マグナス・カールソン主導のプロジェクト、ALLEN/OLZONの2ndアルバム『ARMY OF DREAMERS』が2022年9月9日にリリースされました。
シンガーはラッセル・アレン<Vo:SYMPHONY X>とアネット・オルゾン<Vo:THE DARK ELEMENT>の2人で、マグナスが全曲作曲&プロデュース。
2020年1st『WORLDS APART』もすばらしい作品でしたが、今回も最高です。
以下が特徴として挙げられます。
- 『WORLDS APART』では、ラッセルが1人で歌う曲、アネット1人で歌う曲があったが、今回は全曲2人によるリード・ヴォーカル
- 全体的にアネットが前面に出る場面が多め
- 『WORLDS APART』の「What If I Live」のようなバラードはなし…その分劇的メタル度がアップ
ラッセルとアネットの表現力の高さとマグナスのソングライティング・スキルに脱帽。
歌と演奏にノックアウトされる場面多数です。
『WORLDS APART』に引き続き、ヤコブ・ハンセンがミックスを担当。
サウンドも文句なしです。
『ARMY OF DREAMERS』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の8曲がおすすめです。
■ALLEN/OLZON / ARMY OF DREAMERS (2022年)
- Army Of Dreamers
- So Quiet Here
- Out Of Nowhere
- A Million Skies
- Carved Into Stone
- All Alone
- Look At Me
- Until Its Over
- I Am Gone
- Are We Really Strangers
- Never Too Late
メンバー
- ラッセル・アレン<Vo>
- アネット・オルゾン<Vo>
- マグナス・カールソン<G/B/Key>
- アンダース・コラーフォース<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Army Of Dreamers
最初のシンフォニックなイントロでもうワクワク。
そして劇的かつ鋭く曲が展開していきます。
注目のラッセル・アレン<Vo>とアネット・オルゾン<Vo>のヴォーカルは、以下の流れで進行。
- 言葉数多めのラッセル。パワフルでアグレッシヴ
- 伸びのあるアネットの美声
- サビではアネットの唱法が継承され、アネットの声が前面に
歌メロもパフォーマンスもとても魅力的です。
マグナス・カールソン<G>のプレイもさすが。
02:53からギター・ソロですが、ソロが入った瞬間グッときます。
即効性があり、その後もジワリと体内に浸透するフレーズを放出。
03:23でいったんオープニングのシンフォニックなパートを入れて再びサビに流れる構成も見事です。
うまい。
2. So Quiet Here
「Army Of Dreamers」よりスリリングさが増したイントロをバックにアネットの高音が響き渡り、マグナスのメロディックなギターを軸とした演奏に突入。
ここでもう虜になります。
ラッセルが「Army Of Dreamers」に比べてメロディアスな歌を披露し、アネットもムードのある歌唱で呼応。
サビでは「Army Of Dreamers」同様、アネットの声が前面に出ます。
01:46でいったん静まるところもいいアクセント。
01:54からの2人の歌が入りますが、ここはラッセルの低音が特に魅力的です。
アネットの歌に重なる形で03:14からは「キーン!」としたマグナスのギター・ソロ。
最初はヒステリックでピロピロ、その後03:36からエモーショナルになるので、雰囲気の移り変わりが面白いです。
そしてギター・ソロが終わり切る前に03:54からアネットの歌が再び入ってきます。
歌が終わる前にギター・ソロが始まり、ソロが終わる前に歌が重なる。
こういった仕掛け方も見事です。
3. Out Of Nowhere
物悲しいイントロが鳴り響く中ミステリアスなサウンドがフェードインして始まります。
歌はラッセル、アネットの順で以下のような流れ。
- ラッセルのパート…やや疾走気味。言葉数やや多め。
- アネットのパート…スロー・ダウン。美声が伸びる
「Army Of Dreamers」に似ていますね。
サビは01:18からで、ドラマティックに展開。
アネットの高音とラッセルの低音のハーモニーが絶妙です。
「Army Of Dreamers」ではアネットの声が前面に出ていましたが、この「Out Of Nowhere」ではラッセルの低音ヴォーカルがいい感じに響いています。
演奏でも魅了します。
特に以下がすばらしい。
- 01:41~ さりげなく響くピアノ。美しい
- 02:57~ マグナスのギター・ソロ。始まった瞬間泣きそうになる。絶品
- 03:16~ マグナスのソロはよりエネルギッシュに
- 03:24~ ドラムの連打がいい感じに刺激的
徐々に熱量を増す構成が秀逸です。
6. All Alone
切ないピアノに哀愁ギターが被さって始まるメロディアス・ナンバー。
1番は以下の流れを踏みます。
- アネット、ラッセルの順で高音域寄りの歌メロ。力強くてメロディアス
- いったん静かになり、アネットの切ない美声
- 演奏と共にサビ。2人が伸びのある声で堂々と魅力的な歌メロを歌い上げる
「A~ll alone」の歌メロが特に染みます。
そして2番ですが、最初はラッセル、アネットの順番。
静かなパートはラッセルが歌います。
ナイスな逆攻撃ですね。
マグナスのギター・ソロは04:00から。
徐々にエモーショナル度が増していくパフォーマンスが秀逸です。
7. Look At Me
パワフルなドラムから始まるナンバー。
シンフォニックでシャープな演奏が心地良いです。
歌はアネット、ラッセルの順。
ラッセルのパートはややブルータルで、声が入ってきた瞬間「グロウル?」と思ってしまいます。
面白い。
その後の流れもすばらしいです。
- 01:03~ スロー・ダウン。ファンタジックに。アネットが美声を響かせまる
- 01:16~ テンポを上げてサビ。魅力的な歌メロ。アネットの声がメイン
- 02:16~ 2番のファンタジックなパート。ここはラッセルが担当
- 02:29~ サビ。引き続きアネットがメイン
「All Alone」に引き続き、この「Look At Me」でも逆攻撃を仕掛けてきます。
スローなパートをアネットとラッセルで聴けるのがうれしいですね。
マグナスのソロが終わった後の2人のハーモニー03:42も素敵。
ここはラッセルとアネットの音量バランスがほぼ同じになっています。
8. Until Its Over
最初のピアノでもうやばいです。
そして00:18からマグナスの泣きメロ主導の演奏へと突入。
「ラッセル→アネット→サビでは2人一緒」という流れを踏みます。
- 00:34~ ラッセル。切ない歌唱が絶品
- 00:52~ アネット。2020年1st『WORLDS APART』でアネットが1人で歌った名曲「Cold Inside」っぽいメロディ
- 01:07~ サビ。突然グッとくるような感じではなく、それまでの歌メロを自然に継承したような展開
サビでのアネットとラッセルの比率は6:4といったところで、ラッセルがいい感じに低音を響かせています。
以下の演奏もさすがの流れ。
- 03:04~ 耽美的なピアノ
- 03:20~ マグナスのギター・ソロ。哀愁フレーズ炸裂
05:00で再びピアノが鳴り、ラッセルとアネットが順に歌って終わる構成もすばらしいです。
10. Are We Really Strangers
スローでドラマティック…かと思ったら、00:16からペースアップして始まります。
『WORLDS APART』を力強く締めくくった「Who’s Gonna Stop Me Now」をちょっと緩めた感じですね。
01:13からのサビが特にすばらしい。
力強くもあり、ちょっと哀愁がある歌メロが響いてきます。
サビに行く前の順は、1番がラッセル→アネット、2番がアネット→ラッセル。
ということで、この「Are We Really Strangers」も逆攻撃です。
02:57からのマグナスのギター・ソロも絶品。
「Army Of Dreamers」「Out Of Nowhere」同様、始まった瞬間ノックアウトで、泣きメロが体内に浸透し、それが徐々にプラスのエネルギーに変換していくような熱いフレーズです。
04:19から鋭さを増してエンディングを迎える構成もかっこいい。
11. Never Too Late
ドラマティックなイントロにドラムが入り、泣きのフレーズを伴った演奏がスタート。
最後はパワー・バラード…かと思ったら、01:03からアネットの歌と共にアップ・テンポになります。
続けて01:23からラッセルが歌い、01:48からシンフォニックなサビへ。
劇的に展開していくメロディが絶品で、ここではアネットの声が前面に出ています。
2番の歌はラッセル、アネットの順で、この「Never Too Late」も逆攻撃。
03:19からのマグナスのギター・ソロは、泣きとエネルギッシュさのバランスが絶妙です。
しかも他の曲に比べて長めに展開(約1分)。
アルバム最後の曲にマグナスのギター・ソロを多めに堪能できるのがうれしいですね。
「Are We Really Strangers」同様、終盤は演奏に力強さが増します。
耽美的なキーボードが加わるアレンジがまた素敵。
総評
ラッセル・アレン<Vo>とアネット・オルゾン<Vo>の歌唱力の高さを認識させられる快作です。
そしてマグナス・カールソンですね。
ソングライティングのセンスはピカイチですし、即効性のあるギター・ソロも見事。
歌と演奏で何度も「お!」となります。
前作『WORLDS APART』のラスト2曲は、アネットが1人で歌うバラード調の「Cold Inside」からパワフルな「Who’s Gonna Stop Me Now」へと流れる構成でした。
今回の『ARMY OF DREAMERS』は適度に勢いを保った「Are We Really Strangers」「Never Too Late」を続けて配置。
こういった締めくくり方の違いもなかなか面白いです。
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