2021年にリリースされたヘヴィ・メタル/ハード・ロック(HM/HR)のおすすめのアルバムを紹介する記事です。
全部で79タイトル。
リリースの月ごとに分けて、アーティスト名/アルバム・タイトルをそのまま目次にしていますので、目次からご参照ください。
詳細レビュー記事がある作品に関しては、該当レビュー記事へのリンクを貼ってあります。
- 2021年1月
- 2021年2月
- 2021年3月
- MOONSPELL『HERMITAGE』
- THE CROWN『ROYAL DESTROYER』
- THE METAL OPERA BY MAGNUS KARLSSON『HEART HEALER』
- GARY HUGHES『WATERSIDE』
- THUNDER『ALL THE RIGHT NOISES』
- SECRET SPHERE『LIFEBLOOD』
- ROB ZOMBIE『THE LUNAR INJECTION KOOL AID ECLIPSE CONSPIRACY』
- SUNSTORM『AFTERLIFE』
- RONNIE ATKINS『ONE SHOT』
- TURBULENCE『FRONTAL』
- EVANESCENCE『THE BITTER TRUTH』
- SMITH/KOTZEN『SMITH/KOTZEN』
- 2021年4月
- 2021年5月
- 2021年6月
- 2021年7月
- 2021年8月
- 2021年9月
- 2021年10月
- KK’S PRIEST『SERMONS OF THE SINNER』
- ASKING ALEXANDRIA『SEE WHAT’S ON THE INSIDE』
- ECLIPSE『WIRED』
- TRIVIUM『IN THE COURT OF THE DRAGON』
- U.D.O.『GAME OVER』
- DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』
- CRADLE OF FILTH『EXISTENCE IS FUTILE』
- MASTODON『HUSHED AND GRIM』
- BEAST IN BLACK『DARK CONNECTION』
- BLACK VEIL BRIDES『THE PHANTOM TOMORROW』
- 2021年11月
- 2021年12月
2021年1月
ACCEPT『TOO MEAN TO DIE』
■ACCEPT/TOO MEAN TO DIE
- Zombie Apocalypse
- Too Mean To Die
- Overnight Sensation
- No Ones Master
- The Undertaker
- Sucks To Be You
- Symphony Of Pain
- The Best Is Yet To Come
- How Do We Sleep
- Not My Problem
- Samson And Delilah
マーク・トーニロ<Vo>加入以降では5作目となる通算16作目のアルバム。
マークが入ってからは傑作だらけのACCEPTですが、本作でもパワフルなヘヴィ・メタルが展開されています。
ギター・サウンドもキレがあり、ソロでも魅了。
個性的なマークのヴォーカルと絶妙に呼応しています。
「Zombie Apocalypse」「Too Mean To Die」でノックアウト必至。
マークのエネルギッシュなシャウトにゾクゾクします。
低音でソフトな歌唱に勇壮なコーラスが被さる「The Undertaker」のアプローチも見事ですし、バラード「The Best Is Yet To Come」も感動的。
「Symphony Of Pain」のギター・ソロにはベートーヴェンの「歓喜の歌」と「運命」が、最後のインストゥルメンタル「Samson And Delilah」にはドヴォルザークの「新世界より」のフレーズが登場。
クラシック好きなウルフ・ホフマン<G>の意向が反映されたアレンジも楽しめます。
「頼もしい」「パワフル」「エネルギッシュ」「勇ましい」「ブレがない」…そんな言葉がピッタリのガッツポーズ作品です。
THERION『LEVIATHAN』
■THERION/LEVIATHAN
- The Reef On The Oak Of Far
- Tuonela
- Leviathan
- Di Veren Der Zeit
- Azri Dahaka
- Eye Of Algol
- Noctonal Light
- Great Marquis Of Hell
- Therm Of Retribution
- El Primer
- Ten Courts Of Diyu
スウェーデンのシンフォニック・メタル・バンドの通算17作目。
トーマス・ヴィクストロム<Vo>とロリ・ルイス<Vo>の2人のシンガーによる男女ツイン・ヴォーカルです。
厳かで劇的なサウンドが展開されますが、各曲が3~5分台の程良い長さで、「The Reef On The Oak Of Far」から「Ten Coates Of」までのアルバム本編のトータルが約45分。
濃密でありながらも適度な長さにまとめられてる作風です。
トーマスとロリのそれぞれの歌声が絶妙に呼応し、バックではドラマティックな演奏と壮大なコーラスが鳴り響く圧巻のサウンドです。
元NIGHTWISHのマルコ・ヒエタラ<B/Vo>が「Tuonela」に参加。
NIGHTWISHでも女性シンガーとのコンビネーションが見事だったマルコですが、この「Tuonela」でも最高のパフォーマンスをみせてくれます。
タイトル曲「Leviathan」は神秘的で美しく、ロリの高音域での声量がすごいです。
壮大な「Di Veren Der Zeit」や「Noctonal Light」にも圧倒されますし、不穏な雰囲気を醸し出しつつも劇的な世界を描く「Eye Of Algol」も見事。
トーマスのエネルギッシュなヴォーカルが光る劇的疾走チューン「Great Marquis Of Hell」もエキサイティングです。
本編ラストの「Ten Courts Of Diyu」では、ロリの美しく伸びのある歌唱にうっとりします。
1曲の長さがコンパクトなので、聴きやすく、しかもスリリングな展開が目白押しの作品です。
THE DEAD DAISIES『HOLY GROUND』
■THE DEAD DAISIES/HOLY GROUND
- Holy Ground (Shake The Memory)
- Like No Other (Bassline)
- Come Alive
- Bustle And Flow
- My Fate
- Chosen And Justified
- Saving Grace
- Unspoken
- 30 Days In The Hole
- Righteous Days
- Far Away
- Inside And Above
ダグ・アルドリッヂ<G>が在籍するハード・ロック・バンド、THE DEAD DAISIES。
脱退したジョン・コラビ<Vo>とマルコ・メンドーサ<B>の後任としてグレン・ヒューズ<Vo/G>を迎え入れたアルバム。
前任者とは異なる声質のグレンですが、彼の唱法が生かされたダイナミックな骨太ハード・ロック・サウンドが楽しめます。
オープニングの「Holy Ground (Shake The Memory)」の展開にワクワクします。
ヘヴィでエッジの効いたギターと存在感抜群のグレンのヴォーカルが絶妙に呼応する展開がエキサイティングで、サビのハーモニーもゴージャスでかっこいい。
「Like No Other (Bassline)」のグレンの歌唱なんかはエモーショナルで圧巻ですし、ダグのプレイも熱いです。
全編通して、ダグとグレンがすごいです。
2人のエネルギーがぶつかり合って、そこから発せられるオーラに圧倒されます。
ストリングスを取り入れた本編ラスト「Far Away」の劇的な展開も圧巻。
歌と演奏の両方でドキドキさせてくれる良盤です。
WIG WAM『NEVER SAY DIE』
■WIG WAM/NEVER SAY DIE
- The Second Crusade
- Never Say Die
- Hypnotized
- Shadows Of Eternity
- Kilimanjaro
- Where Does It Hurt
- My Kaleidoscope Ark
- Dirty Little Secret
- Call Of The Wild
- Northbound
- Hard Love
- Silver Lining
- Dare Devil Heat 2020
ノルウェーのハード・ロック・ヒーロー、WIG WAMの再結成第1弾アルバム。
心が躍るようなキャッチーなメロディが満載のダイナミックなハード・ロックが展開されていて、過去のアルバムでは、2006年の名作『WIGWAMANIA』に近いです。
楽曲の構成、アレンジは過去最高レベル。
前半は、ヘヴィで骨太な「Hypnotized」とノリの良いエネルギッシュな「Shadows Of Eternity」が特に絶品です。
グルーヴィーな曲やソフトなメロディアス・チューンなどバラエティに富んでおり、様々なナンバーを歌いこなすグラム<Vo>の歌唱力に圧倒されます。
さらに特筆すべきは、ラストのドラマティックなバラード「Silver Lining」。
胸に響く歌メロとコーラスを軸に曲が進みますが、終盤のギター・ソロがまた絶品。
ここのソロはGUNS N’ ROSESの「November Rain」(1991年作『USE YOUR ILLUSION I』収録)のような鳥肌モノの展開です。
「再結成は大正解だった!」と感じさせる強力盤です。
W.E.T.『RETRANSMISSION』
■W.E.T./RETRANSMISSION
- Big Boys Don’t Cry
- The Moment Of Truth
- The Call Of The Wild
- Got To Be About Love
- Beautiful Game
- How Far To Babylon
- Coming Home
- What Are You Waiting For
- You Better Believe It
- How Do I Know
- One Final Kiss
- Big Boys Don’t Cry (Demo)
WORK OF ARTのロバート・サール<Key>、ECLIPSEのエリック・モーテンソン<G/B/Key/Vo>、TALISMANのジェフ・スコット・ソート<Vo>。
3人が所属するグループの頭文字をバンド名としているW.E.T.の4thアルバム。
ジェフは歌が上手い。
演奏も安定感あり。
表現力抜群のジェフの歌を軸に極上メロディが展開していく王道メロディアス・ハード・ロックです。
キャッチーなメロディの組み込ませ方も絶妙で、エリックの奏でるギター・ソロも流麗。
ロバートのキーボードもアクセントのつけ方が上手く、楽曲に躍動感を持たせます。
ハードで骨太、そしてノリの良い曲が多くを締めているので、アルバム全体に勢いがあります。
「The Call Of The Wild」「Beautiful Game」「Coming Home」「One Final Kiss」が特に素晴らしいです。
透明感があって80年代のような懐かしさを感じさせる「Got To Be About Love」もいいアクセントとなっています。
ポジティヴなエネルギーに満ちたメロディアス・ハード・ロック・アルバムです。
LABYRINTH『WELCOME TO THE ABSURD CIRCUS』
■LABYRINTH/WELCOME TO THE ABSURD CIRCUS
- The Absurd Circus
- Live Today
- One More Last Chance
- As Long As It Lasts
- Den Of Snakes
- Word’s Minefield
- The Unexpected
- Dancing With Tears In My Eye (ULTRAVOX cover)
- Sleepwalker
- A Reason To Survive
- Finally Free
- Lady Lost In Time (Acoustic)
イタリアのメロディック・パワー・メタル・バンドの通算9作目。
重厚で疾走感のある「The Absurd Circus」がまずかっこいいです。
続く「Live Today」でさらに加速してくるので、ここでノックアウト必至です。
劇的でメロディも一級品。
ロベルト・ティランティ<Vo>の声は芯が細めなのですが、哀愁を感じさせる声質ですので、LABYRINTHのドラマティックな音楽性と見事にマッチしています。
「One More Last Chance」では最初の歌い出しが絶品ですし、静と動のパートを見事に歌い分けます。
演奏面では、曲のテンポを変えて泣きのギターで魅了してきたり、キーボードで劇的要素を増してきたりと、スリリングな展開が目白押しです。
弾けるようなベースのフレーズを所々に登場させたりするアレンジもうまいです。
速い曲でなくても、フックのあるフレーズが満載なので、ドキドキが止まりません。
中盤に「The Unexpected」のような疾走曲があるのもうれしいです。
ここで再び「Live Today」のような興奮が味わえますし、TOBIAS SAMMET’S AVANTASIAやTHE POODLESも演っていたULTRAVOXのカヴァー「Dancing With Tears In My Eye」も、疾走感を加えた絶品のアレンジとなっています。
MICHAEL SCHENKER GROUP『IMMORTAL』
■MICHAEL SCHENKER GROUP/IMMORTAL
- Drilled To Kill (Vo:ラルフ・シーパース)
- Don’t Die On Me Now (Vo:ジョー・リン・ターナー)
- Knight Of The Dead (Vo:ロニー・ロメロ)
- After The Rain (Vo:マイケル・フォス)
- Devil’s Daughter (Vo:ラルフ・シーパース)
- Sail The Darkness (Vo:ロニー・ロメロ)
- The Queen Of Thorns And Roses (Vo:マイケル・フォス)
- Come On Over (Vo:ロニー・ロメロ)
- Sangria Morte (Vo:ジョー・リン・ターナー)
- In Search Of The Peace Of Mind (Vo:ロニー・ロメロ、ゲイリー・バーデン、ドゥギー・ホワイト、ロビン・マッコリー)
MICHAEL SCHENKER GROUP名義では2008年発表通算13作目『IN THE MIDST OF BEAUTY』以来13年ぶりとなるアルバム。
参加シンガーは、ラルフ・シーパース、ジョー・リン・ターナー、ロニー・ロメロ、マイケル・フォス、ゲイリー・バーデン、ドゥギー・ホワイト、ロビン・マッコリーと超豪華。
ドラムではサイモン・フィリップス、ボド・ショプフ、ブライアン・ティッシー、キーボードではスティーヴ・マン、デレク・シェリニアンが参加しています。
参加シンガーの持ち味が生かされた各曲の歌メロが素晴らしいです。
ラルフ・シーパースが歌う「Drilled To Kill」と「Devil’s Daughter」は疾走感があって最高。
マイケル・フォスが歌うバラード「After The Rain」も感動的ですし、ポップなメロディが絶品の「The Queen Of Thorns And Roses」も気持ち良く、聴いていて自然と体が動きます
ロニー・ロメロが歌うキャッチーな「Sail The Darkness」もクール。
歌い出しでグッときます。
曲調にフィットしたマイケル・シェンカー<G>のギター・プレイも見事で、「The Queen Of Thorns And Roses」で聴かれるように、魅力的な歌メロと絶妙に呼応したフレーズを放ちます。
「In Search Of The Peace Of Mind」は再録。
オリジナルは、SCORPIONSの1972年1st『LONESOME CROW』に収録されていましたが、今回は、ロニー・ロメロ、ゲイリー・バーデン、ドゥギー・ホワイト、ロビン・マッコリーの4人のシンガーが共演しています。
オリジナルはフェードアウトしていくエンディングでしたが、こちらはマイケル・シェンカーの熱いプレイと共に劇的に締めくくる素晴らしいアレンジです。
サウンドはラフな感じで、近くで生演奏を聴いているような感覚です。
2021年2月
TODD LA TORRE『REJOICING IN THE SUFFERING』
■TODD LA TORRE/REJOICING IN THE SUFFERING
- Dogmata
- Pretenders
- Hellbound And Down
- Rejoice In The Suffering
- Crossroads To Insanity
- Critical Cynic
- Darkened Majesty
- Vexed
- Vanguards Of The Dawn Wall
- Apology
- Fractured
- Set It Off
- One By One
QUEENSRYCHEのヴォーカリスト、トッド・ラ・トーレ<Vo>の1stソロ。
QUEENSRYCHEよりもかなりアグレッシヴなメタル・サウンドが展開されていて、ビックリ仰天。
演奏はブルータルで、トッドもQUEENSRYCHEでは聴かれないような歌い方を披露しています。
ヒステリックでパワフルなハイトーン・ヴォイスです。
「Dogmata」なんてスラッシュ・メタルっぽいですし、トッドのヒステリックな歌い方もあり、EXODUSみたいです。
JUDAS PRIESTの「Painkiller」や「Exciter」でのロブ・ハルフォード<Vo>、K.K.ダウニング<G>率いるKK’S PRIESTでのティム“リッパー”オーウェンズ<Vo>のヴォーカルが好きな人にはドストライクの内容。
聴いていてロブ、あるいはティム本人と錯覚してしまうような箇所もあります。
本業バンドよりも激しいサウンドをソロ作で披露するという点では、ジェイムズ・ラブリエ<Vo:DREAM THEATER>のソロ・アルバム『STATIC IMPULSE』(2010年2nd)と『IMPERMANENT RESONANCE』(2013年3rd)を想起させます。
QUEENSRYCHEでは考えられない音楽性。
だからこそ、ソロ・アルバムの意義が感じられます。
すさまじいエネルギーに満ちた強力作です。
EPICA『OMEGA』
■EPICA/OMEGA
- Alpha – Anteludium
- Abyss Of Time – Countdown To Singularity
- The Skeleton Key
- Seal Of Solomon
- Gaia
- Code Of Life
- Freedom – The Wolves Within
- Kingdom Of Heaven, Part III – The Antediluvian Universe
- Rivers
- Synergize – Manic Manifest
- Twilight Reverie – The Hypnagogic State
- Omega – Sovereign Of The Sun Spheres
オランダのシンフォニック・メタル・バンドの8thフル。
オーケストラをふんだんに取り入れたシンフォニックな世界に、シモーネ・シモンズ<Vo>の美声とマーク・ヤンセン<G/Vo>のグロウルが響き渡ります。
合唱隊の分厚いコーラスも被さり、壮大なサウンドが繰り広げられます。
「Alpha – Anteludium」からシモーネの美声とマークのグロウルが絶妙に呼応。
演奏そのものも躍動感にあふれ、重厚感があってスリリングです。
「Abyss Of Time – Countdown To Singularity」にみられるように、曲そのものに静と動の展開を持たせ、劇的コーラスの取り入れるアプローチが非常にうまい。
「Gaia」「Code Of Life」「Rivers」での堂々としたシモーネの歌唱も見事。
「美しくて頼もしい」。
そんな表現がぴったりです。
テンポを変えて進むナンバーが多いですが、疾走パートを多く取り入れているのがうれしいポイント。
シモーネの表現力抜群のヴォーカル、あるいはマークのアグレッシヴなグロウルと共に圧巻のコーラスで畳みかけてくる構成も絶品。
濃密な演奏に極上の歌メロが絡む展開に圧倒されます。
ALICE COOPER『DETROIT STORIES』
■ALICE COOPER/DETROIT STORIES
- Rock & Roll (THE VELVET UNDERGROUND cover)
- Go Man Go (Album Version)
- Our Love Will Change The World (OUTRAGEOUS CHERRY cover)
- Social Debris
- $1000 High Heel Shoes
- Hail Mary
- Detroit City 2021
- Drunk And In Love
- Independence Dave
- I Hate You
- Wonderful World
- Sister Anne (MC5 cover/Album Version)
- Hanging On By A Thread (Don’t Give Up)
- Shut Up And Rock
- East Side Story (BOB SEGER & THE LAST HEARD cover/Album Version)
怖そうなルックスと聴きやすい楽曲群のギャップが魅力の1つでもあるアリス・クーパーの2021年作。
カヴァー曲や既発曲のヴァージョン違いを含む全15曲収録で、プロデュースはこれまで数多くのアリスの傑作を手掛けてきたボブ・エズリン。
ラフなロックン・ロールを軸としています。
1989年作『TRASH』や1991年作『HEY STOOPID』のようなダイナミックさや2000年作『BRUTAL PLANET』や2001年作『DRAGONTOWN』のようなヘヴィなアプローチはみられず、等身大のアリスが楽しめます。
70年代の雰囲気が作品全体を包み込んでいて、ドライなギター・サウンドと個性的なアリスの声から成るキャッチーなメロディが心地良く響き渡ります。
メロディそのものが秀逸で、やっぱり聴きやすい。
すいすい進みます。
怪しい雰囲気の「Wonderful World」なんかは「アリスが演らなくて誰がやる?」的な展開。
こういった曲でも親しみやすいメロディを組み込むあたりはさすがです。
「Hanging On By A Thread (Don’t Give Up)」は、2020年にコロナ禍の世界に向けてアリスのメッセージ込みでリリースされたバラード「Don’t Give Up」の新ヴァージョン。
オリジナルとは異なるアリスのメッセージが収録されています。
EVERGREY『ESCAPE OF THE PHOENIX』
■EVERGREY/ESCAPE OF THE PHOENIX
- Forever Outsider
- Where August Mourn
- Stories
- A Dandelion Cipher
- The Beholder (feat. James LaBrie)
- In The Absence Of Sun
- Eternal Nocturnal
- Escape Of The Phoenix
- You From You
- Leaden Saints
- Run
スウェーデンのドラマティック・メタル・バンドの12作目。
重厚で時折MEGADETHのように鋭いリフをみせながら劇的に展開していくスリリングなサウンドです。
トム・S・イングランド<Vo/G>のヴォーカルは中音域中心の魅力的なメロディを放ち、ギターもインパクトのあるメロディで攻めてきます。
特に、グルーヴ感あふれる「Where August Mourn」や勢いのある「Eternal Nocturnal」の歌メロと演奏は絶品です。
「The Beholder」にはDREAM THEATERのジェイムズ・ラブリエ<Vo>がゲスト参加。
こちらはスローでヘヴィなナンバーで、トムのヴォーカル中心で進み、中盤からジェイムズが登場。
このジェイムズの歌の入り方が絶妙で、その後ドラマティックに躍進していく構成が素晴らしいです。
ヤコブ・ハンセンのプロデュース作品ですので、スリリングなドラマティック・メタルを高音質で楽しめます。
2021年3月
MOONSPELL『HERMITAGE』
■MOONSPELL/HERMITAGE
- The Greater Good
- Common Prayers
- All Or Nothing
- Hermitage
- Entitlement
- Solitarian
- The Hermit Saints
- Apophthegmata
- Without Rule
- City Quitter
ポルトガルのゴシック・メタル・バンドの13作目。
さすがの内容です。
ダークで悲哀に満ちた劇的サウンドが繰り広げられ、そこにフェルナンド・リベイロ<Vo>の哀愁を帯びた声質によるヴォーカルが響き渡ります。
クリーン・ヴォイスでは透明感を漂わせ、グロウルではエモーショナルに迫ります。
この対照的描写が素晴らしく、特にクリーン・ヴォイスでの歌メロが絶品。
ヴォーカルの背後でリフをヘヴィに刻み、哀メロを鳴らすギターもインパクトがあり、楽曲をドラマティックに装飾するキーボードも見事です。
特に「Common Prayers」ではヴォーカルと演奏陣が見事なマジックを起こしています。
スローで劇的に進行しながらギターが泣きまくる「All Or Nothing」や印象的なフレーズを放ち続けるインストゥルメンタル「Solitarian」も絶品。
GHOSTが演りそうな厳かでグルーヴィーな「The Hermit Saints」もすごいです。
ダークで美しく神秘的な音像は圧巻そのものです。
THE CROWN『ROYAL DESTROYER』
■THE CLOWN/ROYAL DESTROYER
- Baptized In Violence
- Let Me Hammering Begin!
- Motordeath
- Ultrafaust
- Glorious Hades
- Full Metal Justice
- Scandinavian Satan
- Devoid Of Light
- We Drift On
- Beyond The Frail
- Absolute Monarchy
スウェーデンのデス・メタル・バンドの11作目。
1曲目「Baptized In Violence」が約1分20秒。
イントロかと思ったら、いきなり爆走デスラッシュ。
強烈なカウンター・パンチを食らった感じの「Baptized In Violence」に続く「Let Me Hammering Begin!」はヨハン・リンドストランド<Vo>の怒濤のシャウトと共に突進するファスト・ナンバーで、攻撃を緩めない展開に圧倒されます。
重く攻撃的なリフにメロディアスなフレーズを乗せるギターがまた見事。
曲の本編は疾走するものの、冒頭と終盤でMACHINE HEADの「Old」(1994年1st『BURN MY EYES』収録)のようなグルーヴィーな展開を仕掛けてくる「Ultrafaust」のアプローチも面白いです。
いったんスローダウンする「Glorious Hades」もインパクトのあるフレーズ満載で、いいアクセントになっています。
そして「Full Metal Justice」(タイトルが素晴らしい!)で攻撃再開。
後半もラストまでスリリングな展開が繰り広げられます。
特に、メロディアスなギターを鳴らし続けながら突進する「Beyond The Frail」は絶品。
ブルータルに攻めつつ、メロディックなフレーズでも畳みかけてくる圧巻の作品です。
前作の2018年10th『COBRA SPEED VENOM』や2003年6th『POSSESSED 13』、2000年4th『DEATHRACE KING』などを手掛けてきたフレドリック・ノルドストロームがプロデュースを担当。
サウンドも迫力満点です。
THE METAL OPERA BY MAGNUS KARLSSON『HEART HEALER』
■THE METAL OPERA BY MAGNUS KARLSSON/HEART HEALER
- Awake
- Come Out Of The Shadows
- Who Can Stand All Alone
- Back To Life
- Into The Unknown
- When The Fire Burns Out
- Evil’s Around The Corner
- Mesmerized
- Weaker
- This Is Not The End
- When The Fire Burns Out (Orchestra Remix)
マグナス・カールソン<G>による女性Voメタル・オペラ・プロジェクト。
以下の参加女性シンガーが参加しています。
- ノーラ・ロウヒモ<BATTLE BEAST, LAURENNE/LOUHIMO>
- アネット・オルゾン<THE DARK ELEMENT>
- ネッタ・ローレンネ<SMACKBOUND, LAURENNE/LOUHIMO>
- エイドリアン・カウォン<SEVEN SPIRES>
- マルガリータ・モネ<EDGE OF PARADISE>
- アイリン・ヒメネス<HER CHARIOT AWAITS>
- ヨウマ・ジェレイサーティ
マグナス・カールソンが全曲作曲ですので、楽曲のクオリティはトップ・レベル。
歌と演奏で魅力的なメロディを放っています。
比較的ゆっくりとした曲が多めなので、徐々にドラマティックに躍進していくサウンドが好きな人にはストライクの内容です。
特にノーラ・ロウヒモとアネット・オルゾンの存在感がすごいです。
ノーラが1人で歌った「Into The Unknown」は中盤のハイライト。
BATTLE BEASTとは一味違い、優しくエモーショナルに歌っています。
アネットのみのヴォーカルの「Mesmerized」は躍動感あふれる心地良いナンバー。
彼女の美声が生かされたメロディにドキドキします。
ラストは参加シンガー全員参加の「This Is Not The End」でパワフルに締めくくります。
要所要所でメロディックなフレーズを放つマグナスのギターも絶品です。
GARY HUGHES『WATERSIDE』
■GARY HUGHES/WATERSIDE
- All At Once It Feels Like I Believe
- Electra-Glide
- Lay Down
- The Runaway Damned
- Screaming In The Halflight
- Waterside
- Video Show
- Save My Soul
- Seduce Me
- When Love Is Done
- All At Once It Feels Like I Believe (Acoustic)
英国のハード・ロック・バンド、TENのゲイリー・ヒューズ<Vo>の7枚目となるソロ・アルバム。
2007年『VERITAS』以来7年ぶりのソロ作発表です。
ゲイリーの哀愁ある声質を生かしたメロディアス・ハード・ロックが展開されています。
TENに比べるとやや清涼感が増したようなサウンド。
だからといって、ポップになりすぎるということはなく、ハードさをちゃんと保ってくれてるのがうれしい。
中音から低音域中心のゲイリーの歌メロが非常に心地よく響いてきます。
透明感を演出するキーボード、切ないピアノ、泣きのあるフレーズを奏でるギターなど演奏も素晴らしいです。
「All At Once It Feels Like I Believe」の最初のピアノでもう泣きそうになります。
ゲイリーの哀メロ炸裂の歌から絶品のギター・ソロに流れる「Electra-Glide」、ドラマティックでキャッチーな「Lay Down」、歌とギターの両方で泣きメロを放つ「The Runaway Damned」「Video Show」、物悲しいピアノを軸に進んでいくバラード「When Love Is Done」など、感動のオンパレードです。
ゲイリーが全曲作曲で、プロデュースもゲイリー本人。
ということでクオリティは間違いなしの極上メロディアス・ハード・ロックです。
THUNDER『ALL THE RIGHT NOISES』
■THUNDER/ALL THE RIGHT NOISES
- Last One Out Turn Off The Lights
- Destruction
- The Smoking Gun
- Going To Sin City
- Don’t Forget To Live Before You Die
- I’ll Be The One
- Young Man
- You’re Gonna Be My Girl
- St. George’s Day
- Force Of Nature
- She’s A Millionairess
13作目。
ダニー・ボウズ<Vo>の表現力豊かなヴォーカルとハードで湿り気のあるギターが心地良い王道ブリティッシュ・ハード・ロックです。
ドライヴ感あふれる「Last One Out Turn Off The Lights」でスタート。
サビのメロディも心地良く、ここで「今作も良い!間違いない!」と確信できます。
明るくポジティヴな雰囲気の「Going To Sin City」「You’re Gonna Be My Girl」などのロック・チューンをはじめ、渋いアコースティック・ナンバーの「The Smoking Gun」、切ないピアノによる感動的なバラード「I’ll Be The One」など、様々なタイプの曲を配置しています。
静と動のパートを織り交ぜたヘヴィな「Destruction」、ハードさとブルージーさが融合した「Don’t Forget To Live Before You Die」も面白いですし、ソフトでミステリアスな曲調の中で哀愁を帯びた歌メロが炸裂する「St. George’s Day」も絶品。
ダニーの魅力的な歌メロの後にエモーショナルなギター・ソロが攻めてくる曲構成が素晴らしく、女性コーラスの組み込ませ方もうまいです。
フックのあるアプローチが満載で、最後まで飽きることなく聴ける作品です。
SECRET SPHERE『LIFEBLOOD』
■SECRET SPHERE/LIFEBLOOD
- Shaping Reality
- Lifeblood
- The End Of An Ego
- Life Survivors
- Alive
- Against All The Odds
- Thank You
- The Violent Ones
- Solitary Fight
- Skywards
- The Lie We Love
- Skywards (Orchestra Version)
オリジナル・シンガーのロベルト“ラモン”メッシーナ<Vo>が復帰したイタリアのメロディック・パワー・メタル・バンド、SECRET SPHERE。
アグレッシヴで勢いに満ちた作風で、キーボードも大活躍。
劇的メタル・サウンドが展開されています。
壮大なイントロ「Shaping Reality」からパワー・メタル・チューン「Lifeblood」へと流れる王道の幕開け。
ここでもうガッツポーズです。
伸びのあるロベルトのヴォーカルによるサビのメロディが胸に響き、ギターもキーボードもインパクトのあるフレーズを放ちます。
キラキラ輝く躍動感あふれるパワー・メタルです。
パワー・メタル・ファンは涙モノの「Alive」で疾走しながらも、ドラマティックでキャッチーな「The End Of An Ego」「Against All The Odds」、シンフォニックな音像の中で切ないメロディが光る「Life Survivors」、サビがゴージャスでダイナミックな「Thank You」、感動的なバラード「Skywards」など様々な曲を配置。
テクニカルなフレーズを織り交ぜながらアグレッシヴに展開する「The Violent Ones」(途中に挟むピアノのパートも絶品)も面白いですし、速さを維持しながらもにドラマティックに躍進していく「Solitary Fight」はアルバムの最後のようなクライマックスを迎えます。
で、本編最後の「The Lie We Love」は静かに始まり、その後様々な展開をしていくナンバー。
終わったかと思わせてまた演奏を再開し、ラストは分厚いコーラスが被さってくるのですが、ここは鳥肌モノ。
そしてまた静かになって幕を閉じます。
フックのあるアプローチが満載。
濃密な極上パワー・メタルです。
ROB ZOMBIE『THE LUNAR INJECTION KOOL AID ECLIPSE CONSPIRACY』
■ROB ZOMBIE/THE LUNAR INJECTION KOOL AID ECLIPSE CONSPIRACY
- Expanding The Head Of Zed
- The Triumph Of King Freak (A Crypt Of Preservation And Superstition)
- The Ballad Of Sleazy Rider
- Hovering Over The Dull Earth
- Shadow Of The Cemetery Man
- A Brief Static Hum And Then The Radio Blared
- 18th-Century Cannibals, Excitable Morlocks And A One-Way Ticket On The Ghost Train
- The Eternal Struggles Of The Howling Man
- The Much Talked Of Metamorphosis
- The Satanic Rites Of Blacula
- Shower Of Stones
- Shake Your Ass/Smoke Your Grass
- Boom-Boom-Boom
- What You Gonna Do With That Gun Mamma?
- Get Loose
- The Serenity Of Witches
- Crow Killer Blues
元WHITE ZOMBIEのヴォーカリストで、ソロ、映画監督など幅広く活躍するロブ・ゾンビ<Vo>。
本作は7枚目のソロ。
全17曲ですが、トータルでは約42分。
小曲→数曲メイン楽曲→また小曲… といった感じで進んでいきます。
SEをふんだんに取り入れたダンサブルなヘヴィ・ロックが展開されています。
「The Triumph Of King Freak (A Crypt Of Preservation And Superstition)」や「The Ballad Of Sleazy Rider」(タイトルに「Ballad」とありますが、バラードの要素はなし)で聴かれるように、リズミカルな曲調の中に、ロブの邪悪でありながらもキャッチーな歌メロが響き渡ります。
エフェクトのかかったロブの声とピコピコした音が絡み合う「18th-Century Cannibals, Excitable Morlocks And A One-Way Ticket On The Ghost Train」もコミカルな雰囲気を漂わせていて面白いですし、ロブの低音ヴォーカルで進んでいく「Boom-Boom-Boom」も不気味でありながら快感。
ヘヴィ・サウンドの中から神秘的なフレーズが顔をのぞかせる「Get Loose」も見事です。
ヘヴィな音を刻みながらも要所要所にフックのあるフレーズを放つギターも素晴らしく、メインの楽曲へのSEの組み込ませ方がうまいです。
重厚でスリリングなサウンドの中にフックのアレンジが満載。
楽しく聴ける1枚です。
SUNSTORM『AFTERLIFE』
■SUNSTORM/AFTERLIFE
- Afterlife
- One Step Closer
- Swan Song
- Born Again
- Stronger
- I Found A Way
- Lost Forever
- Far From Over
- Here For You Tonight
- Darkest Night
- A Story That You Can Tell
- Lost Forever (Acoustic Version)
ジョー・リン・ターナー<Vo>が歌っていたメロディアス・ハード・ロック・プロジェクト、SUNSTORM。
6作目となるこの『AFTERLIFE』からは、ヴォーカルがロニー・ロメロ<Vo:LORDS OF BLACK, RAINBOW, THE FERRYMEN>となっています。
ギターは2016年4th『EDGE OF TOMORROW』から参加しているDGMのシモーネ・ムラローニ<G>。
2016年4th『EDGE OF TOMORROW』から参加しプロデューサーとして貢献してきたアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ<Key>も今作でプレイ。
アレッサンドロはプロデュースも担当しています。
ロニーの情熱的な歌唱が光るダイナミックなハード・ロックです。
アップテンポでエネルギッシュな「Afterlife」やドライヴ感あふれるメロディアス・ハード「One Step Closer」、ドラマティックな「Far From Over」など、気分を高揚させるロニーの歌メロが絶品。
ギターとキーボードもメロディックなフレーズを放ち、演奏面でも魅了します。
バラード「Lost Forever」での全身に響いてくるギター・ソロなんかは最高です。
特におすすめは、シモーネの泣きのギター・フレーズとロニーの歌が見事に呼応する「Stronger」。
出だしでやられて、最後までグッときっぱなしです。
「Swan Song」の終盤や「Born Again」で聴けるハモンド・オルガンも心地良いです。
エモーショナルなロニーのヴォーカルとフックのある演奏で畳みかけてくる極上メロディアス・サウンドです。
RONNIE ATKINS『ONE SHOT』
■RONNIE ATKINS/ONE SHOT
- Real
- Scorpio
- One Shot
- Subjugated
- Frequency Of Love
- Before The Rise Of An Empire
- Miles Away
- Picture Yourself
- I Prophesize
- One By One
- When Dreams Are Not Enough
- One Shot (Orchestral Version)
PRETTY MAIDSのヴォーカリスト、ロニー・アトキンス<Vo>の1stソロ。
ステージ4の肺がんであり、治療法がないことを公表したロニー。
「残された時間は曲を書く。アイディアがたくさんあるから」という旨の前向きなコメントも出していました。
初となるこのソロ・アルバム『ONE SHOT』は、そのロニーの言葉を証明する大傑作。
素晴らしいです。
強力作品を連発していたPRETTY MAIDSでも極上のメロディが聴かれました。
特に2010年12作目『PANDEMONIUM』以降は傑作だらけですが、その充実ぶりがこの『ONE SHOT』にもみられます。
PRETTY MAIDSでは重厚なギターを軸とした曲が中心ですが、『ONE SHOT』のサウンドはPRETTY MAIDSに透明感が加わったような感じ。
優しさあふれる美しい歌メロが絶品の「Real」、エフェクトのかかったヴォーカルを挿入したアレンジが面白いダイナミックな「Scorpio」、切ないピアノからハードになっていく力強い「One Shot」、ガッツがあってメロディアスなコーラスが素晴らしい「Subjugated」。
冒頭から感動の嵐です。
後半には、サビでの分厚いハーモニーが圧巻な感動的なバラード「Miles Away」、メロディアスなギターのフレーズと共にロニーが歌で魅了し続ける「Picture Yourself」「I Prophesize」などのキラー・チューンが登場します。
最後の「When Dreams Are Not Enough」で展開される美しいコーラスのメロディも絶品で、涙が出そうになります。
ロニーの表現力の高いヴォーカルを軸に展開される極上メロディアス・ハード・ロックであると同時に、PRETTY MAIDSとは一味違った魅力にあふれたアルバム。
ですので、ソロ・アルバムとしての意義も十分に感じられます。
ミックスとマスタリングはヤコブ・ハンセン。
サウンドも最高です。
TURBULENCE『FRONTAL』
■TURBULENCE/FRONTAL
- Inside The Gage
- Madness Unforeseen
- Dreamless
- Ignite
- A Place I Go To Hide
- Crowbar Case
- Faceless Man
- Perpetuity
- In The Name Of God (DREAM THEATER cover)
中東レバノン出身プログレッシヴ・メタル・バンドの2ndフル。
長尺の曲が多くを占めていて、かなり高度な演奏技術を持ったバンドです。
日本盤CD限定ボーナス・トラックとして、DREAM THEATERの「In The Name Of God」(2003年作『TRAIN OF THOUGHT』収録)のカヴァーを収録。
アルバム本編のオリジナル曲も「In The Name Of God」に通じるサウンドです。
ダーク、ヘヴィ、ドラマティック、そしてテクニカル。
ヴォーカルは中音域中心で、ここがDREAM THEATERと異なるところですが、濃密な演奏と見事にマッチしています。
DREAM THEATERの1994年作『AWAKE』、1997年作『FALL INTO INFINITY』、2002年作『SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE』のDISC 1、2009年作『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』の路線が好きな人には特におすすめです。
オリジナル曲では中音域中心だったヴォーカルも「In The Name Of God」のカヴァーでは、高音パートを見事に再現しています。
EVANESCENCE『THE BITTER TRUTH』
■EVANESCENCE/THE BITTER TRUTH
- Artifact/The Turn
- Broken Pieces Shine
- The Game Is Over
- Yeah Right
- Feeding The Dark
- Wasted On You
- Better Without You
- Use My Voice
- Take Cover
- Far From Heaven
- Part Of Me
- Blind Belief
- Cruel Summer (BANANARAMA cover/Live From Home)
- The Chain (FLEETWOOD MAC cover/From Gears 5)
スタジオ・アルバムでは2011年3rd『EVANESCENCE』以来10年ぶりとなる4th。
サウンドは重厚なギターを軸にドラマディックに進行していくゴシック・ロックで、要所要所に打ち込み系のアプローチを加えています。
ハードなギターとプログラミングを駆使した劇的サウンドをバックに伸びのある声で堂々と歌うエイミー・リー<Vo/Piano/Key/Programming>のヴォーカルが素晴らしいです。
前作『EVANESCENCE』はアップ・テンポ・ナンバー「What You Want」でスタートを切りましたが、今作はエイミーの美声が響き渡るスペイシーなイントロ「Artifact/The Turn」からミステリアスでインダストリアルっぽい「Broken Pieces Shine」に流れるというスタイル。
『EVANESCENCE』とは対照的な幕開けで面白いです。
「The Game Is Over」はグルーヴ感のあるナンバーで、2003年1st『FALLEN』収録の「Going Under」のようにエイミーの伸びの歌唱が心地良く響いてきます。
ドラムも爆発力があり、どんどんドラマティックに展開していく曲調がナイス。
似たような興奮が「Feeding The Dark」、後半の「Part Of Me」でも味わえます。
「The Game Is Over」からやや加速する「Yeah Right」もかっこいいですし、スローな「Better Without You」ではミステリアスなキーボードとエイミーの表現力豊かなヴォーカルが絶妙に呼応していて、プログラミングの導入の仕方もうまいです。
「Use My Voice」はキャッチーなサビのメロディが秀逸で、本作のハイライト。
サビに行くまでエイミーの静かな歌唱とダイナミックなサビとの対照的描写が見事です。
エイミーのピアノ/キーボード、切ない歌メロが光る美しいバラード「Far From Heaven」も感動的。
「Blind Belief」は本編を締めくくるのにふさわしい美しく劇的なナンバーで、エイミーのアクセントをつけたエモーショナルな歌唱が最初から最後まで最高です。
日本盤ボーナス・トラックはカヴァー2曲。
BANANARAMAの「Cruel Summer」は、エイミーとトロイ・マクローホーン<G>がそれぞれ自宅から参加したヴァーチャル・セッションの音源。
FLEETWOOD MACの「The Chain」は、ゲーム『Gears 5』のプロモーションに使用されました。
SMITH/KOTZEN『SMITH/KOTZEN』
■SMITH/KOTZEN / SMITH/KOTZEN
- Taking My Chances
- Running
- Scars
- Some People
- Glory Road
- Solar Fire
- You Don’t Know Me
- I Wanna Stay
- ‘Til Tomorrow
IRON MAIDENのエイドリアン・スミス<G>とTHE WINERY DOGSのリッチー・コッツェン<G>によるプロジェクトのデビュー・アルバム。
意外な組み合わせですが、ワクワクする共演です。
で、内容のほうはというと最高です。
エイドリアンとリッチーの2人がヴォーカルを担当。
ベースも2人で分担していて、リッチーが「Taking My Chances」から「Solar Fire」までの6曲、エイドリアンが「You Don’t Know Me」から「’Til Tomorrow」までの3曲でベースを弾いています。
ドラムに関しては、リッチーが「Taking My Chances」から「Glory Road」までの5曲、リッチーのツアー・バンドのドラマーのタル・バーグマン<Ds>が「You Don’t Know Me」から「’Til Tomorrow」までの3曲、そしてIRON MAIDENのニコ・マクブレイン<Ds>が「Solar Fire」で叩いています。
THE WINERY DOGSにウェット感をにじませたようなサウンドで、ソウルフルな歌メロとギター・フレーズが響き渡ります。
ドライヴ感のある1曲目の「Taking My Chances」からスリリングのあるフレーズが炸裂。
ビリー・シーン<B: MR. BIG, THE WINERY DOGS, SONS OF APOLLO>が弾きそうなベース・ラインも出てきてワクワクします。
キャッチーなメロディが快適な「Running」に流れていき、以降はゆったりとした曲が多めですが、歌もギターも魅力的なフレーズが満載。
エイドリアンもリッチーも伸び伸びと弾いている印象で、2人がぶつけ合うソロからはマジックのようなオーラが感じられます。
ブルージーな「Scars」「Glory Road」「You Don’t Know Me」でのプレイなんかは本当に引き込まれます。
何か作業をしながら聴いていてもその手が止まってしまうほどのインパクトです。
エイドリアンとリッチーによる共同プロデュース。
ミックスは『BRAVE NEW WORLD』(2000年)以降のIRON MAIDENのアルバムもプロデュースしているケヴィン・シャーリーが担当。
生っぽい音がまた心地良いです。
2021年4月
LIQUID TENSION EXPERIMENT『LIQUID TENSION EXPERIMENT 3』
■LIQUID TENSION EXPERIMENT/LIQUID TENSION EXPERIMENT 3
【DISC 1】
- Hypersonic
- Beating The Odds
- Liquid Evolution
- The Passage Of Time
- Chris & Kevin’s Amazing Odyssey
- Rhapsody In Blue
- Shades Of Hope
- Key To The Imagination
【DISC 2】
- Blink Of An Eye
- Solid Resolution Theory
- View From The Mountaintop
- Your Beard Is Good
- Ya Mon
マイク・ポートノイ<Ds:SONS OF APPOLO, THE WINERY DOGS, 元DREAM THEATER>、ジョン・ペトルーシ<G:DREAM THEATER>、ジョーダン・ルーデス<Key:DREAM THEATER>、トニー・レヴィン<B:KING CRIMSON>によるテクニカル・インストゥルメンタル・バンド、LIQUID TENSION EXPERIMENTの22年ぶりとなる3rdフル。
最高のインスト・アルバムです。
冒頭の「Hypersonic」からドキドキです。
1998年1st『LIQUID TENSION EXPERIMENT』の「Paradigm shift」や1999年2nd『LIQUID TENSION EXPERIMENT 2』の「Acid Rain」を思わせるスリリングなフレーズが満載。
ここでもう虜になります。
前半はテクニカルなパートでエキサイトさせ、後半はジョン・ペトルーシのエモーショナルなギター・フレーズで攻めてくる「Beating The Odds」や透明感を漂わせるジョーダン・ルーデスのキーボードを軸に泣きメロを織り交ぜながらパワフルに展開していく「The Passage Of Time」も見事。
かねてからライヴで演奏されていたジョージ・ガーシュウィンのカヴァー「Rhapsody In Blue」がスタジオ音源として収録されている点にも注目です。
03:51あたりからの静かなパートは、DREAM THEATERの「The Count of Tuscany」(2009年作『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』収録)での中間部へのインスピレーションになっています。
ここは聴き比べてみると面白いです。
ピアノと切ないギターが涙を誘う「Shades Of Hope」からラストの「Key To The Imagination」への流れも絶品。
ヘヴィに攻めたり、キラリと輝くフレーズを放ったりと、緩急をつけた4人の演奏が圧巻です。
終盤はDREAM THEATERの「In The Name Of The God」(2003年作『TRAIN OF THOUGHT』収録)を思わせる展開もみられ、壮大に締めくくります。
DISC 2は、ジャムセッションからの抽出音源。
全曲フェードインしてくる形でのスタートとなっていますが、DISC 1と同じく聴きごたえ抜群です。
あと、3曲目のタイトル。
こちらの表題が「View From The Mountaintop」で、DREAM THEATERの2021年作のタイトルが『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』…。
曲の展開そのものは異なりますが、最初のギターの音がDREAM THEATERのタイトル曲「A View From The Top Of The World」と共通しているのが興味深いです。
KORPIKLAANI『JYLHA』
■KORPIKLAANI/JYLHA
- Verikoira
- Niemi
- Levaluhta
- Mylly
- Tuuleton
- Sanaton Maa
- Kiuru
- Miero
- Pohja
- Huolettomat
- Anolan Aukeat
- Pidot
- Juuret
フィンランドのフォーク・メタル・バンドの11作目。
ヴァイオリン奏者、さらにはアコーディオン奏者もいるため、楽しい要素が満載。
基本的な演奏そのものは、厚みのあるギターを軸としてドラマティックに展開していく王道へヴィ・メタル。
楽曲も同じペースで進むのではなく、途中で鋭いリフを伴って突進したりとアクセントのつけ方が上手です。
ヨンネ・ヤルヴェラ<Vo>のヴォーカルも太い声質によるエネルギッシュな歌唱が光っていて、そこにキャッチーなコーラスが被さってきます。
「Levaluhta」や「Sanaton Maa」のメロディに聴かれるように勇壮なコーラスとの相性が抜群。
演奏と歌メロにフックがあります。
聴いていてほのぼのするのと当時に、ガッツポーズもとりたくなるような頼もしいアプローチが満載の1枚。
前から思っていたのですが、KORPIKLAANIの音楽性は、ディズニーランドの「ウエスタンランド」のBGMにピッタリのはず。
こういった音楽を聴きながら、「ウエスタンランド」で食事をしたり、「ビッグサンダー・マウンテン」などの人気アトラクションに並べば、より楽しい気分になれること間違いなしです。
OUT OF THIS WORLD『OUT OF THIS WORLD』
■OUT OF THIS WORLD/OUT OF THIS WORLD
- Twilight
- Hanging On
- In A Million Years
- Lighting Up My Dark
- Staring At The Sun
- The Warrior
- Up To You
- Ain’t Gonna Let You Go
- Only You Can Teach Me How To Love Again
- Not Tonight
- Not Tonight (Acoustic Duet Version)
FAIR WARNINGのヴォーカリスト、トミー・ハート<Vo>、EUROPEの1988年4th『OUT OF THIS WORLD』と1991年5th『PRISONERS IN PARADISE』で素晴らしいプレイを披露したキー・マルセロ<G>を中心に結成されたメロディアス・ハード・ロック・バンドのデビュー作。
DEEP PURPLEのドン・エイリー<Key>がゲストでキーボードをプレイしています。
ミックスは『OUT OF THIS WORLD』をはじめ、数多くのハード・ロックの名作を手掛けてきたロン・ネヴィソン。
バンド名はEUROPEの『OUT OF THIS WORLD』からとっていますが、音楽性はより爽快なメロディアス・ハード・ロック。
エネルギッシュなトミーの歌唱とキーのギターが見事にかみ合っていて、聴いていると前向きな気持ちになれる。
そんなサウンドが展開されます。
オープニングの「Twilight」は約7分半ありますが、長さを全然感じさせない王道メロハー。
トミーの堂々としたなヴォーカルが冴え渡り、ギターとキーボードもフックのあるフレーズを多く放ちます。
最初から歌と演奏でドキドキさせてくれます。
「Hanging On」「Lighting Up My Dark」のポジティヴなコーラスな心地良いですし、哀愁あるメロディを軸に進行する「In A Million Years」も魅力的でキーの泣きのソロも絶品です。
特に素晴らしいのは「The Warrior」。
MR. BIGの「Addicted To That Rush」(1989年1st『MR. BIG』収録)や「Colorado Bulldog」(1993年3rd『BUMP AHEAD』収録)を思わせるアグレッシヴなナンバーで、これはヤバいです。
こういった曲をトミーが歌うのは意外でしたが、見事にハマっていますし、キーのギターもスリリングのあるフレーズを連発。
アドレナリン爆発です。
ラストはバラード調の「Only You Can Teach Me How To Love Again」「Not Tonight」を2曲続けて配置。
トミーの円熟味のあるヴォーカルと美しく分厚いコーラスが見事で、キーのギター・ソロも気持ちが入っています(特に「Not Tonight」の泣きのソロが絶品)。
感動的なアプローチを畳みかけてく構成に脱帽です。
THE END MACHINE『PHASE2』
■THE END MACHINE/PHASE2
- The Rising
- Blood And Money
- We Walk Alone
- Dark Drive
- Crack The Sky
- Prison Or Paradise
- Plastic Heroes
- Scars
- Shine Your Light
- Devils Playground
- Born Of Fire
- Destiny
- Scars (Acoustic Version)
DOKKENの黄金期ラインナップのジョージ・リンチ<G>とジェフ・ピルソン<B>、現WARRANT/元LYNCH MOBのロバート・メイソン<Vo>が在籍するハード・ロック・バンド、THE END MACHINE。
デビュー作のドラマーはジョージとジェフと共にDOKKENの黄金時代を支えたミック・ブラウン<Ds>でしたが、この『PHASE2』ではミックの実弟のスティーヴ・ブラウン<Ds>が叩いています。
ジョージがエモーショナルにギターを鳴らす「The Rising」からスティーヴのスリリングなドラムが入りバンドの演奏に突入するアップ・テンポの「Blood And Money」でガッツポーズ。
ロバートの表現力豊かなヴォーカルとダイナミックなサビが心地良く、火花を散らしながら時にはメロディックに攻めてくるジョージのギター・ソロも絶品です。
スローでありながらもダイナミズムにあふれている「We Walk Alone」、軽快でメロディアスな「Dark Drive」、キャッチーなコーラスがクールなミドル・テンポの「Plastic Heroes」、切なく情念のこもった「Scars」など、バラエティに富んだ楽曲群でエキサイトさせてくれます。
曲調に応じてムードを変えるロバートの歌唱とジョージのプレイが見事です。
ジェフのベースも「THE END MACHINEのサウンドががっしりしているのは彼のベースが骨太でしっかりとしているからなのだ」と実感できます。
そしてすごいのが後半の「Devils Playground」と「Born Of Fire」。
「Devils Playground」はミステリアスに進行していく曲調で、妖しい魅力に包まれた歌メロが響き渡ります。
中盤のコーラスが絡んでくる所なんかは絶品。
「Born Of Fire」はグッとくる泣きのギターでスタート。
徐々にエネルギッシュになっていくロバートの歌メロが最高で、中盤からダイナミックなコーラスが被さる所は鳥肌が立ちます。
その後メロディアスなジョージのソロへと流れ、極上のサビ、そして泣きのギターで終わるという最高の展開です。
後半にキラー・チューンを配置するとアルバムを通しで聴く大きなモチベーションになりますが、『PHASE2』はその好例ともいえる作品です。
SWEET OBLIVION『RELENTLESS』
■SWEET OBLIVION/RELENTLESS
- Once Again One Sin
- Strong Pressure
- Let It Be
- Another Chance
- Wake Up Call
- Remember Me
- Anybody Out There
- Aria
- I’ll Be The One
- Fly Angel Fly
- I’ll Be The One (Acoustic Version)
元QUEENSRYCHEのジェフ・テイト<Vo>のプロジェクトの2nd。
QUEENSRYCHEの名盤『OPERATION:MINDCRIME』(1989年発表作)の「Breaking The Silence」を思わせる佳曲も収録されていた2019年1st『SWEET OBLIVION』はDGMのシモーネ・ムラローニ<G>によるプロデュースでしたが、この『RELENTLESS』はSECRET SPHEREのリード・ギタリスト、アルド・ロノビレ<G>によるプロデュース。
アルドはギターもプレイしています。
『RELENTLESS』は、例えるならQUEENSRYCHEの1990年作『EMPIRE』のスペース・オペラ。
ジェフの抜群の歌唱力が生かされたドラマティック・サウンドです。
「Once Again One Sin」なんて『EMPIRE』のオープニングを飾った「Best I Can」の宇宙空間ヴァージョンといった感じで、スケールの大きさに圧倒されます。
「Strong Pressure」は一度聴いたら頭から離れないサビのメロディが印象的で、中盤にSE組み込むアレンジも抜群。
高揚感が増してくる「Let It Be」は歌メロの展開が絶品で、ジェフの高音ヴォーカルからメロディアスなギター・ソロに流れる構成は鳥肌モノです。
耽美的なキーボードとジェフのメロディアスな歌が秀逸な「Another Chance」はSECRET SPHEREの『LIFEBLOOD』に収録されていた「Life Survivors」を想起させる展開で興味深いですし、他にも中音域の歌が冴えるミステリアスな「Wake Up Call」、ドラマティックな曲調と伸びのある歌唱が見事にマッチした「Anybody Out There」など、ドキドキする曲ばっかり。
歌詞がイタリア語の「Aria」も新鮮です。
全曲3分~4分台とコンパクトですが、曲構成そのものは濃密。
歌と演奏共にスリリングです。
トビアス・サメット<Vo:EDGUY>が主宰するTOBIAS SAMMET’S AVANTASIAに参加したあたりから特に勢いを取り戻してきているジェフ。
この『RELENTLESS』でも好パフォーマンスが光ります。
TEMPLE BALLS『PYROMIDE』
■TEMPLE BALLS/PYROMIDE
- Thunder From The North
- Long Way, Long Lies
- T.O.T.C.
- Fallen Youth
- Bad Bad Bad
- What Is Dead Never Dies
- Unholy Night
- Heart Of A Warrior
- You Better Run
- If Only I Could
- Something To Die For
- You Better Run (Acoustic Version)
フィンランドのハード・ロック・バンドの3rdフル。
ノリの良い曲調とゴージャスでキャッチーなメロディが心地良いダイナミックなハード・ロックが聴けます。
「Thunder From The North」からエネルギッシュのあるサウンドとパンチのあるヴォーカル/コーラスで畳みかけてきます。
エンジン全開です。
ヴォーカルの声質は若さと活力に満ちあふれていて、こういった勢いのある音楽性にぴったり。
コーラスは、DEF LEPPARDのようなハーモニーにSKID ROWの男臭さが加わったような感じで、拳を振り上げたくなります。
勢いのある曲調にメロディックなフレーズを乗せるギターにもフックが満載。
歌メロと演奏でエキサイトさせます。
「Long Way, Long Lies」のように、パワフルなコーラスの後にインパクトのあるギター・ソロを持ってくるあたりに曲の組み立て方のうまさが感じられます。
アップ・テンポで勢いのあるサウンドから哀愁を帯びた歌メロが放たれ、どんどんゴージャスになっていく「What Is Dead Never Dies」も見事。
最初から飛ばして、ようやく一息をつく10曲目のバラード「If Only I Could」では、エモーショナルな歌唱と泣きメロ満載のギター・ソロで涙を誘います。
前作『UNTAMED』(2019年2nd)でエンジニアリングを務め、キーボードとバック・ヴォーカルでも参加したH.E.A.Tのヨナ・ティー<Key>がプロデュースを担当。
サウンドも爆発力があります。
JAKOB SAMUEL『CoEXIST』
■JAKOB SAMUEL/CoEXIST
- Every Minute Every Hour
- Stand By You
- One Last Time
- Hey Brother
- Fast Lane
- End Of Days
- Blame It On Love
- Freak
- Ghost
- Home
- This Too Shall Pass
2017年のカヴァー・アルバム『PRISMA』を最後に解散してしまったスウェーデンのハード・ロック・バンド、THE POODLESのヴォーカリスト、ヤコブ・サミュエル<Vo>の2ndソロ。
THE POODLESではWIG WAMのようなキャッチーでダイナミックなハード・ロックを展開していましたが、この『CoEXIST』でもTHE POODLESの音楽性が継承されています。
ハードなギターと軽快なテンポがエネルギッシュなヤコブの歌唱が冴える「Every Minute Every Hour」「Fast Lane」、スローでヘヴィに進行しながらも哀愁を帯びたコーラスが染みてくる「Stand By You」、ドラマティックな曲調に感動的な歌メロが乗る「One Last Time」など、THE POODLESのファンにとってストライクのアプローチが満載です。
ダンサブルな「Hey Brother」「Blame It On Love」も面白いです。
「Hey Brother」はヴォーカルのゴージャスなアレンジが秀逸で、「Blame It On Love」はノリノリで楽しい要素が満載。
この2曲はソロだからこそ味わえる楽しさです。
他に素晴らしいのは「End Of Days」と「Home」。
「End Of Days」は低音域中心で極上のメロディが展開していき、後半は高音域に。
幅広いトーンを見事に歌い上げるヤコブの歌唱が圧巻です。
本編ラストの「Home」はバラード調に始まり、ミドル・テンポに進行していくのですが、安堵感にあふれたメロディ絶品。
SEの取り入れ方も見事でアレンジのうまさに脱帽です。
THE POODLESが演っていた王道メロディアス・ハード・ロックが聴けるの一方で、「Hey Brother」「Blame It On Love」のようにソロ・アルバムだからこそできた曲も収録。
THE POODLESが解散してしまった今、ヤコブがこういった音を提供してくれるのは大きな意義があります。
2021年はWIG WAMの復活、そしてヤコブのシーン帰還といううれしい出来事が重なった年でもありました。
GRETA VAN FLEET『THE BATTLE AT GARDEN’S GATE』
■GRETA VAN FLEET/THE BATTLE AT GARDEN’S GATE
- Heat Above
- My Way, Soon
- Broken Bells
- Built By Nations
- Age Of Machine
- Tears Of Rain
- Stardust Chords
- Light My Love
- Caravel
- The Barbarians
- Trip The Light Fantastic
- The Weight Of Dreams
米国出身の期待の若手、GRETA VAN FLEET。
2018年1st『ANTHEM OF THE PEACEFUL ARMY』以来3年ぶりの2ndフルです。
ロバート・プラント<Vo:LED ZEPPELIN>を思わせる表現力の高いヴォーカルで魅了するジョシュ・キスカ<Vo>、ウェット感のあるギターを奏でるジェイク・キスカ<G>、骨太のベースとドラマティックなキーボードでサウンドを包み込むサム・キスカ<B/Key>、爆発力のあるドラミングを披露するダニー・ワグナー<Ds>。
4人の個性が炸裂した70年代直系の高品質なハード・ロックが展開されています。
厳かなキーボードからパワフルなドラムが入り、浮遊感のあるサウンドを描く「Heat Above」から虜になります。
ドライヴ感満点の「My Way, Soon」、がっしりとしたベース・ラインと手数の多いドラムが際立つ「Built By Nations」など、序盤からエキサイトさせられます。
「Broken Bells」は特に絶品。
サムのキーボードが哀愁のあるメロディを鳴らす中で、ジョシュのエモーショナルなヴォーカルとジェイクのギターが切なく美しく響き渡ります。
後半も充実。
ジョシュのハイトーンを軸にした歌唱が圧巻の劇的な「Stardust Chords」、インパクト抜群のギター・フレーズから始まり、ミステリアスでドラマティックに進む「The Barbarians」など、サムのキーボードが活躍する場面も多く、奥行きのあるハード・ロック・サウンドが楽しめます。
本編ラストの「The Weight Of Dreams」は約9分の大作で、中盤から終盤にかけたジェイクの弾きまくりのギター・ソロが超スリリング。
これだけでもすごいのですが、そこにダニーのエネルギッシュなドラム、ジョシュのハイトーンも加わってくるので、興奮が最高潮に達します。
何年もシーンをけん引してきたベテランのようなオーラが感じられる強力盤です。
GOJIRA『FORTITUDE』
■GOJIRA/FORTITUDE
- Born For One Thing
- Amazonia
- Another World
- Hold On
- New Found
- Fortitude
- The Chant
- Sphinx
- Into The Storm
- The Trails
- Grind
前作の2016年6作目『MAGMA』では、グラミー賞「最優秀メタル・パフォーマンス」「最優秀ロック・アルバム」の2部門にノミネートされたフランスのGOJIRA。
この『FORTITUDE』は『MAGMA』以来5年ぶりのオリジナル・アルバムとなる7作目。
野太い声が響き渡るヘヴィ・サウンドが展開されています。
強靭なリフを軸にテンポを変えながら4分というコンパクトな時間内に多くの展開を持たせる「Born For One Thing」からすごいです。
曲の後半は爆発力が増し、ここでガツンとやられます。
民族風のアプローチを加えた「Amazonia」、スローでヘヴィな音像の中にミステリアスな歌メロとギターのフレーズが浸透する「Another World」、美しいハーモニーで始まる煽情的な「Hold On」、浮遊感があるサウンドの中でドラムが脳天直撃系の音を放つ「New Found」と、どんどん畳みかけてきます。
後半では、ヴォーカルとギターが共に邪悪さに満ちあふれている「Sphinx」、鋭く刻むギター・リフとそれに呼応する攻撃的なドラムが迫力満点の「Into The Storm」が秀逸です。
「Sphinx」のような邪気を漂わせるサウンドに叙情的なフレーズを織り交ぜる本編ラストの「Grind」も見事。
ヘヴィなサウンドを基調としながら、様々なアプローチを加えてくる構成に脱帽です。
2021年10月には同系統のMASTDDONが『HUSHED AND GRIM』をリリースしましたが、GOJIRAの『FORTITUDE』は2021年前半のヘヴィ・ミュージックのハイライト的作品といえます。
2021年5月
ROBIN MCAULEY『STANDING ON THE EDGE』
■ROBIN MCAULEY/STANDING ON THE EDGE
- Thy Will Be Done
- Standing On The Edge
- Late December
- Do You Remember
- Say Goodbye
- Chosen Few
- Run Away
- Supposed To Do Now
- Wanna Take A Ride
- Like A Ghost
- Running Out Of Time
- Run Away (Acoustic Version)
MICHAEL SCHENKER FEST、MCAULEY SCHENKER GROUP、GRAN PRIX、BLACK SWANなど様々なバンドで活躍するロビン・マッコリ―<Vo>の2ndソロ。
ソロ・アルバムとしては、1999年1st『BUSINESS AS USUAL』以来22年ぶりとなります。
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、トミー・デナンダー、ピート・アルペンボルグ、BAD COMPANYやHEARTのメンバーとしても活躍したハワード・リース、現URAIH HEEPで元GRAN PRIXのフィル・ランゾンが楽曲を提供し、アレッサンドロはベースとキーボードもプレイ。
高品質なメロディアス・ハード・ロックが聴けます。
時折SCORPIONSのクラウス・マイネ<Vo>を思わせるロビンの歌声が魅力的です。
ノスタルジックなキーボードで始まる「Thy Will Be Done」からワクワクします。
安堵感を感じさせつつも徐々に体を温めてくれるメロディ展開が秀逸。
一度聴いたら頭から離れないハーモニーを持つ「Standing On The Edge」や気分を高揚させる叙情的メロディアス・ナンバー「Late December」の歌メロの構成も素晴らしいです。
「Do You Remember」「Supposed To Do Now」ではオルガンとロビンの歌の呼応が見事ですし、清涼感が前面に出たポップな「Wanna Take A Ride」もメロディが体に染みこんできます。
感動的なバラード「Run Away」も必聴です。
歌い出しの部分なんて本当にうっとりしますし、タイトルを繰り返すサビのメロディがまた絶品です。
ロビンのソロ・アルバムではありますが、歌以外も充実。
透明感あふれるキーボードと泣きのフレーズやメロディアスなソロを随時放つギターが特に見事なスパイスとなっています。
ロビンのヴォーカリストとしての表現力の高さを実感できるのと同時に、演奏パートも楽しめる作品です。
EDU FALASCHI『VERA CRUZ』
■EDU FALASCHI/VERA CRUZ
- Burden
- The Ancestry
- Sea Of Uncertainties
- Skies In Your Eyes
- Frol De La Mar
- Crosses
- Land Ahoy
- Fire With Fire
- Mirror Of Delusion
- Bonfire Of The Vanities
- Face Of The Storm
- Rainha Do Luar
- Skies In Your Eyes (Acoustic Version)
元ANGRA/現ALMAHのヴォーカリスト、エドゥ・ファラスキ<Vo>の3rdソロ。
エドゥが歌ったANGRAの『TEMPLE OF SHADOWS』(2004年5th)は名盤ですが、この『VERA CRUZ』は『TEMPLE OF SHADOWS』と同等の驚愕のクオリティ。
イントロ「Burden」から始まる疾走チューン「The Ancestry」が『TEMPLE OF SHADOWS』の「Spread Your Fire」を思わせる必殺ナンバーで、続く「Sea Of Uncertainties」も同じく『TEMPLE OF SHADOWS』の3曲目「Angels And Demons」を思わせるスリリングな展開。
『TEMPLE OF SHADOWS』の興奮が蘇ります。
アコースティックで始まり、優しいメロディが包み込むドラマティックな「Skies In Your Eyes」も絶品。
スピード感のある曲で畳みかけてエキサイトさせ、感動に導く曲順配置が素晴らしいです。
そしてまた「Crosses」でまた疾走し、続く「Land Ahoy」は約10分の大作。
シンフォニックなサウンドと壮大なコーラスがエドゥの歌と見事にマッチした圧巻のナンバーです。
「Face Of The Storm」では、マックス・カヴァレラ<Vo/G:元SEPULTRA, SOULFRY, CAVALERA CONSPIRACY>がゲスト参加。
民族的要素とドラマティックな曲調がマッチしたイントロでスタートし、疾走していくシンフォニック・パワー・メタルですが、こういったナンバーでマックスのヴォーカルが聴けるのは貴重です。
マックスの攻撃的な唱法とエドゥのメロディアスなヴォーカルの掛け合いが面白いです。
劇的度が強めのダイナミックなメタル・サウンドが繰り広げられるアルバムで、エネルギッシュなエドゥの歌唱が光ります。
強靭なハイトーンも健在でエキサイティングな要素が満載。
シンフォニック・メタル/メロディック・メタルの名盤です。
POVERTY’S NO CRIME『A SECRET TO HIDE』
■POVERTY’S NO CRIME/A SECRET TO HIDE
- Supernatural
- Hollow Phrases
- Flesh And Bone
- Grey To Green
- Within The Veil
- The Great Escape
- Schizophrenic
- In The Shade
ドイツのプログレッシヴ・メタル・バンドの8作目。
テクニカルなフレーズを前面に出すスタイルというよりも、ドラマティックなアプローチを強調したサウンド。
ミドル・テンポ、ややスローな曲調から劇的に展開していき、そこの泣きのメロディのギターが浸透していきます。
時折胸に響くフレーズで攻めてくるキーボードもいいアクセントになっています。
ヴォーカルは、この記事でも紹介しているEVERGREYのトム・S・イングランド<Vo/G>に清涼感が加わったような声質で、同じく中音域中心。
歌唱力抜群で絶品の歌メロです。
ということで、演奏、歌の両方で極上メロディを放ちます。
ギターはグッとくるようなメロディを放ちながらもシャープなリフを主軸しているので、サウンド自体に厚みがあります。
キーボードの耽美的なフレーズが顔を出すダイナミックな「Hollow Phrases」、透明感のある歌メロと哀愁あるギター・フレーズが染みこんでくる「Flesh And Bone」、感動的なメロディが畳みかけてくる大作バラード「Within The Veil」は特に圧巻。
そして映画『大脱走』(原題:『THE GREAT ESCAPE』)のセリフを組み込んだインストゥルメンタル「The Great Escape」。
映画自体は史実に基づいた約3時間の長編ですが、長さを感じさせない面白さ。
もし映画をまだ観ていないようであれば、ぜひ映画をチェックしてから聴きましょう。
観終えてから「The Great Escape」を聴くと、「おー!あのセリフだ」といった感じで、より一層楽しめます。
前作の2016年7作目『SPIRAL OF FEAR』に引き続き、DGMのシモーネ・ムラローニ<G>がミックスとマスタリングを担当。
バンドの魅力を等身大に伝える音作りが素晴らしいです。
SEVENTH CRYSTAL『DELIRIUM』
■SEVENTH CRYSTAL/DELIRIUM
- Say What You Need To Say
- When We Were Young
- Broken Mirror
- Delirium
- When I’m Gone
- Should’ve Known Better
- So Beautiful
- Time To Let It Go
- Deja Vu
- Bright And Clear
- Hope It Will Be Alright
- Delirium (Acoustic Version)
- World Is Crushing Down
スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンドのデビュー作。
ハイ・クオリティです。
透明感あふれるメロディアス・サウンドで、曲の構成力の高さに驚かされます。
ヴォーカルは、哀愁のある声質でこういったサウンドにぴったり。
曲の雰囲気に合わせてマイルドになったり、エネルギッシュになる唱法が見事です。
ギターもメロディアスなソロで訴えかけてきます。
「Delirium」の中盤での泣きのギター・ソロなんかは絶品です。
清涼感を演出するキーボードも見事で、印象的なピアノを要所要所に組み込むアプローチが特に秀逸です。
アルバムは、特に中盤から後半が充実しています。
バラード「Broken Mirror」では、徐々にエモーショナルになっていくヴォーカルが素晴らしく、メロディの展開にジーンときます。
キーボードとギターの美しいフレーズで始まる「Should’ve Known Better」は、歌い出しが絶品で、その後に哀愁味のあるコーラスが重なってくるメロディの進行にうっとり。
エモーショナルなギター・ソロと時折キラリと輝くようなイメージのピアノのフレーズがまた最高です。
「Deja Vu」もこの「Should’ve Known Better」と同系統のナンバーで、同じような感動が後半でまた味わえます。
「Time To Let It Go」のような骨太ナンバーも配置。
メロディアスな曲やバラードだけでなく、こういったエネルギッシュな曲でもエキサイトさせてくれます。
あとは「Bright And Clear」。
ゴージャスでありながら切なさも漂わせるコーラスが見事で、メロディックなギター・ソロも絶品です。
ここでも「Should’ve Known Better」のように、きれいなピアノがいいアクセントとなっています。
表現力豊かなヴォーカル、ギターの泣きメロ、透明感のあるキーボード、美しいピアノが見事に融合した高品質メロディアス・ハード・ロックです。
MYLES KENNEDY『THE IDES OF MARCH』
■MYLES KENNEDY/THE IDES OF MARCH
- Get Along
- A Thousand Words
- In Stride
- The Ides Of March
- Wake Me When It’s Over
- Love Rain Down
- Tell It Like It Is
- Moonshot
- Wanderlust Begins
- Sifting Through The Fire
- Worried Mind
ALTER BRIDGE、SLASH FEATURING MYLES KENEDDY & THE CONSPIRATORSのフロントマンとして活躍するマイルス・ケネディの2ndソロ。
マイルスはヴォーカル、ギターに加え、バンジョー、マンドリンもプレイしています。
全曲マイルス本人による作曲で、プロデュースは、マイルスの1stソロ『YEAR OF THE TIGER』(2018年)、ALTER BRIDGEやTREMONTIの作品を手掛けてきたマイケル“エルヴィス”バスケット。
音楽性はALTER BRIDGEに土臭さを加味させたような感じで、ハードさと渋さが同居したサウンドに、マイルズの高音を軸とした表現力の高いヴォーカルが響き渡ります。
ハードなギター・パートはマーク・トレモンティ<G:ALTER BRIDGE, TREMONTI>が弾いているのではないかと錯覚を起こすほど、重厚な音です。
ALTER BRIDGEの2007年2nd『BLACKBIRD』収録の名曲「Come To Life」に円熟味が加わったようなオープニングの「Get Along」からクールさ全開。
ブルージーなハード・ロックの「A Thousand Words」はポップ感覚にあふれた歌メロが心地良く、7分のタイトル曲「The Ides Of March」では緩急をつけたマイルスの熱唱が光ります。
明るく楽しい雰囲気が漂うドライな「Tell It Like It Is」(出だしのギターがWARRANTの1995年4th『ULTRAPHOBIC』収録の「Crawl Space」に似ています)も面白いですし、伸びのある高音で堂々と歌い上げるバラード「Moonshot」でのパフォーマンスも見事。
ポジティヴな「Sifting Through The Fire」ではエネルギッシュなギター・ソロを聴かせてくれます。
ALTER BRIDGEはドラマティックに躍進していく曲がありますが、そういった要素をアコースティック、バンジョー、マンドリンなどでカヴァーしています。
「ALTER BRIDGEのように骨太でありながらも一味違う」と思わせるアレンジが秀逸。
重厚で渋いサウンドです。
BLOODBOUND『CREATURES OF THE DARK REALM』
■BLOODBOUND/CREATURES OF THE DARK REALM
- The Creatures Preludium
- Creatures Of The Dark Realm
- When Fate Is Calling
- Ever Burning Flame
- Eyes Come Alive
- Death Will Lead The Way
- Gathering Of Souls
- Kill Or Be Killed
- The Gargoyles Gate
- March Into War
- Face Of Evil
- The Wicked And The Weak
- War Of Dragons (Live)
- Stand And Fight (Live)
スウェーデンのメロディック・パワー・メタル・バンドの通算9作目。
メロディアス・ハード・ロック・バンド、STREET TALKのフレドリック・バーグ<Key>とトマス・オルソン<G>がパワー・メタルをプレイすることを目的に結成したバンドです。
リズム・ギターは実弟のヘンリク・オルソン<G>。
劇的でガッツのあるメロディック・パワー・メタルです。
フレドリックの躍動感のあるキーボードとパトリック・J・セレビー<Vo>のエネルギッシュな歌唱が光る重厚なサウンドで、サビもキャッチー。
トマスのギター・ソロもメロディックで聴いていてドキドキします。
イントロの「The Creatures Preludium」から王道メロディック・メタルの「Creatures Of The Dark Realm」へと流れ、続く「When Fate Is Calling」はサビが勇ましいナンバー。
パワー・メタル・ファンにとってはドストライクの展開です。
「When Fate Is Calling」での勇壮さに美しさを加えたコーラス・ワークで始まる「Ever Burning Flame」も絶品。
疾走ベースに大合唱コーラスを乗せるアプローチがうまいです。
「Eyes Come Alive」は、芯の太い声質によるパトリックの高音での歌唱がエネルギッシュで圧巻で、そこに漢コーラスとドラマティックなキーボードが乗ります。
もう頼もしすぎです。
中盤は「Gathering Of Souls」がおすすめ。
「Ever Burning Flame」のようにオープニングの歌メロで心をつかむアプローチが光ります。
曲そのものはミドル・チューンでダイナミックなコーラスが刺激的です。
後半は疾走曲の「The Gargoyles Gate」。
「Eyes Come Alive」でのパワフルな歌唱がここで聴けます。
重厚なコーラスによるサビが最高で、この絶品メロディが比較的長く展開されるのもうれしいポイントです。
作品全体に勢いがあって、歌と演奏共にメロディックでスリリング。
最高級メロディック・パワー・メタルです。
「The Creatures Preludium」以外は、曲の長さが3~4分台。
濃密な曲構成でありながら、コンパクトにまとめられているのがまたナイスです。
MIDNITE CITY『ITCH YOU CAN’T SCRATCH』
■MIDNITE CITY/ITCH YOU CAN’T SCRATCH
- Crawlin’ In The Dirt
- Atomic
- Fire Inside
- Darkest Before The Dawn
- I Don’t Need Another Heartache
- Blame It On Your Lovin’
- They Only Come Out At Night
- Chance Of A Lifetime
- If It’s Over
- Fall To Piece
- Girls Of Tokyo
MIDNITE CITYは英国のバンドで、キーボード奏者を含む5人組。
タトゥーだらけの腕のアートワークからバッド・ボーイズ・ロックン・ロールが連想されますが、サウンドはグルーヴ感重視かつキーボードの活躍場面が多いメロディアス・ハード・ロックです。
この『ITCH YOU CAN’T SCRATCH』は3rdフル。
ノリが良いドライヴ感あふれる「Crawlin’ In The Dirt」で幕を開け、骨太ナンバー「Atomic」へと流れますが、それ以降は80年代に通じるメロディアス・ハード・ロック・ナンバーが続きます。
「Crawlin’ In The Dirt」はゴージャスなコーラスがCRAZY LIXXを想起させ、たまに強調されるノスタルジックなキーボードがいい味を出しています。
「Atomic」はダイナミックでキャッチーなサビがエキサイティング。
メロディアスな「Fire Inside」は透明感のあるキーボードが心地良いですし、神秘的に始まる「They Only Come Out At Night」は徐々にコーラスが重なって歌メロが分厚くなっていく構成が絶品です。
歌とギターで哀愁メロディを畳みかけてくる「Chance Of A Lifetime」や出だしがBON JOVIの「Never Say Goodbye」(1986年3rd『SLIPPERY WHEN WET』収録)にそっくりなバラード「If It’s Over」も最高。
「If It’s Over」はサビそのものも感動的なのですが、サビの前にコーラスをかぶせるアプローチが効いています。
日本盤ボーナス・トラック「Girls Of Tokyo」は、初来日時のファンからの熱いサポートへの感謝を示した曲。
魅力的なリード・ヴォーカルの歌メロに極上のコーラスが被さり、歌のない箇所ではギターがメロディックに攻めてくるという展開が秀逸です。
曲調もアルバムのエンディングに向いています。
SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN『SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN』
■SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN/SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN
- Silver Lake
- Sentiment
- Storm
- Ray Of Light
- Alkusointu
- In Her Solitude
- Promising Sun
- Fading Moon
- Apprentice
AMORPHISのギタリスト、エサ・ホロパイネン<G>の1stソロ。
コロナの影響でAMORPHISの2020年ツアーの計画が白紙となったところに、THUNDERSTONEのギタリストでプロデューサーとしても活躍中のニノ・ローレンネ<G>からソロ・アルバム制作の打診が来て実現した作品です。
SOILWORK、THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAのビョーン・ストリッド<Vo>、KATATONIAのヨナス・レンクス<Vo>、元THE GATHERINGのアネク・ヴァン・ガースバーゲン<Vo>などの実力派シンガーが参加。
AMORPHISのトミ・ヨーツセン<Vo>も1曲歌っています。
AMORPHISでは2006年『ECLIPSE』の「House Of Sleep」「The Smoke」「Empty Opening」、2007年『SILENT WATERS』の「Shaman」、2009年作『SKYFORGER』の「Silver Bride」「Skyforger」、2013年『CIRCLE』の「Mission」、2015年作『UNDER THE RED CLOUD』の「The Four Wise Ones」、2018年作『QUEEN OF TIME』の「Message In The Amber」などの名曲を書いてきたエサ。
そんなエサが書いた曲を上述の実力シンガーたちが歌うのですから、クオリティが高くなるのは間違いなしです。
サウンドはAMORPHISに透明感を加えた感じ。
AMORPHISとは違う世界観でありながら極上メロディがあふれ出します。
ヨナスの哀愁を帯びた声から放たれるメロディが体中に染みこむ「Sentiment」、ビョーンの美声が生かされた歌メロが絶品の「Promising Sun」、アネクの神秘的な声が響き渡る「Fading Moon」などが特に輝いています。
トミが歌う「Sentiment」ではグロウルが聴けますが、サウンドはAMORPHISより少し引き締まったような音像。
「トミが歌うからAMORPHIS」にならないところにアレンジのうまさを感じます。
作って大正解、出会えてよかった感動作です。
2021年6月
FLOTSAM AND JETSAM『BLOOD IN THE WATER』
■FLOTSAM AND JETSAM/BLOOD IN THE WATER
- Blood In The Water
- Burn The Sky
- Brace For Impact
- A Place To Die
- The Walls
- Cry For The Dead
- The Wicked Hour
- Too Many Lives
- Grey Dragon
- Reaggression
- Undone
- Seven Seconds ‘Til The End Of the World
米国のベテラン、FLOTSAM AND JETSAMの通算14作目。
メロディックでドラマティックなスラッシュ・メタル/パワー・メタルが展開される力作です。
特に冒頭3曲「Blood In The Water」「Burn The Sky」「Brace For Impact」の畳みかけがすごいです。
劇的なイントロで始まり疾走する「Blood In The Water」は、エリック“A.K.”ナットソン<Vo>のエネルギッシュなヴォーカルと鋭いリフをザクザク刻みながらメロディックなフレーズを奏でるギターが見事に融合。
バスドラの連打がガンガン響いてくるアグレッシヴな「Burn The Sky」では、邪悪さを醸し出しながらもエモーショナルに展開していくエリックのヴォーカルがクールで、その背後から聞こえてくる力強いかけ声がまた胸を熱くさせます。
力強さを保ちながらもメロディックに攻めてくるギター・ソロもスリリングです。
「Brace For Impact」は、疾走感と鋭角的なリフが心地良く、叙情的なフレーズも挟みながらアクセントをつけて展開します。
ヴォーカルはよりメロディアス。
曲名を繰り返すキャッチーなサビがかっこいいです。
「Brace For Impact」以降、ドラムはバスドラの連打を伴いながら攻撃性を維持。
ヴォーカルとギターはメロディアスなアプローチが増えていきます。
ギターは「The Walls」「Too Many Lives」でのフレーズが胸に響きますし、ドラマティックな「Cry For The Dead」ではソロがスリリング。
エリックは、パワフルかつメロディアスに歌うパフォーマンスが光ります。
曲によってはラルフ・シーパース<Vo:PRIMAL FEAR, 元GAMMA RAY>を思わせる迫力。
勢いのある「The Wicked Hour」、ギターが印象的な前述の「Too Many Lives」、キャッチーな歌メロが絶品な「Reaggression」なんかは特にそうです。
2019年の前作『THE END OF CHAOS』に引き続き、ヤコブ・ハンセンがミックスとマスタリングを担当。
弾力性があって迫力ある音作りが最高です。
MAMMOTH WVH『MAMMOTH WVH』
■MAMMOTH WVH/MAMMOTH WVH
- Mr. Ed
- Horribly Right
- Epiphany
- Don’t Back Down
- Resolve
- You’ll Be The One
- Mammoth
- Circles
- The Big Picture
- Think It Over
- You’re To Blame
- Feel
- Stone
- Distance…
故エドワード・ヴァン・ヘイレン<G:VAN HALEN>の息子、ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン<Vo/G/B/Ds/Key>によるMAMMOTH WVHデビュー作。
VAN HALENやTREMONTIで活動してきたウフルギャングですが、ここで聴けるのはどちらとも異なるサウンドです。
連想されるのがBLACK STONE CHERRY。
BLACK STONE CHERRYのような骨太サウンドをさらにメロディアスにしたハード・ロックを展開しています。
全曲ウルフギャングによる作曲で、全パートを彼がプレイ。
BLACK STONE CHERRYの作品の中では彼らの傑作である2011年3rd『BETWEEN THE DEVIL & THE DEEP BLUE SEA』に近いです。
「Mr. Ed」の最初のギターなんかは『BETWEEN THE DEVIL & THE DEEP BLUE SEA』のオープニングを飾る「White Trash Millionaire」を思わせますし、「Don’t Back Down」のドライヴ感満点のギター・サウンドもパンチ力があります。
ギター・サウンドが突き刺さってくる「The Big Picture」も強力です。
ウルフギャングのヴォーカルはは中音から高音まで幅広い音域をカヴァー。
「Epiphany」や「Distance」でのエモーショナルな歌唱なんかは本当に見事です。
ガッツがあってヘヴィなリフにフックのある歌メロとギターのフレーズを乗せて仕掛けてくるアプローチが圧巻。
完成度の高い曲がどんどん押し寄せてきます。
プロデュースとミックスはマイケル“エルヴィス”バスケット。
サウンドもダイナミックです。
HELLOWEEN『HELLOWEEN』
■HELLOWEEN/HELLOWEEN
【DISC 1】
- Out For The Glory
- Fear Of The Fallen
- Best Time
- Mass Pollution
- Angels
- Rise Without Chains
- Indestructible
- Robot King
- Cyanide
- Down In The Dumps
- Orbit
- Skyfall
【DISC 2】…限定盤のみ
- Golden Times
- Save My Hides
- Pumpkins United
- We Are Real
HELLOWEENのセルフ・タイトル作がリリースされたことは2021年の大きなハイライトの1つでした。
マイケル・キスク<Vo>とカイ・ハンセン<G/Vo>が限定復帰している7人体制でのオリジナル・アルバムのリリース。
マイケル・ヴァイカート<G>作曲のドラマティックなメロディック・メタル「Out For The Glory」で幕を開け、キスクの表現力豊かな歌唱、カイの個性的な声が入ってくる展開は鳥肌モノ。
現行メンバーのアンディ・デリス<Vo>やサシャ・ゲルストナー<G>が書いた曲でのキスクやカイのパフォーマンスを体験できるのも貴重ですし、カイが書いた大作「Skyfall」を7人で演じて締めくくるという構成も素晴らしいです。
速い曲だけでなく、「Best Time」「Mass Pollution」「Angels」などのミドル・テンポのナンバーもパンチがあり、アップ・テンポの「Cyanide」での心地良いメロディも秀逸です。
限定盤はボーナスCD付きで、2017年にリリースされていた「Pumpkins United」も収録。
アルバム本編の後に「Pumpkins United」を聴くと「よくぞ、この7人体制でアルバムを出してくれた!」とエキサイティングな気持ちになれます。
2021年7月
AT THE GATES『THE NIGHTMARE OF BEING』
■AT THE GATES/THE NIGHTMARE OF BEING
【DISC 1】
- Spectre Of Extinction
- The Paradox
- The Nightmare Of Being
- Garden Of Cyrus
- Touched By The White Hands Of Death
- The Fall Into Time
- Cult Of Salvation
- The Abstract Enthroned
- Cosmic Pessimism
- Eternal Winter Of Reason
【DISC 2】
- Red (Live at Roadburn)
- The Scar (Live at Roadburn)
- Koyaanisqatsi (Live at Roadburn)
- The Burning Darkness (Live at Roadburn)
- Daggers Of Black Haze (Live in Stockholm)
- Death And The Labyrinth (Live in San Francisco)
- A Stare Bound In Stone (Live in San Francisco)
- Heroes And Tombs (Live in San Francisco)
- The Night Eternal (Live in San Francisco)
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの通算7作目。
再結成後としては3作目になります。
日本盤はライヴ音源を収録したボーナスCD付きです。
本編であるDISC 1では、哀愁メロディがまき散らされるアグレッシヴなサウンドの中でトーマス・リンドバーグ<Vo>の切迫感のある激情ヴォーカルが響き渡ります。
冒頭2曲の「Spectre Of Extinction」「The Paradox」で畳みかけ、以降は所々に激しい曲を挟みながらも劇的要素が増えていきます。
アコースティックで始まり突進する「Spectre Of Extinction」は、強靭なリフが刻まれながらもメロディックなフレーズが乗るアプローチがスリリング。
その勢いが継承されて「The Paradox」に流れますが、この「The Paradox」では、程良くドラマティックに楽曲を味付けするキーボードがいいアクセントになっています。
ドラマティックで悲哀に満ちた「Garden Of Cyrus」はハイライトの1つ。
泣きメロを奏でるギターが素晴らしく、サックスまで入ってきます。
ライヴ音源であるDISC 2の1曲目「Red」がKING CRIMSONのカヴァーですが、プログレッシヴ・ロックの影響がこのオリジナル曲「Garden Of Cyrus」にも出ていて興味深いです。
そして「Touched By The White Hands Of Death」でまた疾走。
いったん「Garden Of Cyrus」で静まった展開に勢いを加える構成にハッとさせられます。
ダークでシンフォニックなサウンドと重厚なギターが見事に呼応している「The Fall Into Time」、動的な展開を持ちながらも物悲しさを漂わせる「Cult Of Salvation」が続き、再び疾走パートも含んだパワフルな「The Abstract Enthroned」へ。
「The Abstract Enthroned」ではメロディックなギター・フレーズが染みこんできます。
メランコリックな「Cosmic Pessimism」も面白いです。
メロディック・デス・メタルのアプローチが作品全体の中にバランス良く配置されながらも、プログレッシヴな要素やゴシック風味などが加味された野心作です。
HARDLINE『HEART, MIND AND SOUL』
■HARDLINE/HEART, MIND AND SOUL
- Fuel To The Fire
- Surrender
- If I Could I Would
- Like That
- Heavenly
- Waiting For Your Fall
- The Curse
- Heartless
- Searching For Grace
- 80’s Moment
- We Belong
以下の記事でアルバムをレビューしています。
HARDLINE『HEART, MIND AND SOUL』
POWERWOLF『CALL OF THE WILD』
■POWERWOLF/CALL OF THE WILD
- Faster Than The Flame
- Beast Of Gevaudan
- Dancing With The Dead
- Varcolac
- Alive Or Undead
- Blood For Blood (Faoladh)
- Glaubenskraft
- Call Of the Wild
- Sermon Of Swords
- Undress To Confess
- Reverent Of Rats
ドイツのパワー・メタル・バンドの8作目。
傑作です。
エネルギッシュなヴォーカル、重厚でメロディアスなギター、分厚く勇壮なコーラスを壮大なキーボードで包み込むアレンジが秀逸。
3分台~4分台の曲で埋め尽くされており、全11曲トータル40分というコンパクトな長さなのがまたいい。
それでいて、曲そのものの構成は濃密なので、聴きごたえがあります。
「Faster Than The Flame」からパワフルな王道メタルが全開で、一緒に拳を振り上げて歌いたくなるようなメロディが目白押し。
美しいピアノで始まり厳かに展開するバラード「Alive Or Undead」も感動的ですし、少し陽気な雰囲気が漂う「Blood For Blood (Faoladh)」も前向きな気持ちになります。
神聖さが感じられるサウンドの中に壮大なコーラスが心地良く響く「Glaubenskraft」、キャッチーで分厚いコーラスとメロディアスなギターで畳みかけてくる「Call Of The Wild」「Sermon Of Swords」なども見事。
シンフォニックに展開する骨太ミドル・チューン「Undress To Confess」では、劇的なサビと中盤のキーボードとギターのメロディ展開が絶品です。
アルバムの頭からガッツポーズ級なのですが、後半が特に充実しているのが大きな特徴です。
パワフルでキャッチーで壮大。
そして頼もしく団結力が感じられる音像です。
ロールプレイングゲーム(RPG)でいえば、戦闘力と結束力が高く、ラスボスをほぼノーダメージで倒せちゃうパーティのようなイメージです。
LAURENNE/LOUHIMO『THE RECKONING』
■LAURENNE/LOUHIMO / THE RECKONING
- Time To Kill The Night
- The Reckoning
- Tongue Of Dirt
- Striking Like A Thunder
- Bitch Fire
- Hurricane Love
- To The Wall
- Viper’s Kiss
- Walk Through Fire
- Dancers Of Truth
以下の記事でアルバムをレビューしています。
LAURENNE/LOUHIMO『THE RECKONING』
DEE SNIDER『LEAVE A SCAR』
■DEE SNIDER/LEAVE A SCAR
- Gotta Rock (Again)
- All Or Nothing More
- Down But Never Out
- Before I Go
- Open Season
- Silent Battles
- Crying For Your Life
- In For The Kill
- Time To Choose
- S.H.E.
- The Reckoning
- Stand
元TWISTED SISTERのシンガー、ディー・スナイダー<Vo>の5thソロ。
前作の2018年4th『FOR THE LOVE OF METAL』同様、HATEBREEDのジェイミー・ジャスタ<Vo>によるプロデュースで、アグレッシヴなヘヴィ・メタルが聴けます。
分厚くヘヴィなサウンドに、ディーのパワフルでエネルギッシュなヴォーカルとダイナミックなコーラスが乗ります。
重厚で鋭いリフを軸に突っ走るスラッシュ/パワー・メタル「All Or Nothing More」なんて本当に気持ちいい。
ディーの力強いヴォーカルにかっこいいかけ声が被さるアレンジが秀逸です。
このアプローチは続く「Down But Never Out」でも体験できますが、ゴージャスなコーラスだけでなく、良質のスラッシュ・メタルにみられるかけ声が聴けるのがうれしいポイントです。
一方、「Before I Go」では、ザクザク刻まれるリフを軸にメロディアスな歌を展開。
鋭角的な演奏とメロディを強調した歌が化学反応を起こします。
「Silent Battles」での情熱的なディーの歌とメロディックなギターや、曲のタイトルを見事なハーモニーで味付けし連呼する「In For The Kill」もクール。
エキサイティングな要素が満載です。
ブルータルで迫力満点の「Time To Choose」にはCANNIBAL CORPSEのジョージ“コープスグラインダー”フィッシャー<Vo>が参加。
アルバム終盤にまた強烈なパンチが飛んできます。
一転して「S.H.E.」では、心地良いキャッチーなメロディを展開し、再び爆走チューン「The Reckoning」を配置。
こういった構成もうまいです。
常に前を見ながらエネルギッシュに突き進む。
気合の入った音像から、そんなポジティヴな姿勢が感じとれます。
年を重ねるごとに攻撃力を増しているディー・スナイダー、すごすぎです。
多くのHM/HRファンに好影響を与えるに違いない強力盤です。
2021年8月
NIGHT RANGER『ATBPO』
■NIGHT RANGER/ATBPO
- Coming For You
- Bring It All Home To Me
- Breakout
- Hard To Make It Easy
- Can’t Afford A Hero
- Cold As December
- Dance
- The Hardest Road
- Monkey
- A Lucky Man
- Tomorrow
- Savior
- The Hardest Road (Acoustic Version)
アメリカン・ハード・ロック・バンドの大ベテラン、NIGHT RANGER。
2017年12作目『DON’T LET UP』以来、4年ぶりのリリースとなる13作目。
最高です。
80年代の黄金期を築きつつ、近年も傑作を出し続けているのがすごい。
ドライヴ感あふれるエネルギッシュな「Coming For You」「Breakout」やキャッチーで爽快な「Bring It All Home To Me」「Cold As December」なんかはさすがの一言ですし、BON JOVIの「Born To Be My Baby」(1988年4th『NEW JERSEY』収録)を思わせるカウントで始まる「Tomorrow」もNIGHT RANGERならではのポジティヴさが出ています。
QUEENの「We Will Rock You」(1997年6th『NEWS OF THE WORLD』収録)のようなダイナミックな「Dance」でのコーラスも聴いていて気持ちがいい。
そして、バラードも充実しています。
今回は「Can’t Afford A Hero」と「The Hardest Road」。
「Can’t Afford A Hero」は物悲しいギターを軸に展開していき、最後には安堵感を得られるナンバー。
「The Hardest Road」は切ないピアノで始まり、要所要所に感動的なハーモニーを重ねるアプローチが涙を誘います。
この「The Hardest Road」のアコースティック・ヴァージョンが日本盤ボーナス・トラックとなっていますが、これがまた絶品。
オリジナルの魅力を維持していて、聴き終えた後は温かい気持ちになれますし、アルバムの最後にぴったりです。
海外盤はグルーヴ感あふれるキャッチーな世界共通ボーナス・トラック「Savior」で終了となりますが、この「The Hardest Road」のアコースティック・ヴァージョンでアルバムを締めくくるほうが断然いいです。
2021年9月
IRON MAIDEN『SENJUTSU』
■IRON MAIDEN/SENJUTSU
- Senjutsu
- Stratego
- The Writing On The Wall
- Lost In A Lost World
- Days Of Future Past
- The Time Machine
- Darkest Hour
- Death Of The Celts
- The Parchment
- Hell On Earth
2015年発表16作目『THE BOOK OF SOULS』以来、6年ぶりのリリースとなる17作目。
『THE BOOK OF SOULS』はトータルで約90分でしたが、『SENJUTSU』は合計約80分。
少しコンパクトになりました。
ドラマティックな展開を持つ大作が多くを占めます。
2000年リリース12作目『BRAVE NEW WORLD』収録の「Blood Brothers」のような雰囲気が強いです。
今回の『SENJUTSU』は曲順がいいです。
徐々に気分を高める「Senjutsu」から壮大な「Hell On Earth」までバランス良く配置されていて、さらに「The Time Machine」で区切って、「Darkest Hour」で再開するという練られた構成も素晴らしい。
ちょうど40分ずつなので、前半と後半をそれぞれダレることなく聴けます。
1曲1曲のクオリティが高く、アルバム全体で1曲としてとらえることもできる作風。
統一感が感じられます。
特に「Death Of The Celts」「The Parchment」「Hell On Earth」は圧巻。
全曲10分台の長尺曲で、いずれもスティーヴ・ハリス<B>作曲ですが、ブルース・ディッキンソン<Vo>の表現力豊かなヴォーカル、メロディックでスリリングな演奏が劇的マジックを起こしていて、曲が進行していけばいくほど「どんな展開になるんだろう?」とワクワクさせられます。
「これ以上ドキドキさせてどうする?」状態です。
「Hell On Earth」の終盤なんか本当にすごい。
ブルースの伸びのある歌から泣きメロ全開のギターを主体とした演奏へと流れ、ピタッと止まる。
そして切なく美しいイントロのギターが再び…。
興奮と感動で体が震えるようなエンディングを体験できます。
『BRAVE NEW WORLD』以降の全作品を手掛けているケヴィン・シャーリーが今回もプロデュースを担当。
各パートの魅力を最大限に引き出す音作りにも脱帽です。
THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA『AEROMANTIC II』
■THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA/AEROMANTIC II
- Violent Indigo
- Midnight Marvelous
- How Long
- Burn For Me
- Chardonnay Nights
- Change
- Amber Through A Window
- I Will Try
- You Belong To The Night
- Zodiac
- White Jeans
- Moonlit Skies
SOILWORKのビョーン・ストリッド<Vo>、デイヴィッド・アンダーソン<G>、ARCH ENEMYのシャーリー・ダンジェロ<B>、MEAN STREAKのヨナス・カールズバック<Ds>らで構成されるハード・ロック・バンドの6作目。
前作である2020年5th『AEROMANTIC』に伴うツアーを開始したものの、1週間後にパンデミックが発生し、その後予定されていたツアーが中止。
スケジュール変更に伴い新作の制作に着手することとなり、『AEROMANTIC』から約1年半後に続編のこの『AEROMANTIC II』がリリースされました。
80年代に通じる爽快感にあふれ、時にはスペーシーな感覚も醸し出すメロディアスなハード・ロックを展開しています。
SOILWORKでは、アグレッシヴなサウンドの中でのビョーンのグロウルときれいなクリーン・ヴォイスの対比表現が見事ですが、SOILWORKとは異なるサウンドで彼の美声を聴けるのがまたうれしいです。
何かの修業を連想させるアジアっぽいイントロからノスタルジックなキーボードが入る「Violent Indigo」から最高。
躍動感のある曲調が心地良く、清涼感を感じさせるビョーンの歌メロもクールです。
ノリが良い「Midnight Marvelous」での女性コーラスを伴ったキャッチーなサビは何度も聴きたくなりますし、近未来をイメージさせる軽快な「How Long」では、ポジティヴな雰囲気の歌メロ展開と歌の後にメロディックなフレーズを重ねてくるデイヴィッドのプレイが見事。
リスミカルな「Chardonnay Nights」では体内に染みこんでくるようなギターのフレーズが連発されます。
ビョーンのヴォーカルがダイナミックでガッツにあふれる「Change」、ホッとするようなメロディが病みつきになる「I Will Try」、勢いある曲調とビョーンの美声がマッチした「White Jeans」もパンチがあります。
そしてラストの「Moonlit Skies」は、浮遊感のあるキーボードを主体とした奥行きのある音像の中に哀愁ある歌メロが響き渡る絶品ナンバー。
曲の最初から最後まで全てがハイライトといえる絶品の展開で、どんどん引き込まれます。
こういうキラー・チューンを配置するところがまたニクい。
ということで、傑作です。
やはりビョーンはいい声してますし、彼の美声を軸に構成されるメロディが最高。
メロディックなギターやキーボードが活躍する場面が多いのもうれしいポイントです。
歌と演奏が両方充実した高品質ハード・ロック。
今後もずっと続けてほしいプロジェクトです。
ANETTE OLZON『STRONG』
■ANETTE OLZON/STRONG
- Bye Bye Bye
- Sick Of You
- I Need To Stay
- Strong
- Parasite
- Sad Lullaby
- Fantastic Fanatic
- Who Can Save Them
- Catcher Of My Dreams
- Hear Them Roar
- Roll The Dice
以下の記事でアルバムをレビューしています。
CARCASS『TORN ARTERIES』
■CARCASS/TORN ARTERIES
- Torn Arteries
- Dance Of Ixtab (Psychopomp & Circumstance March No. 1 In B)
- Eleanor Rigor Mortis
- Under The Scalpel Blade
- The Devil Rides Out
- Flesh Ripping Sonic Torment Limited
- Kelly’s Meat Emporium
- In God We Trust
- Wake Up And Smell the Carcass / Caveat Emptor
- The Scythe’s Remorseless Swing
- NWOBHEAD
復活第2弾アルバム。
暴虐性があってドロドロしたサウンドの中に狂気じみたジェフ・ウォーカー<Vo/B>のグロウルが響き渡り、ビル・スティアー<G>のギターはブルータルなリフを刻みながらも要所要所にメロディックなフレーズを放ちます。
ダニエル・ワイルディング<Ds>の力強いドラムが入り疾走するタイトル曲「Torn Arteries」でスタート。
突進しながら所々フェイントをかけてくる曲調とスリリングなギター・ソロで攻めてくる構成に早くも興奮状態です。
ジェフの弾けるようなベース・サウンドにヘヴィなリフを被せて迫ってくる「Dance Of Ixtab (Psychopomp & Circumstance March No. 1 In B)」も迫力満点。
ズシンズシンと重く進行しながらピタッと止める締めくくりがツボにはまります。
派手ではないのですがインパクトの残る終わり方です。
鋭いリフと爆発力のあるドラムがガンガン響いてくる「Under The Scalpel Blade」は、脳天直撃という言葉がぴったり。
所々疾走する曲調に引き込まれ、時折メロディックに攻めてくるビルのギターが光ります。
泣きメロのフレーズから重厚な演奏に突入するグルーヴ感満点の「The Devil Rides Out」では、骨太なサウンドの中にメロディアスなギターが見事に浸透していて、演奏の途中でブレイクを入れる構成がまたインパクト抜群。
「Dance Of Ixtab (Psychopomp & Circumstance March No. 1 In B)」のエンディングでもそうですが、CARCASSは演奏をピタッと止めるアプローチが秀逸です。
この「The Devil Rides Out」は、リフがDREAM THEATERの「As I Am」(2003年作『TRAIN OF THOUGHT』収録)にちょっと似ています。
9分台の大作「Flesh Ripping Sonic Torment Limited」では、ブルータルな曲調の中にも叙情的なフレーズを組み込ませて、最後まで飽きさせません。
ジェフのグロウルとビルが奏でるギターのフレーズが見事に融合していて、聴いていて気持ちいいです。
ブルータルに突っ走りながら、一度聴いたら忘れられないギター・フレーズを放つ「Kelly’s Meat Emporium」、「The Devil Rides Out」のような鋭角さを基調としながら、これまたメロディアスな一面も持つ「In God We Trust」など、後半も多彩な攻撃を仕掛けてきます。
残虐性と突進力を維持しながらも、随所にメロディックなギターのフレーズを際立たせる音像に圧倒されます。
日本盤ボーナスの「NWOBHEAD」は、IRON MAIDENの「The Trooper」(1983年4th『PIECE OF MIND』収録)を思わせるうれしい展開。
デス声を主軸としていますが、所々普通に歌っているような箇所もあり、聴いていて楽しいです。
RAGE『RESURRECTION DAY』
■RAGE/RESURRECTION DAY
- Memento Vitae (Overture)
- Resurrection Day
- Virginity
- A New Land
- Arrogance And Ignorance
- Man In Chains
- The Age Of Reason
- Monetary Gods
- Mind Control
- Traveling Through Time
- Black Room
- Extinction Overkill
- Black In Mind (Live)
以下の記事でアルバムをレビューしています。
ROBIN RED『ROBIN RED』
■ROBIN RED/ROBIN RED
- Don’t Leave Me (With A Broken Heart)
- (I’m A) Bad Habit
- Everlyn
- Freedom
- Midnight Rain
- Can’t Get Enough
- Reason To Survive
- Heart Of Stone
- Nitelife
- Head Over Heels
- Livin’ Dead
- Living For
以下の記事でアルバムをレビューしています。
VEGA『ANARCHY AND UNITY』
■VEGA/ANARCHY AND UNITY
- Beautiful Life
- Sooner Or Later
- End Of The Fade
- Ain’t Who I Am
- Welcome To Wherever
- Bring The Riot
- Live For Me
- Kneel To You
- Glow
- C’mon
- Had Enough
- 2Die4
- Animal (DEF LEPPARD cover)
以下の記事でアルバムをレビューしています。
TREMONTI『MARCHING IN TIME』
■TREMONTI/MARCHING IN TIME
- A World Away
- Now And Forever
- If Not For You
- Thrown Further
- Let That Be Us
- The Last One Of Us
- In One Piece
- Under The Sun
- Not Afraid To Lose
- Bleak
- Would You Kill
- Marching In Time
以下の記事でアルバムをレビューしています。
2021年10月
KK’S PRIEST『SERMONS OF THE SINNER』
■KK’S PRIEST/SERMONS OF THE SINNER
- Incarnation
- Hellfire Thunderbolt
- Sermons Of The Sinner
- Sacerdote Y diablo
- Raise Your Fists
- Brothers Of The Road
- Metal Through And Through
- Wild And Free
- Hail For The Priest
- Return Of The Sentinel
2011年にJUDAS PRIESTを離脱したK.K. ダウニング<G>による新バンド。
JUDAS PRIESTの『JAGULATOR』(1997年)と『DEMOTITION』(2001年)で圧倒的な歌唱を披露したティム“リッパー”オーエンズ<Vo>をヴォーカリストとして迎え入れ、10年ぶりにHM/HRシーンに帰ってきました。
「やっぱK.K.にはヘヴィ・メタルが似合う!」
そう実感できる力作です。
K.K.はドキドキするようなフレーズを要所要所で放ちながらダイナミックなプレイをしていますし、ティムは幅広い音域を駆使しながら圧巻のパフォーマンスを披露しています。
全体的に高音ヴォーカルが多く聴けるのもうれしいポイントです。
雷雨をバックに語りが入るSE「Incarnation」に始まり、轟音ギターと爆発音が強烈な「Hellfire Thunderbolt」に流れます。
ティムのハイトーンが炸裂するメタル・チューンで、ギター・ソロもスリリングでゾクゾクします。
ファンがK.K.とティムに求める音が早くもここで再現されます。
続く表題曲「Sermons Of The Sinner」もティムのハイトーンを軸に畳みかけますが、中盤スローになる箇所では中音域での表現力豊かな歌唱をみせます。
やっぱりティム、うまい。
あと声もいいです。
時折前面に出る弾力性のあるベース・サウンドがまたいい味を出しています。
程良くドラマティックな要素を加味させながら鋭く攻める「Sacerdote Y Diablo」も見事ですし、「Raise Your Fists」では『JAGULATOR』収録の「Death Row」のようなキャッチーさにニヤリとさせられます。
「Brothers Of The Road」では勇壮なヴォーカルとメロディアスなギター・ソロの呼応が絶妙。
その「Brothers Of The Road」での勇ましさを維持しながら劇的に展開する8分の大作「Metal Through And Through」も圧巻です。
勢いのある「Wild And Free」「Hail For The Priest」では、パワフルなティムのヴォーカルと迫真のK.K.のソロに圧倒されます。
特に「Hail For The Priest」では時折みせるティムのハイトーンが凄まじいです。
ラスト「Return Of The Sentinel」は約9分の大作で、ややゆったりとした感じで進むナンバー。
ダイナミックな感じでの締めくくりを予想していたので、ここはちょっと意外でした。
とはいえ、硬質なヘヴィ・メタルが展開される頼もしい作品です。
『JAGULATOR』のラストを飾った名曲「Cathedral Spires」のような曲がなかったので、今後はああいった曲もやってほしいです。
きっとすごいのが出来上がるはず。
ASKING ALEXANDRIA『SEE WHAT’S ON THE INSIDE』
■ASKING ALEXANDRIA/SEE WHAT’S ON THE INSIDE
- Intro
- Alone Again
- Faded Out
- Never Gonna Learn
- If I Could Erase It
- Find Myself
- You’ve Made It This Far
- See What’s On The Inside
- Misery Loves Company
- Fame
- The Grey
通算7作目。
オリジナル・シンガーのダニー・ワースノップ<Vo>復帰後では3作目になります。
最高です。
ダニーのヴォーカルはクリーン・ヴォイス主体。
ドラマティックでヘヴィな音像の中でダニーの哀愁ある声質が生かされた極上メロディが展開されます。
トータルで約40分。
曲の長さも「Intro」以外は3分台~4分台とコンパクトなのですが、各曲の構成が濃密なので聴きごたえがあります。
歌メロもキャッチーで聴きやすいのが魅力。
「Alone Again」の始まりのコーラスでまずグッときます。
そしてこのコーラスがサビになるのですが、これが曲の間に何度も繰り返されるので、たまりません。
魅力的な歌メロの背後で響くストリングスもいいアクセントになっています。
「Faded Out」は重厚で求心力のある曲調とダイナミックなコーラスがエキサイティングですし、口笛を取り入れたアレンジが冴える「Never Gonna Learn」では、流麗な歌メロが絶品。
「Never Gonna Learn」はギター・ソロも素晴らしく、歌、ギター、口笛で魅了してきます。
物悲しく始まり劇的に展開する「Find Myself」はまさに「哀愁メロディ炸裂」という表現がぴったり。
ダニーのエモーショナルな歌唱が最初から最後まで圧巻です。
この「Find Myself」からは叙情性が増していきますが、ハードさを失わずに緩急をつけた展開をしていきますので、トーンが下がることはありません。
そのあたりはさすがです。
「You’ve Made It This Far」は「Alone Again」同様、最初のコーラスでノックアウトされ、その後の展開にも釘付け。
タイトル曲「See What’s On The Inside」は「Find Myself」の感動が再びといった感じで、特に切ない歌と泣きのギター・ソロが絡み合う中盤から終盤にかけてがすごい。
ガッツのあるヘヴィなリフと静かなパートをバランス良く組み込ませながらダニーのエネルギッシュなヴォーカルが展開していく「Misery Loves Company」も熱いです。
ドラマティックでハードなサウンドの中に哀感のある美しいメロディが満載。
最高の40分間を過ごせます。
ECLIPSE『WIRED』
■ECLIPSE/WIRED
- Roses On Your Grave
- Dying Breed
- Saturday Night (Hallelujah)
- Run For Cover
- Carved In Stone
- Twilight
- Poison Inside My Heart
- Bite The Bullet
- We Didn’t Come To Lose
- Things We Love
- Dead Inside
以下の記事でアルバムをレビューしています。
TRIVIUM『IN THE COURT OF THE DRAGON』
■TRIVIUM/IN THE COURT OF THE DRAGON
- X
- In The Court Of The Dragon
- Like A Sword Over Damocles
- Feast Of Fire
- A Crisis Of Revelation
- The Shadow Of The Abattoir
- No Way Back Just Through
- Fall Into Your Hands
- From Dawn To Decadence
- The Phalanx
以下の記事でアルバムをレビューしています。
TRIVIUM『IN THE COURT OF THE DRAGON』
U.D.O.『GAME OVER』
■U.D.O./GAME OVER
- Fear Detector
- Holy Invaders
- Prophecy
- Empty Eyes
- I See Red
- Metal Never Dies
- Kids And Guns
- Like A Beast
- Don’t Wanna Say Goodbye
- Unbroken
- Marching Tank
- Thunder Road
- Midnight Stranger
- Speed Seeker
- Time Control
- Metal Damnation
- Wilder Life
以下の記事でアルバムをレビューしています。
DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』
■DREAM THEATER/A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD
- The Alien
- Answering The Call
- Invisible Monster
- Sleeping Giant
- Transcending Time
- Awaken The Master
- A View From The Top Of The World
以下の記事でアルバムをレビューしています。
DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』
CRADLE OF FILTH『EXISTENCE IS FUTILE』
■CRADLE OF FILTH/EXISTENCE IS FUTILE
- The Fate Of The World On Our Shoulders
- Existential Terror
- Necromantic Fantasies
- Crawling King Chaos
- Here Comes A Candle… (Infernal Lullaby)
- Black Smoke Curling From The Lips Of War
- Discourse Between A Man And His Soul
- The Dying Of The Embers
- Ashen Mortality
- How Many Tears To Nurture A Rose?
- Suffer Our Dominion
- Us, Dark, Invincible
- Sisters Of The Mist
- Unleash The Hellion
英国のシンフォニック・ブラック・メタル・バンドの13作目。
赤髪がとても魅力的な女性メンバー、Anabelle Iratni<Key/Vo>初参加の作品でもあります。
「引き返すなら今のうち」な警告的イントロ「The Fate Of The World On Our Shoulders」からすでにヤバい。
スリリングな展開の序曲ですので、引き返すなんて無理。
ということで、劇的に展開していく暴虐的な「Existential Terror」が始まります。
濃厚でシンフォニックなサウンドの中にダニ・フィルス<Vo>の切れ味抜群のシャウトが響き渡ります。
続く「Necromantic Fantasies」はイントロからゾクゾク。
ミドル・テンポのナンバーで、アルバムの中でも一番聴きやすいです。
狂気じみたダニのヴォーカルを妖しく美しい声でサポートするAnabelle Iratniがまた素晴らしいです。
再び疾走する「Crawling King Chaos」もスリリング満点。
中盤ダニのヒステリックなスクリームからシンフォニックな演奏パートに流れるところは圧巻です。
濃密な作風の中で、中盤の「Here Comes A Candle… (Infernal Lullaby)」、後半の「Ashen Mortality」と小曲を挟みながら攻撃力を緩めず展開していく構成も見事です。
スローな「Discourse Between A Man And His Soul」は中盤のハイライト。
狂気さを維持された劇的な音像の中で切ないピアノとメロディックなギターが見事な輝きを放ちます。
終盤は、疾走パートとメロディックなフレーズをふんだんに取り込んだスリリングなナンバーが畳みかけます。
前作『CRYPTORIANA – THE SEDUCTIVENESS OF DECAY』(2017年)は7分台の曲が中心でしたが、今回の『EXISTENCE IS FUTILE』は小曲以外の各曲が5分台~6分台。
コンパクトにまとめられていて聴きやすくなっているのも大きな利点といえます。
MASTODON『HUSHED AND GRIM』
■MASTODON/HUSHED AND GRIM
- Pain With An Anchor
- The Crux
- Sickle And Peace
- More Than I Could Chew
- The Beast
- Skeleton Of Splendor
- Teardrinker
- Pushing The Tides
- Peace And Tranquility
- Dagger
- Had It All
- Savage Lands
- Gobblers Of Dregs
- Eyes Of Serpents
- Gigantium
以下の記事でアルバムをレビューしています。
BEAST IN BLACK『DARK CONNECTION』
■BEAST IN BLACK/DARK CONNECTION
- Blade Runner
- Bella Donna
- Highway To Mars
- Hardcore
- One Night In Tokyo
- Moonlight Rendezvous
- Revengeance Machine
- Dark New World
- To The Last Drop Of Blood
- Broken Survivors
- My Dystopia
- Battle Hymn (MANOWAR cover)
- They Don’t Care About Us (MICHAEL JACKSON cover)
以下の記事でアルバムをレビューしています。
BEAST IN BLACK『DARK CONNECTION』
BLACK VEIL BRIDES『THE PHANTOM TOMORROW』
■BLACK VEIL BRIDES/THE PHANTOM TOMORROW
- The Phantom Tomorrow (Introduction)
- Scarlet Cross
- Born Again
- Blackbird
- Spectres (Interlude)
- Torch
- The Wicked One
- Shadows Rise
- Fields Of Bone
- Crimson Skies
- Kill The Hero
- Fall Eternal
以下の記事でアルバムをレビューしています。
BLACK VEIL BRIDES『THE PHANTOM TOMORROW』
2021年11月
BULLET FOR MY VALENTINE『BULLET FOR MY VALENTINE』
■BULLET FOR MY VALENTINE/BULLET FOR MY VALENTINE
- Parasite
- Knives
- My Reverie
- No Happy Ever After
- Can’t Escape The Waves
- Bastards
- Rainbow Veins
- Shatter
- Paralysed
- Death By A Thousand Cuts
以下の記事でアルバムをレビューしています。
BULLET FOR MY VALENTINE『BULLET FOR MY VALENTINE』
CRAZY LIXX『STREET LETHAL』
■CRAZY LIXX/STREET LETHAL
- Enter The Dojo
- Rise Above
- Anthem For America
- The Power
- Reach Out
- Final Fury
- Street Lethal
- Caught Between The Rock N’ Roll
- In The Middle Of Nothing
- One Fire – One Goal
- Thief In The Night
以下の記事でアルバムをレビューしています。
L.A. GUNS『CHECKERED PAST』
■L.A. GUNS/CHECKERED PAST
- Cannonball
- Bad Luck Charm
- Living Right Now
- Get Along
- If It’s Over Now
- Better Than You
- Knock Me Down
- Dog
- Let You Down
- That Ain’t Why
- Physical Itch
トレイシー・ガンズ<G>とフィリップ・ルイス<Vo>の再合流以降3作目となるオリジナル・アルバム。
2人が一緒に演るとやはりマジックが起こります。
HM/HR界のゴールデン・コンビの1つです。
ドライヴ感のある「Cannonball」「Dog」、(いい意味での)チープな「Bad Luck Charm」「Living Right Now」なんかを聴くと「そうそう、これだよこれ!」ってなります。
エキサイティングであると同時に安堵感を味わえます。
「Knock Me Down」では、けだるい感じで魅力的なメロディを歌い上げるフィリップの唱法がハマっていてナイス。
「That Ain’t Why」での高音を中心とした歌唱もエネルギッシュで最高です。
トレイシーも、切れ味があってドライなギター・サウンドを聴かせてくれます。
特に鋭いリフをザクザク刻む「Better Than You」ではソロもスリリング。
ここのソロは必聴です。
あと印象的なのは「If It’s Over Now」と「Let You Down」。
この2曲の存在が作品全体に円熟味を持たせる要因となっています。
「If It’s Over Now」はメランコリックな曲調で、フィリップの歌唱に中毒性があります。
「Let You Down」でも「If It’s Over Now」のような雰囲気が漂っていて、訴えかけるようなフィリップの歌唱が響いてきますし、トレイシーのソロも泣きまくっています。
「トレイシーのギターにはフィリップのヴォーカル、フィリップのヴォーカルにはトレイシーのギターが似合う」
あらためてそう実感できる快心作です。
EXODUS『PERSONA NON GRATA』
■EXODUS/PERSONA NON GRATA
- Persona Non Grata
- R.E.M.F.
- Slipping Into Madness
- Elitist
- Prescribing Horror
- The Beatings Will Continue (Until Morale Improves)
- The Years Of Death And Dying
- Clickbait
- Cosa Del Pantano
- Lunatic-Liar-Lord
- The Fires Of Division
- Antiseed
以下の記事でアルバムをレビューしています。
THE DARKNESS『MOTORHEART』
■THE DARKNESS/MOTORHEART
- Welcome Tae Glasgae
- It’s Love, Jim
- Motorheart
- The Power And The Glory Of Love
- Jussy’s Girl
- Sticky Situations
- Nobody Can See Me Cry
- Eastbound
- Speed Of The Nite Time
- You Don’t Have To Be Crazy About Me…But It Helps
- It’s A Love T hang (You Wouldn’t U nderstand)
- So Long
以下の記事でアルバムをレビューしています。
BLACK LABEL SOCIETY『DOOM CREW INC.』
■BLACK LABEL SOCIETY/DOOM CREW INC.
- Set You Free
- Destroy & Conquer
- You Made Me Want To Live
- Forever And A Day
- End Of Days
- Ruins
- Forsaken
- Love Reign Down (2021 Version)
- Gospel Of Lies
- Shelter Me
- Gather All My Sins
- Farewell Ballad
以下の記事でアルバムをレビューしています。
BLACK LABEL SOCIETY『DOOM CREW INC.』
HYPOCRISY『WORSHIP』
■HYPOCRISY/WORSHIP
- Worship
- Chemical Whore
- Greedy Bastards
- Dead World
- We’re The Walking Dead
- Brotherhood Of The Serpent
- Children Of The Gray
- Another Day
- They Will Arrive
- Bug In The Net
- Gods Of The Underground
以下の記事でアルバムをレビューしています。
RHAPSODY OF FIRE『GLORY FOR SALVATION』
■RHAPSODY OF FIRE/GLORY FOR SALVATION
- Son Of Vengeance
- The Kingdom Of Ice
- Glory For Salvation
- Eternal Snow
- Terial The Hawk
- Maid Of The Secret Sand
- Abyss Of Pain II
- Infinitae Gloriae
- Magic Signs
- I’ll Be Your Hero
- Chains Of Destiny
- Un’Ode Per L’Eroe (「Magic Signs」のドイツ語ヴァージョン)
- La Esencia De Un Rey (「Magic Signs」のスペイン語ヴァージョン)
- Sadame No Kusari (「Chains of Destiny」の日本語ヴァージョン)
以下の記事でアルバムをレビューしています。
RHAPSODY OF FIRE『GLORY FOR SALVATION』
2021年12月
CYNIC『ASCENSION CODES』
■CYNIC/ASCENSION CODES
- Mu-54
- The Winged Ones
- A’-va432
- Elements And Their Inhabitants
- Ha-144
- Mythical Serpents
- Sha48
- 6th Dimensional Archetype
- DNA Activation Template
- Shar-216
- Architects Of Consciousness
- DA’z-a86.4
- Aurora
- DU-61.714285
- In A Multiverse Where Atoms Sing
- A’jha 108
- Diamond Light Body
- Ec-ka72
米国のプログレッシヴ・メタル・バンドの4作目。
バンドを支えてきたショーン・レイナート<Ds>とショーン・マローン<B>が2020年に死去。
ポール・マスヴィダル<Vo/G>、マット・リンチ<Ds>、デイヴ・マッケイ<B/Key>のライナップで制作されたのがこの『ASCENSION CODES』です。
全18曲ですが、小曲とメイン楽曲で繰り広げられるトータル49分の作品。
「6th Dimensional Archetype」以外の数字のある曲名が小曲となっています。
「DNA Activation Template」は約5分半ですが、ほぼSEで構成されていて、04:00ぐらいから演奏が入る変則的な曲。
この「6th Dimensional Archetype」「DNA Activation Template」の並び以外は、小曲とメイン楽曲が交互に登場します。
神秘的で透明感あふれるドラマティックなサウンドが展開されるアルバム。
デス声はなく、浮遊感に満ちたポールのヴォーカルが心地良く響き渡ります。
随所でメロディアスなフレーズを解き放つギターも見事です。
また、マットの手数の多いドラムがインパクト抜群で、彼のパフォーマンスがアルバムのサウンドをミステリアスかつスリリングなものにしています。
後半の「Architects Of Consciousness」あたりから曲がダイナミックになっていきます。
「In A Multiverse Where Atoms Sing」なんて、ぐいぐい引き込まれていきます。
そして、優しい光が差し込んでくるようなイメージの「Diamond Light Body」。
曲が進むにつれて劇的度が増ていく展開が圧巻です。
ハッとさせられるような終わり方から小曲「Ec-ka72」につながる構成にも注目です。
VOLBEAT『SERVANT OF THE MIND』
■VOLBEAT/SERVANT OF THE MIND
- Temple Of Ekur
- Wait A Minute My Girl
- The Sacred Stones
- Shotgun Blues
- The Devil Rages On
- Say No More
- Heaven’s Descent
- Dagen For (feat. Stine Bramsen)
- The Passenger
- Step Into Light
- Becoming
- Mindlock
- Lasse’s Birgitta
- Return To None (WOLFBRIGADE cover)
- Domino (ROY ORBISON cover)
- Shotgun Blues (feat. Dave Matrise)
- Dagen For (Michael Vox Version)
デンマークのVOLBEATの通算8作目。
ヘヴィで奥行きのあるサウンドを軸に様々なアプローチを仕掛けてきます。
マイケル・ボールセン<Vo/G>はハイトーンでエネルギッシュなヴォーカルを披露。
時折切なさも感じさせるメロディ展開が見事です。
「Temple Of Ekur」で勢いよくスタートを切り、続く「Wait A Minute My Girl」ではサックスとピアノが登場。
ポジティヴな雰囲気がナイスです。
「Temple Of Ekur」と同等の勢いが感じられる「Shotgun Blues」では、マイケルの切ない歌メロが見事に楽曲に浸透。
ガンガン響いてくるベースも気持ちいいです。
「Heaven’s Descent」「Dagen For」「The Passenger」の流れも絶品。
「Heaven’s Descent」はMOTORHEADを思わせ、爆音とともにがんがん迫ってきます。
それまでアグレッシヴだったギターがサビでは一転し、歌と呼応するようなメロディックなフレーズを前面に出すアプローチが見事です。
「Dagen For」には女性シンガーのスティーネ・ブラムセンが参加。
「Heaven’s Descent」とは対照的な清涼感のあるポップな曲調が心地良いです。
マラソンの給水所のような役割を果たす絶品ナンバー。
そしてMOTORHEAD系の「The Passenger」が再びといった感じで爆走します。
ミステリアスで浮遊感がある「Step Into Light」も面白いですし、「Becoming」がまたすごい。
冒頭疾走し、鋭角的にリフが刻みながら速度を緩めて、後半にまた加速といった構成に大興奮です。
エキサイティングなサウンドの中に、マイケルの個性的なヴォーカル、さらにはサックスやピアノなど、VOLBEAT独自の持ち味を絶妙に浸透させた力作です。
NESTOR『KIDS IN A GHOST TOWN』
■NESTOR/KIDS IN A GHOST TOWN
- A Fanfare For The Reliable Rebel (Intro)
- On The Run
- Kids In A Ghost Town
- Stone Cold Eyes
- Perfect 10 (Eyes Like Demi Moore)
- These Days
- Tomorrow
- We Are Not OK
- Firesign
- 1989
- It Ain’t Me
- Perfect 10 (Eyes Like Demi Moore) (Acoustic Version)
スウェーデンのハード・ロック・バンドのデビュー作。
1989年に結成→アルバムをリリースすることなく間もなくして解散→数年前に再始動という流れで、今回この『KIDS IN A GHOST TOWN』がリリースされました。
サウンドは80年代に通じるキャッチーなメロディアス・ハード・ロック。
トビアス・ガスタフソン<Vo>のヴォーカルはジェフ・スコット・ソート<Vo:TALISMAN, W.E.T., SOND OF APOLLOなど>に似ています。
トビアスは声に伸びがあって歌唱力抜群、メロディはキャッチー、そしてキーボードがノスタルジックな雰囲気を醸し出す。
そんなわけで、高品質のハード・ロックが楽しめます。
「On The Run」「Kids In A Ghost Town」なんかは懐かしさを感じさせながらもエキサイティングな気持ちにさせてくれるダイナミックなナンバーですし、「Perfect 10 (Eyes Like Demi Moore)」では哀愁ある歌メロにグッときます。
「These Days」はトビアスの高音をベースとしたヴォーカルが見事でギター・ソロもスリリングです。
サマンサ・フォックスが参加したバラード「Tomorrow」は中盤のハイライト。
サマンサのリード・ヴォーカルのパートもあり、円熟味のある歌唱をみせてくれます。
そしてサビをトビアスとサマンサが一緒に歌う箇所で感動が最高潮に達します。
美しいピアノとギターが泣きまくるサウンドの中に2人の情熱的な歌声が見事に浸透しています。
アップ・テンポな曲調にクールなメロディを乗せた「Firesign」も心地良く、ラジオのSEを取り入れる終盤の箇所にはアレンジのセンスを感じます。
本編ラストの「It Ain’t Me」は、美しいピアノとエモーショナルなヴォーカルが印象的なバラード。
アクセントをつけながら感動的なメロディを歌い上げるトビアスのパフォーマンスが見事です。
王道メロディック・ロックではポジティヴな気分にさせてくれて、バラードでは感動に導いてくれる充実作です。
OMNIUM GATHERUM『ORIGIN』
■OMNIUM GATHERUM/ORIGIN
- Emergence
- Prime
- Paragon
- Reckoning
- Fortitude
- Friction
- Tempest
- Unity
- Solemn
- In Front Of Me (INFECTED MUSHROOM cover)
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの9作目。
壮大でドラマティックなサウンドに、太く濁り気味のデス・ヴォイスが響き渡り、美麗なコーラスが被さります。
目の前に海が広がり、天候は曇りまたは雨、時間帯は朝~夕方。
そんな情景が当てはまるサウンドです。
デヴィン・タウンゼンドのプロジェクト、OCEAN MACHINEの『BIOMECH』(1997年)のような世界観。
ですので「『OCEAN MACHINE』+デス・ヴォイス」といった感じです。
前半では特に「Paragon」が絶品。
劇的世界の中でアグレッシヴさと美しさが同居するアプローチに鳥肌が立ちます。
「Fortitude」なんてまだアルバム中盤なのに、まるでアルバムそのもののエンディングのようなテンション。
壮大なスケールに圧倒されます。
もちろん「Fortitude」以降もスリリング。
鋭く突き進む「Tempest」にみられるように、むしろ攻撃性が増しています。
叙情的なフレーズと美メロを巧みに組み込ませながら、失速せずにダイナミックに展開していく作風がすばらしい。
本編最後の「Solemn」は約9分の大作でやはり圧巻。
ドラマティックなサウンドを背に泣きメロのギターが鳴り、バンドの演奏がスタート。
切れ味のあるリフを軸に劇的なアプローチも挟みながら進行していき、最後は物悲しいギターが音を残して終わるという絶品の展開です。
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