BLACK STONE CHERRYの8作目『SCREAMIN’ AT THE SKY』のレビューです。
2023年9月29日にリリースされました。
過去の作品では2016年5th『KENTUCKY』に近く、骨太なサウンドの中で親しみやすいメロディが醸成されています。
中盤以降には極上メロディアス・ナンバー、ジワる系、バラード調の曲(スタートがドリカム)もあり。
そしてラストは彼ららしいスタイルでかっこよく締めくくります。
傑作です。
【メンバー】
クリス・ロバートソン<Vo/G>
ベン・ウェルズ<G>
スティーヴ・ジュエル・ジュニア<B>
ジョン・フレッド・ヤング<Ds>
以下の11曲がおすすめです。
1. Screamin’ At The Sky
- 00:00~ ハードな音がフェードイン → ガツンとダイナミックに
- 00:27~ クリス、魂を込めて歌い始める
- 00:55~ メロディアスなサビ。01:10からは「screa~~min’ a~t the sk~~y」
- 02:17~ ギター・ソロ。火花が散り、エモーショナルに
スタートから00:27~の流れでもうかっこいい予感しかない。
ドッシリとした演奏でグイグイ迫ってきます。
頼もしさと渋さを兼ね備えたクリスのヴォーカルも見事ですし、ギター・ソロもいい感じにピリピリ。
「The Way Of The Future」(『KENTUCKY』収録)系統のオープニングです。
2. Nervous
- 00:00~ ジョンのドラム連打を絡めながらのヘヴィな演奏
- 00:13~ 少しキラキラ
- 00:37~ 緊張感が増し…
- 00:42~ サビ。ガッツがあってリズミカル
- 02:22~ ドラムがいい感じに暴れる → 02:34からクリスのVoが高音域(少し濁り気味なところがまたいい)
- 03:10~ 気が引き締まるドラム
「Screamin’ At The Sky」の力強さを継承しつつ、00:13~などのソフトなアプローチをうまく組み込ませています。
『KENTUCKY』では2曲目「In Our Dreams」で勢いをつけましたが、『SCREAMIN’ AT THE SKY』では「Nervous」で少し引くアプローチ。
対照的で面白いです。
ジョンのドラムもかっこよく、派手すぎず適度にダイナミックな攻めが要所要所で光ります。
3. When The Pain Comes
- 00:00~ 叙情的 → ハードに
- 00:28~ クリス、適温のVo
- 00:48~ いったん引いて…
- 00:52~ サビ。01:01~のバックVoの味付けがちょっと「Soul Machine」(『KENTUCKY』収録)…グルーヴィな「Soul Machine」
- 02:04~ テンポが変わり、刺激的な演奏
- 02:43~ ジョンのツーバスがドコドコ
少しだけ「Soul Machine」がチラつくサビが心地良いです。
「Soul Machine」では00:41~でテンポを落としてサビに流れますが、この「When The Pain Comes」でも同様の流れをみせます。
02:04もいいアクセント。
このパートの前後がサビというのがまたニクいです。
4. Out Of Pocket
2023年1月12日リリースの先行曲。
ダイナミックなスタート → 静か → ハードのステップを踏むハード・ロックです。
「Nervous」と似ていますね。
「When The Pain Comes」を挟まなければ同じ曲かと思っちゃいますが、こちらもかっこいいです。
5. Show Me What It Feels Like
- 00:00~ METAL CHURCH「Congregation Of Annihilation」(2023年13作目『CONGREGATION OF ANNIHILATION』収録)の00:00~に少し似てる
- 00:09~ メロディックに
- 00:28~ クリス、少しモヤモヤ。ギターは少しニュルニュル
- 01:01~ リズミカルなサビ。クリスは早口気味に曲のタイトルを歌う
- 02:07~ ギター・ソロ。02:12~が特に染みる
ちょっとした緩み具合がいい感じです。
ずっと骨太で攻めるとパツパツになっちゃうので、こんなナンバーが途中にあってもいいですね。
6. R.O.A.R.
- 00:00~ 力強くドドン → グルーヴィな演奏+哀愁ギター
- 00:20~ クリス、透明感を強めたVo
- 00:37~ 素敵なハーモニー+ドラムがドンドン
- 00:45~ サビ。ガッツがあってメロディック。絶品
- 02:03~ ギター・ソロ。ドライなサウンドでエキサイティングに進行
- 02:19~ 00:00~のドラム → サビ
いい曲がたくさんの『SCREAMIN’ AT THE SKY』ですが、必聴曲を1曲だけ挙げるならばこの「R.O.A.R.」になります。
出だしから魅了されっぱなしで、歌も演奏も極上。
最高級のメロディアス・ナンバーです。
シャキッとさせる02:19~もいいアレンジですね。
しかもこの直後がサビだからもうたまらないのです。
7. Smile, World
- 00:11~ はじけるスティーヴのベースが快感
- 00:38~ シャカシャカ、ポコポコ。クリスは適度に単語を区切りながら歌う
- 01:47~ ギター・ソロ。ため込んだ感じで進み、02:03から弾きまくる。02:09からまた音を伸ばす
00:38~の音がツボです。
ヘヴィでクールなんだけど、ちょっと微笑ましくジワジワきます。
02:03~もナイス。
曲調に逆らうかのような展開でありながらも、ちゃんと溶け込んでいるところが見事です。
8. The Mess You Made
スティーヴのベースが大活躍のナンバーです。
クリスは高音域寄りのVoで魅せる場面があちこちにあり、弾力性のある曲調とうまくマッチしています。
- 00:00~ スティーヴがガキガキ
- 00:11~ ヘヴィなリフが被さる
- 00:22~ クリスのVoとスティーヴが前面、時々ギター
- 00:47~ モヤモヤ
- 00:51~ ハッと目が覚めてサビ
- 01:56~ スネア連打で迫る → クリスがコール → エモーショナルなギター・ソロへ
9. Who Are You Today?
- 00:00~ 前方に踏切がありそうな雰囲気
- 00:05~ ヘヴィでシャカシャカ
- 00:16~ 踏切が少しキラキラ
- 00:37~ メロディアスに
- 00:58~ サビ。ヒステリックなギターをバックに力強いVo
- 02:01~ ギター・ソロ。音を伸ばしながら、じっくり
- 02:22~ 静まる
00:37までの展開からすると想定外な展開をみせるサビに引き込まれます。
そのままメロディアスでキャッチーになるのかと思いきや、唐突的にパワフルになりますからね。
要警戒なギターがまたいい味を出しています。
11. Here’s To The Hopeless
DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」(1995年)みたいなスタートを切るバラード調のナンバー。
霧がかった感じで進行するサビ(00:39~)がいいですね。
クリスの歌は音域が上がりそうな雰囲気ですが、中音域にとどまっています。
一方、ギター・ソロ(01:52~)は高音域を軸とした旋律。
この対比的なアプローチが見事です。
終盤の03:00~もすばらしい。
歌とギターで泣かせにかかります。
12. You Can Have It All
アルバムを締めくくるのにふさわしいラスト・ソングです。
以下なんかは「ああ、最後っぽい」と思わせます。
- 00:00~のズッシリとした音像
- 01:05~の歌メロ…曲の最初の歌い出し(00:14~)と一緒なのですが、こっちのほうが安堵感が高め
- 02:00~のノスタルジックなギター・ソロ
- 02:29でクリスが渋い声を伸ばしてバンド演奏へ
そして03:00~の女性バックVo。
最後の最後に登場させるなんて最高のセンスです。
脱帽!
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