo>は哀愁のある声質で、元HIMのヴィレ・ヴァロを思わせる
- コーラスがキャッチーでダイナミック
- ドラマティックな要素もある
- シリアスさを前面に出している
- 「ダーク・ロック」と例えられることがある
魅力的な声によるキャッチーなメロディがすんなり入ってくるあたりは、NICKELBACKやSIXX: A.M.あたりを想起させますし、ゴージャスなコーラスのアレンジは、2015年5th『THAT’S THE SPIRIT』の頃のBRING ME THE HORIZENに通じるものがあります。
『THE PHANTOM TOMORROW』もフックのあるアプローチが満載ですので、聴きどころを紹介していきます。
『THE PHANTOM TOMORROW』はコンセプト・アルバム

『THE PHANTOM TOMORROW』は空想の世界を舞台にしたコンセプト・アルバム。
追放された者と、その追放先の世界を統治するヒーローとの物語を描いた作品です。
BLACK VEIL BRIDESはこれまでに以下のコンセプト・アルバムを発表しています。
- 2013年3rd『WRETCHED AND DEVINE: THE STORY OF THE WILD ONES』
- 2018年5th『VALE』…『WRETCHED AND DEVINE: THE STORY OF THE WILD ONES』の前日譚
『WRETCHED AND DEVINE: THE STORY OF THE WILD ONES』は小曲を多く取り入れていて全19曲。
構成としてはBLIND GUARDIANの1998年6th『NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH』のような感じです。
トータル51分の作品。
一方『VALE』は、語りのSE「Incipiens Ad Finem」で幕を開けて、以降は小曲はなし。
全12曲、トータルで46分という作風です。
『THE PHANTOM TOMORROW』は全12曲中小曲は2曲のみで、トータルで41分といった構成。
『VALE』のスタイルを踏襲したコンパクトはコンセプト・アルバムとなっています。
『THE PHANTOM TOMORROW』の収録曲とおすすめ曲

『THE PHANTOM TOMORROW』のおすすめ曲を紹介していきます。
以下の太字の7曲がおすすめです。
■BLACK VEIL BRIDES/THE PHANTOM TOMORROW (2021年)
- The Phantom Tomorrow (Introduction)
- Scarlet Cross
- Born Again
- Blackbird
- Spectres (Interlude)
- Torch
- The Wicked One
- Shadows Rise
- Fields Of Bone
- Crimson Skies
- Kill The Hero
- Fall Eternal
メンバー
- アンディ・ビアサック<Vo>
- ジンクス<G>
- ジェイク・ピッツ<G>
- ロニ・イーグルトン<B>
- クリスチャン“CC”コーマ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. The Phantom Tomorrow (Introduction)
ドラマティックなキーボードとメロディアスなギターが鳴り響く序曲。
徐々に劇的度が増していく展開が秀逸です。
約1分半のイントロですが、聴いてるだけで「これからどういうふうにアルバムが展開していくのだろうか」とワクワクします。
「Scarlet Cross」につながる形ではなく、「The Phantom Tomorrow (Introduction)」1曲として独立しています。
2. Scarlet Cross
アンディ・ビアサック<Vo>の美声を生かしたメロディアス・チューン。
キャッチーなサビではダイナミック度がUPします。
ゴージャスなコーラスがまた見事で興奮度を高めてくれます。
ザクザク刻むリフを背に、インパクトのあるフレーズを連発する02:18からのギター・ソロも見事です。
4. Blackbird
グルーヴ感のある曲調とメロディアスなギターが心地良い曲。
そこにアンディのメロディアスなヴォーカルが乗り、勇ましいコーラスが被さってきます。
ヴォーカルの合間にギターのメロディックなフレーズを顔を出すのですが、このフレーズがインパクト抜群。
歌とギターが交互に魅力的なフレーズて訴えかけてくるアプローチが圧巻です。
6. Torch
キラー・チューンです。
ダークなイントロでスタートするドラマティックなナンバー。
思わず「お!」と声が出そうな、フックのあるオープニングです。
収録曲の中でもキーボードが特に前面に出た曲。
劇的な演奏をバックにアンディが物悲しいメロディを歌い上げます。
そして、アンディの歌からギター・ソロに流れていく02:13からの構成が素晴らしく、そのソロがまた絶品。
03:11からは哀愁のあるコーラスが重なってくるのですが、これもヤバい。
これでもかと言わんばかりに感動的なアプローチをどんどん仕掛けてきます。
7. The Wicked One
鋭いギターでスタートするグルーヴ感あふれるナンバー。
そして徐々にドラマティック度を増していき、メロディアスなギターとゴージャスなコーラスが被さります。
シャープなギター、劇的なキーボード、哀愁ある歌メロが見事に融合した絶品ナンバーです。
03:18から鋭角的なギター・サウンドが再び前面に出て終わるアプローチがまた素晴らしいです。
8. Shadows Rise
ストリングスを駆使した神秘的なスタート。
そしてヘヴィなギターが入り、躍動感のあるキーボードが追いかけてくるというドキドキの展開をみせます。
エモーショナルで熱いアンディのヴォーカルにぐいぐい引き込まれます。
要所要所に登場するストリングスがいいアクセントになっていて、特に03:26からの演奏パートはスリリングで絶品です。
10. Crimson Skies
後半のキラー・チューン。
オープニングからかっこよくてガッツポーズですね。
以降はザクザクしたリフとアンディのメロディアスなヴォーカルを軸に曲が進みます。
ダイナミックでメロディアスなサビが心地良く、さらにバックから魅力的なコーラスを重ねてきて、興奮度を高めてくれます。
初期のBLACK VEIL BRIDESにみられたスクリームも登場(02:32~、03:31~)。
最初のスクリーム(02:32~)の後に流れてくる02:46からのギター・ソロがまた快感です。
総評
BLACK VEIL BRIDESの6作目『THE PHANTOM TOMORROW』。
力作です。
各曲のクオリティが高く、トータル時間が41分と短めなのもまたいいです。
特に中盤以降にテンションが上がるナンバーが配置されています。
徐々に展開が面白くなっていくドラマのような感じです。
内容の濃い約40分のドラマを観た後の満足感。
『THE PHANTOM TOMORROW』を聴き終えた後は、これと似たような充実感を得られます。
コメント