ドイツのHM/HRギタリスト、アクセル・ルディ・ペル<G>が『LOST XXIII』を2022年4月15日にリリースしました。
シンガーは、1998年の『OCEANS OF TIME』以来ずっとアクセルのアルバムで歌ってるジョニー・ジョエリ<Vo:HARDLINE>。
何の不安もなく安心して聴けます。
アクセルのギターとジョニーのヴォーカルのコンビネーションは、もうマジックの領域ですね。
演奏と歌で最高級のメロディを堪能できます。
疾走曲あり、大作あり、バラードあり。
おすすめ曲を挙げながら、聴きどころを紹介していきます。
『LOST XXIII』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の6曲がおすすめです。
■AXEL RUDI PELL/LOST XXIII (2022年)
- Lost XXIII Prequel (Intro)
- Survive
- No Compromise
- Down On The Streets
- Gone With The Wind
- Freight Train
- Follow The Beast
- Fly With Me
- The Rise Of Ankhoor
- Lost XXIII
メンバー
- アクセル・ルディ・ペル<G>
- ジョニー・ジョエリ<Vo>
- フォルカー・クラウツァック<B>
- ボビー・ロンディネリ<Ds>
- フェルディ・ドルンバーグ<Key>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
2. Survive
『LOST XXIII』はイントロ「Lost XXIII Prequel (Intro)」に導かれて、この劇的疾走ナンバー「Survive」がスタートします。
アクセル・ルディ・ペル<G>といえば、この始まり方ですね。
「Survive」は、BLUE MURDERの名曲「We All Fall Down」(1993年2nd『NOTHIN’ BUT TROUBLE』収録)を想起。
00:39から01:18(サビが終わるところ)までの歌メロなんかは特にそうです。
ジョニー・ジョエリ<Vo>のナチュラルな歌唱がまた秀逸。
曲調に合わせたエネルギーの使い分けが見事です。
02:39からアクセルのソロ。
速弾き(02:58~)を絡めながら、メロディックなフレーズで魅了してくれます。
素晴らしいです。
4. Down On The Streets
アクセルのエッジの効いたギター・リフを軸に進行していくミディアム・テンポのナンバー。
この「Down On The Streets」はギター・ソロが聴きどころです。
02:42のパトカーのサイレンからソロに流れていきますが、この入り方がまずいい。
※パトカーのサイレンはHM/HRの曲の中ではエキサイティングなSEの1つですね。
「Survive」同様、スリリングかつメロディアスなプレイでドキドキさせてくれます。
03:15からの旋律が特に絶品。
体の中にじわりと浸透していく感じで、染みこんできます。
04:41から再度リフで引っ張って曲を終えるスタイルも、軽くフェイントをかけた感じでかっこいいです。
5. Gone With The Wind
約9分の大作。
2000年の名盤『THE MASQUERADE BALL』収録の「The Line」(00:14~)を思わせるフレーズも随所に登場します。
これがまた素晴らしいのです。
前半は以下のような流れ。
- 00:00~ 静かな展開。ジョニーの低音域での切ない歌唱が光る。「The Line」系のフレーズ
- 01:13~ ジョニーの歌は音域が上がり、少しエモーショナルに
- 01:57~ エレクトリックな演奏へ。ジョニーの伸びのある歌唱が絶品。その後「The Line」系のフレーズ
そして中盤からアクセルのギター・ソロです。
- 05:09~ エネルギッシュで熱いプレイで攻めてくる
- 06:21~ メロディックなフレーズが身に染みる。鳥肌
ソロの後は、再びジョニーの伸びのあるヴォーカルのパート。
07:55からは、曲中聴かれなかったアクセルの情のこもった旋律も登場し、最後はジョニーのソフトな歌唱で終わります。
美しく濃密な長尺曲です。
6. Freight Train
ジョニーの伸びやかな歌唱が光るエモーショナルなナンバー。
どんどん胸が高まる歌メロの展開が絶品です。
01:35からのサビからはフェルディ・ドルンバーグ<Key>のキーボードが少し前面に出てきてドラマティック度が強まります。
このあたりのアクセントのつけ方も上手です。
そして04:14からのアクセルのギター・ソロ。
- 04:14~ エモーショナルなフレーズ
- 04:37~ 速弾きを絡めたスリリングなプレイ
- 04:52~ 哀愁の旋律
…という緩急のある流れを踏み、再びジョニーの歌が入ります。
「Down On The Streets」のように、終わると思わせてからちょこっと引っぱって曲を締めくくる展開(05:55~)もいいですね。
8. Fly With Me
最高級、超感動のバラード。
始まりのピアノでグッときます。
切ないピアノをバックに歌うジョニーが素晴らしい。
絶品の歌唱を聴かせてくれます。
そして00:55からアクセルが泣きのギターを絡めてきます。
01:23からバンドの演奏が入り、ジョニーの歌はより情熱的に。
フェルディのキーボードも光ってますね。
静から動への展開が圧巻です。
03:17からのアクセルのギター・ソロは、哀愁が強めに出ていて、これがまた涙、涙、涙。
その後、ジョニーの熱唱が光るドラマティックなサビが再び展開していきます。
9. The Rise Of Ankhoor
ボビー・ロンディネリ<Ds>のパワフルなドラムから始まるインストゥルメンタル。
フォルカー・クラウツァック<B>の骨太なベースにフェルディのオルガン、ハードなアクセルのギターが被さってエネルギッシュに展開していきます。
曲中はアクセルのギターとフェルディのオルガンのコンビネーションが見事です。
- 00:46~ アクセルのパワフルかつメロディックなフレーズ。刺激的
- 01:50~ フェルディのオルガン。スリリング
- 02:05~ アクセルのエモーショナルな旋律。体中に浸透
- 03:15~ オルガン再び。バックでのアクセルのフレーズが刺さる
エキサイティングな演奏です。
曲は、やや唐突ともとれる終わり方をみせ、本編ラストのアルバム・タイトル曲「Lost XXIII」が始まります。
「Lost XXIII」は8分半の大作。
スローでダーク、ドラマティックなナンバーですが、同じ長尺曲であれば「Gone With The Wind」のほうが充実しています。
総評
アクセル・ルディ・ペルの『LOST XXIII』を紹介しました。
充実の劇的メロディックHM/HRです。
メロディックなアプローチとスリリングなプレイをバランス良く披露するアクセル・ルディ・ペル<G>はさすがです。
曲のタイプに応じてムードを変えて歌うジョニー・ジョエリ<Vo>のパフォーマンスも見事。
自分のパワー・バランスを完全に把握していて、自然体な歌唱が光ります。
アクセルとジョニーはもうゴールデン・コンビですね。
要所要所で前面に出るフェルディ・ドルンバーグ<Key>のキーボードも魅力の1つです。
疾走曲「Survive」はガッツポーズ、そしてBLUE MURDERの「We All Fall Down」みたいでニヤリ。
大作「Gone With The Wind」の深さに引き込まれ、バラード「Fly With Me」でジーン…。
ラストのタイトル曲「Lost XXIII」がややトーン・ダウンですが、全体的にみれば、かなり満足度の高いアルバムです。
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