AMORPHISの14作目『HALO』が2022年2月11日にリリースされました。
素晴らしいアルバムです。
全曲必聴ですので、各曲の特徴を紹介します。
トミ・ヨーツセン<Vo>加入以降の作品(2006年7作目『ECLIPSE』以降)は全て傑作のAMORPHISですが、この『HALO』も期待を裏切らない内容。
傑作を出し続けるAMORPHIS、すごいです。
『HALO』の収録曲
「Northwards」から「My Name Is Night」までが本編。
「The River Song」が日本盤ボーナス・トラックです。
■AMORPHIS/HALO (2022年)
- Northwards
- On The Dark Waters
- The Moon
- Windmane
- A New Land
- When The Gods Came
- Seven Roads Come Together
- War
- Halo
- The Wolf
- My Name Is Night
- The River Song
メンバー
- トミ・ヨーツセン<Vo>
- エサ・ホロパイネン<G>
- トミ・コイヴサーリ<G>
- オーリ=ペッカ・ライネ<B>
- ヤン・レックベルガー<Ds>
- サンテリ・カリオ<Key>
収録曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Northwards
ミステリアスなピアノの旋律から泣きのギターを伴ったアグレッシヴな演奏がスタート。
トミ・ヨーツセン<Vo>のヴォーカルは最初はド迫力のグロウル、01:42からはクリーンに。
この切り替えが素晴らしいです。
グロウルの後ろで鳴り響く02:04からのギターのメロディもグッときます。
03:04からの哀愁メロディのギター、03:20からのサンテリ・カリオ<Key>のキーボードのフレーズなど、演奏パートもスリリング。
そして04:18からの劇的コーラスにドキドキ。
多くの展開を持つオープニング・ナンバーです。
2. On The Dark Waters
00:16からのギターの哀愁フレーズが最高です。
以降、鋭いギター・リフとトミのグロウルを軸に進み、サビではトミがクリーン・ヴォイスで伸びのあるメロディを披露。
後ろでギターがメロディックなフレーズを奏でますが、これが2011年10作目『THE BEGINNING OF TIMES』収録の「Mermaid」を彷彿させる美メロで素晴らしい。
サビが終わると00:16からのフレーズがまた繰り返されます。
02:52からのギター・ソロはそれまでの曲調とはちょっと異なるミステリアスな感じで面白いです。
演奏がさらに劇的になっていく03:58からの展開も圧巻。
ここでのトミのグロウルがまた刺激的です。
3. The Moon
悲壮感漂う劇的サウンドに泣きのギターが被さるというノックアウト級のオープニング。
ここで名曲を確信できます。
トミのヴォーカルはグロウルで始まり、01:14からは美声によるクリーンに。
そしてサビではドラマティックな展開。
壮大な雰囲気を持つメロディを堂々と歌い上げます。
2015年12作目『UNDER THE RED CLOUD』収録の「Bad Blood」を想起させる歌メロですね。
04:07からの女性の声をフィーチュアしたミステリアスな演奏パートも絶品。
さらに04:48からトミのグロウルとクリーンが交互に畳みかけてくる構成もすごいです。
4. Windmane
メランコリックでスローなナンバー。
00:41からの悲壮感あふれるパートがたまりません。
02:48から演奏に躍動感が増し(2013年11作目『CIRCLE』の「Shades Of Gray」を思わせます)、ギターとサンテリのキーボードが哀愁フレーズで呼応し合う展開になるのですが、これが絶品。
04:10からのメロディアスなギターとトミのグロウルの絡みも最高。
「Windmare」は02:48からが特におすすめです。
5. A New Land
名曲「House Of Sleep」(2006年7作目『ECLIPSE』収録)に似た始まり方が印象的。
「House Of Sleep」に哀愁度が増した感じですね
トミの歌が入ると、鋭いリフが刻まれます。
トミはグロウルとクリーンのスイッチが結構多いのですが、表現力抜群。
特にクリーン・パートでのメロディ展開は絶品です。
01:27からのミステリアスなフレーズなど演奏面でも魅了します。
02:40からがまた素晴らしい。
- 02:48~ エモーショナルなギター・ソロ
- 03:05~ トミのグロウル
- 03:17~ ミステリアスなフレーズ再び
- 03:31~ トミのグロウル+後ろで泣きメロのギター
- 03:45~ トミのクリーンVo
…という最高の流れです。
6. When The Gods Came
出だしの神秘的なサウンド+爆発力のあるドラムがインパクト抜群。
そして、少し勢いを増した曲調になって本編に突入します。
トミはグロウルでスタート、01:34からはクリーンになるという構成。
ギターの哀愁フレーズに乗せてクリーンVoが展開する01:47からのメロディが特に素晴らしいです。
02:17からの演奏パートでのギターも見事ですし、04:15からトミのグロウルが入り、メロディアスなギターが被さる構成もエキサイティング。
ギターとトミのヴォーカルの呼応が光るナンバーです。
7. Seven Roads Come Together
ややアップ・テンポでメロディックなスタートを切るナンバー。
メロディアスなギター・フレーズからトミのグロウルがフェードインしてくる00:40のアプローチはAMORPHISならではですね。
00:42でいったんスロー・ダウンし、グロウル軸に展開してアクセントを持たせます。
01:09からドラマティック度が増し、クリーンVoのメロディが流れてくる構成も最高です。
02:56からのギターのメロディも入り方が神がかっていて、そこにトミの絶品のクリーン・メロディが乗ります。
本当にすごい。
以降も…
- 03:38~ ドラマティックな演奏をバックにグロウル
- 03:50~ ややミステリアスに、ヴォーカルはクリーン
- 04:32~ テンポ・アップしメロディックなギターが被さる、グロウル
…といった感じでドキドキの連続。
ギターの音を長く引っぱるラストもいいですね。
8. War
神秘的でありながらちょっと不穏な雰囲気のイントロからメロディックでヘヴィなアプローチが展開される曲。
トミは前半はグロウル。
01:03のように攻撃性のあるグロウルが聴けるのもうれしい。
そしてその後クリーンVoに移行します。
叙情的なフレーズをバックにクリーンVoが展開される01:14からのメロディがいいですね。
02:00からのように、グロウルをバックにメロディアスな旋律を響かせるギターも見事。
あとは03:27。
厳かで壮大なコーラスが絡むアレンジは鳥肌モノです。
暴虐性に満ちたトミのグロウルがまた登場する構成(04:04~)にも拍手。
9. Halo
哀愁あるメロディックなギターのフレーズが乗る出だしでノックアウト。
このギターのフレーズはサビでも展開されます。
トミのヴォーカルはクリーン中心。
グロウルはサビでちょこっと絡む程度です。
前半は優しく包み込むように歌い、サビでは伸びのある歌唱を披露。
見事です。
03:06からの劇的な演奏がまた最高。
03:19からのギターのメロディにもやられます。
03:35からは女性の美声コーラス。
そして絶品のサビ再びというヤバすぎる構成です。
10. The Wolf
シャープなリフがかっこいいナンバー。
トミのヴォーカルは前半はグロウル中心。
ブルータルさを前面に出し、曲調はスローに進行します。
サビではテンポ・アップしクリーンVo。
バックでメロディックなギターが鳴り響きます。
02:14からのエモーショナルなギター・ソロが特にいいですね。
ジワジワと迫ってくるようなアプローチが圧巻です。
トミのクリーンVoとの呼応も見事。
神聖さが増す03:33からのパートもいいスパイスになっています。
11. My Name Is Night
美しく物悲しい雰囲気の曲。
スウェーデン人の女性シンガー、ペトロネラ・ネッテルマルム<Vo:PAATOS>が参加しています。
2018年13作目『QUEEN OF TIME』の「Amongst Stars」でもアネク・ヴァン・ガースバーゲン<Vo:元THE GATHERING>とのコラボが最高でしたが、この「My Name Is Night」でのパフォーマンスも最高です。
トミは全編クリーンVo、グロウルはなしです。
最初はペトロネラが悲哀に満ちたきれいな声で歌い、後からトミが追いかけてくる構成。
01:59で初めて2人の声が重なりますがもう絶品です。
02:39からもトミとペトロネラが一緒に歌います。
ヘヴィな展開はみせず、切ない感じで曲は進んでいきます。
このまま終わるのかと思っていたらそうではありませんでした…。
04:21からの何かが迫ってくるかのような音像。
ハッとさせられます。
12. The River Song
哀愁あるメロディアスなギターを乗せて突き進む出だしにワクワクします。
鋭角的なリフが刻まれ、トミのグロウルを軸に進行。
サビではクリーンになる王道ナンバーです。
『QUEEN OF TIME』の「The Golden Elk」を思わせるような展開。
特にグロウルのパートはそうですね。
それまでからは考えらないような02:57からの演奏パートもヒネりがあって最高です。
総評
AMORPHISの『HALO』。
全曲素晴らしいです。
名盤です。
以下が特徴として挙げられます。
- トミ・ヨーツセン<Vo>のグロウルとクリーン・ヴォイスの対比表現が見事
- トミのヴォーカルはグロウルが多め
- 哀愁フレーズを放つギター、ドラマティックな演出をするキーボードなど演奏パートも充実
日本盤ボーナス「The River Song」もかっこいいのがうれしい。
2006年7作目『ECLIPSE』の「Stone Woman」、2007年8作目『SILENT WATERS』の「Sign」、2018年13作目『QUEEN OF TIME』の「Honeyflow」など、過去作でもボーナス・トラックが充実していましたが、この『HALO』の「The River Song」も最高です。
「Northwards」から「The River Song」まで、ドキドキしっぱなし。
濃密で圧巻の60分です。
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