元BATTLE BEASTのメンバーでメイン・ソングライターでもあったアントン・カバネン<G>率いるBEAST IN BLACKが3rdアルバム『DARK CONNECTION』を2021年10月29日にリリースしました。
心が躍る大満足の作品ですので、この記事でおすすめします。
音楽性は2017年デビュー作『BERSEKER』と2019年2nd『FROM HELL WITH LOVE』のスタイルを踏襲。
特徴としては以下が挙げられます。
- パワフルな女性ヴォーカルに聴こえる場面が多いが、シンガーのヤニス・パパドプロス<Vo>は男性
- BATTLE BEASTで聴かれた力強いメタル・サウンドを継承
- 勇壮なコーラスもあり
- 80年代を思わせるキーボードを大胆に取り入れる
- ダンサブルな要素がより一層強くなった
なので「BATTLE BEAST+大胆なキーボード+ダンサブル」といった感じ。
アントン在籍時のBATTLE BEASTの曲でいえば、2013年2nd『BATTLE BEAST』収録の「Out On The Streets」を基軸にしています。
曲調がAMARANTHEに似ているナンバーが多いので、「グロウルのないAMARANTHE」とも例えることができます。
『DARK CONNECTION』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の9曲がおすすめです。
■BEAST IN BLACK/DARK CONNECTION (2021年)
- Blade Runner
- Bella Donna
- Highway To Mars
- Hardcore
- One Night In Tokyo
- Moonlight Rendezvous
- Revengeance Machine
- Dark New World
- To The Last Drop Of Blood
- Broken Survivors
- My Dystopia
- Battle Hymn (MANOWAR cover)
- They Don’t Care About Us (MICHAEL JACKSON cover)
メンバー
- ヤニス・パパドプロス<Vo>
- アントン・カバネン<G>
- カスペリ・ヘイッキネン<G>
- マテ・モルナール<B>
- アッテ・パロカンガス<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Blade Runner
躍動感のあるキーボードが心地良い重厚なメタル・サウンド。
勢いよくスタートを切ります。
ヤニス・パパドプロス<Vo>のキレっぷりもすごく、2番からヒートアップしていきます。
『DARK CONNECTION』ではヤニスが要所要所でハイトーン・ヴォーカルで魅了してくれますが、オープニングからすごいです。
出だしからエネルギー全開です。
2. Bella Donna
ミディアム・テンポのナンバーですが、「Bella Donna」のハイテンションなエネルギーはそのまま継承。
勇壮でメロディアスなサビが絶品で、聴いていてワクワクします。
そして、この「Bella Donna」は、中盤のギター・ソロが素晴らしいです。
引き込まれます。
勇ましいサビからインパクト抜群のギター・ソロに流れていく構成は聴いててドキドキ。
スリリングなフレーズであたなに迫ります。
3. Highway To Mars
BEAST IN BLACKの魅力の1つでもあるダンサブルな要素が前面に出た曲。
キラー・チューンです。
ヤニスが出だしからやや哀愁味のある歌い方をするのですが、ここでノックアウトされます。
一方でエモーショナルな歌唱もあり、この唱法の歌い分けが素晴らしいのです。
そして勇壮なコーラスが入るという絶品の構成。
ノリの良さと極上メロディを備えた極上ナンバーです。
02:31からの演奏パートもドキドキするようなフレーズが満載で、ぐいぐい惹きつけられます。
そして、ヤニスがエネルギッシュに歌うメロディアス・パートに戻るという展開。
最後は「Blade Runner」でみせたようなキレっぷりを発揮して力強く締めくくります。
5. One Night In Tokyo
先行公開されていました。
ピコピコしたキーボードが印象的なダンサブルなナンバー。
サビのパートの心地良さは一級品です。
曲名である「One Night In Tokyo」を区切って、ゆっくり力強く歌い上げるアプローチがまた素晴らしいです。
7. Revengeance Machine
ワクワクするようなSEからスタートする疾走曲。
アルバムの中でも特にアグレッシヴなナンバーで、頭をガンガン振りたくなります。
「Blade Runner」のような、ヤニスのハイテンションなヴォーカルが最高。
サビも勇ましくキャッチーで、聴いていてアドレナリンが爆発します。
02:15からの中盤のギター・ソロも圧巻。
キレッキレのメタル・ナンバーです。
10. Broken Survivors
ドラムから入る力強い演奏にグッときます。
ここでもうワクワクします。
他の曲に比べてギターが前面に出ているのが特徴。
ヤニスは全編エネルギッシュな歌唱で魅せてくれます。
ヴォーカルは最初から最後まで全てがハイライトといった感じ。
すごい表現力。
力強いヴォーカルからギター・ソロと躍動感のあるキーボードの演奏パート(02:12~)に流れていくのですが、この構成が絶品です。
そしてまた絶品の歌を聴かせるという流れ。
ヤニスはここでも圧巻のハイトーンを聴かせてくれます。
歌、演奏共にとてつもない緊張感に満ちています。
11. My Dystopia
本編ラスト。
これもキラーチューンです。
きれいなピアノからスタートし、重厚なエレクトリック・パートへと移行します。
アルバムのラストにふさわしいドラマティック・ナンバー。
切ない歌メロとその後ろで鳴り響くきれいなピアノが美しい… と感動していたら、パワフルなヴォーカルで重厚な演奏へ。
対照的なアプローチで感動させてくれます。
04:12からヤニスが最後のエネルギーを振り絞るかのようにハイトーンを出します。
そこからエンディングに向けた歌と演奏の緊張度はハンパないです。
静と動の展開が見事な劇的ナンバー。
圧巻です。
カヴァーもかっこいい
本編のあとにカヴァー曲が2曲あります。
MANOWARの「Battle Hymn」とマイケル・ジャクソンの「They Don’t Care About Us」です。
どちらも原曲の魅力を保ちつつ、BEAST IN BLACKの持ち味を生かしたアレンジとなっていますので、必聴です。
12. Battle Hymn (MANOWAR cover)
曲の力強さを維持しながら、キーボードでドラマティックに楽曲を装飾しています。
特に叙情的なパートでのキーボードでのアレンジの上手さが光っています。
勇壮なサビは絶品。
オリジナル曲でもこういったアプローチは得意としているBEAST IN BLACK。
見事にハマっています。
13. They Don’t Care About Us (MICHAEL JACKSON cover)
原曲のアプローチを維持しながら、インパクトのあるギター・フレーズや爆発力のあるドラム・サウンドを加えています。
BEAST IN BLACKは、オリジナル曲でダンサブルなアプローチも強めに出しているので、ナイスな選曲。
「Battle Hymn」の後にすんなり気持ち良く流れてきます。
総評
BEAST IN BLACKの音楽には「近未来」と「80年代」という両極端な要素が含まれています。
新鮮味のあるサウンドです。
80年代とBEAST IN BLACKをリンクさせてみると…
- 『DARK CONNECTION』のインスピレーションの1つは映画『ブレードランナー』(1982年公開)
- 2017年デビュー作『BERSERKER』の「Eternal Fire」では、EUROPEの「The Final Countdown」に似たフレーズが登場
- 2019年2nd『FROM HELL WITH LOVE』では『ロッキー4』(1986年公開)の挿入歌「No Easy Way Out」(ロバート・テッパー)をカヴァー
…といったことが挙げられます。
ですので、80年代のヘヴィ・メタル/ハード・ロック(HM/HR)だけでなく、映画やサウンド・トラックが好きな方にもおすすめです。
映画のサウンド・トラックで…
- 『ロッキー4』(1986年公開)
- 『コブラ』(1986年公開)
- 『トップガン』(1986年公開)
- 『オーバー・ザ・トップ』(1987年公開)
…あたりが好きであれば、BEAST IN BLACKの作品も楽しめるはずです。
聴いていてうれしくなるような瞬間があなたを待ち受けています。
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