ANGRAの10作目『CYCLES OF PAIN』のレビューです。
2023年11月1日にリリースされました。
ファビオ・リオーネ<Vo>加入後では3作目になります。
王道のメロディック・パワー・メタル、ドラマティックな曲、ブラジルの香りがするナンバーなど、バラエティに富んだ内容でありながらも各曲が濃密。
疾走曲がかっこいいのもうれしいですし、「Cyclus Doloris」~「Tide Of Changes – Part II」の楽曲をつなげた構成も見事です。
前作『OMNI』(2018年)も充実作でしたが、今回の『CYCLES OF PAIN』も強力です。
以下の9曲がおすすめです。
1. Cyclus Doloris
神聖な雰囲気で進み、00:45からちょっとダークに…
と思っていたら、不意を突くようなタイミングで「Ride Into The Storm」が始まります。
2. Ride Into The Storm
シアトリカルで響きがかっこいいコーラスで始まるメロディック・メタルです。
ファビオのアツい高音域Voを軸に疾走し、01:07~のサビでは魅力的なバックVoが重なります。
演奏パートも面白い。
- 03:10~ シンフォニックな音像をバックにギター・ソロ
- 03:23~ つまづくような感じ → テンポを変える
- 03:53~ フェリッペのベースがゴロゴロ
そしてエンディング間近の05:59からはスタートと同質のコーラスが再度登場します。
この終わり方は「Travelers Of Time」(2018年9th『OMNI』収録)の04:21~に通じますね。
3. Dead Man On Display
ファビオの歌が入るまでの演奏がまずかっこいいです。
- 00:00~ 不気味
- 00:24~ ダークでヘヴィ(警告的なギターが◎)
- 01:03~ 加速。JUDAS PRIESTのようなギター
- 01:13~ バスドラ連打 → スネア連打
そしてファビオの歌は、
- 01:24~ 抑え気味
- 01:40~ 熱量が増す
- 01:57~ 高音域で伸びる
といったアプローチ。
演奏も歌も段階的にヒートアップさせていきます。
02:16~のギターの刻み+バスドラ連打もアグレッシヴですし、以下の演奏パートにもドキドキ。
- 03:25~ ミステリアスな音像をバックにシャープなギターが刻まれる
- 03:53~ 疾走してギター・ソロ
- 04:10~ ベースが前面に出る
- 04:19~ ドラムが暴れる
ギター、ベース、ドラムそれぞれの見せ場を作っています。
04:38~の暴れもスリリング。
「連打」「刻み」「暴れ」が随所で光るナンバーです。
4. Tide Of Changes – Part I
1分ちょっとの曲です。
メランコリックな演奏の中、ファビオが歪みながら歌声を伸ばし、次の「Tide Of Changes – Part II」へと流れます。
5. Tide Of Changes – Part II
ファビオは前半ソフト寄りの唱法、01:14~のサビでは邪気をこめた歌い方(メロディそのものも◎)になります。
1番のサビが終わってから、2番のVoが入るまでのギター(01:47~01:55)がまたすばらしい。
歌と演奏で魅了します。
中盤の流れも見事。
- 03:03~ 低音Vo → キーが上がっていき、03:16からはヒーリング的なバックVo
- 03:34~ ベースがグリグリ、ドラム連打
- 03:58~ ギター・ソロ。04:22から音域を上げる
- 04:33~ ベース、グリグリ再び
やはり歌と演奏で魅せますね。
この後少し引っ張ってサビに戻るのですが、サビに戻る予感を感じさせながらも適度に焦らす攻めが効いています。
6. Vida Seca
曲中、オーラを変えながら進んでいきますが、どのプロセスも高品質。
- 00:00~ ブラジル風。軽快
- 01:15~ 骨太な演奏
- 02:04~ サビ。ドラマティックな演奏とファビオの伸びる高音域の歌メロが◎
ドラムが迫ってきて、ちょっとダークになる02:40~や、ファビオのVoが「The angels are falli~~ng」と伸びて、ギター・ソロが始まる03:54~もいい流れです。
最初のブラジル風のところは、イタリア人のファビオが在籍していることを考慮すればイタリアっぽくも聞こえます。
7. Gods Of The World
進行していくにつれ、曲名を歌う回数が増えていき、エキサイティングな演奏パートも挟みます。
- 01:31~ 力強く「Gods of the world!」
- 02:34~ メロディアスに曲名を2回 → メロディックなギター
- 03:10~ 演奏に勢いが増し、ギターもテンションが上がる。特に03:29からがエキサイティング
- 04:19~ 曲名2回 → ギター → 「Gods of」「the wo~~~rld」と高音で伸ばす
曲名を歌い分けるファビオのパフォーマンスが特に光るメタリック・ナンバーです。
9. Faithless Sanctuary
予測不可の要素が満載です。
- 00:33~ うねりのあるフレーズ。中毒性あり
- 01:06~ 変則的かつグルーヴィな演奏
ファビオは01:22から歌い始めますが、雰囲気は明るめ。
演奏とは対照的なのが面白いです。
02:46からのファビオも見事。
声を太くして熱唱したかと思ったら、03:11で力を抜いたりと、アクセントをつけた唱法が光ります。
トライバルな要素が足された04:29もいいスパイス。
05:23からはそれまでの展開からは考えられないフワフワ・ハーモニーが登場し、ファビオもゆらゆらしたVoで対応します。
11. Generation Warriors
重厚で劇的なスタートにワクワク。
00:27は「このままスロー?」「それとも疾走?」の分岐点といった感じですが、曲は疾走し、王道メロディック・パワー・メタルの展開をみせます。
印象的なベースを伴ってテンポが変わる01:02~はちょっとした変化球。
アレンジのうまさを感じます。
そしてサビ(01:26~)。
高音域で曲名を伸ばしながら、繰り返す唱法がかっこいいです。
2回目のサビ以降も魅せます。
- 03:15~ ダークでヒステリックなフレーズを軸にテクニカルに進行
- 03:51~ 王道パワー・メタルに戻り、エネルギッシュなギター・ソロ
さらに3回目のサビの後(04:47~)には出だしの劇的パート再び。
アツいです。
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